実話怪談 あったのかもしれない
フリーターのSさんは地元の祭りに来ていた。毎年8月になると行われるものだ。はしゃぐカップルや子供たちが夕日に照らされている。夜に上がる花火が目玉だが、夕方の今でも大勢の人が会場にいた。Sさんもその人混みの中を歩いていた。
「みんな楽しそうだなあ」
Sさんは祭りが大好きというわけではなく、暇をつぶすために来ていた。
浮かれた空気の中一人冷静な自分。Sさんは自分がここにいるのは場違いなのではないかと思い始めた。せめて友達や彼女と一緒に来ていれば……。しかし友達とは疎遠になってい