天然モノは健康にいい?
放射線について、いくつか書いてみましたが、どうも太陽由来の放射能なら良くて、原子炉から出る放射能は良くない、というような風潮を感じました。わたしの幻聴だったらごめんなさい。
逆に鳥取県にある三朝温泉みたいなところで入浴していると放射線ってもしかして健康にいい?みたいな気になってしまうのは否めないところはあります。余談ではありますが、ラジウムたっぷりの湯で街並みに風情もあって、海産物も美味しくて文句のつけようのない温泉地なので、一度足を伸ばしてみてもいいかもしれません。
閑話休題。なんとなく天然モノは身体には良さそうなインプリンティングをされているだけなのかもしれません。
実のところ、我々が思っているより植物の世界は平和ではありません。限りあるリンや窒素などの土中の資源を奪い合い、少しでも早く伸びて太陽の光を奪い合い、しているのです。たまたま生き残った強者だけの世界なのです。昆虫が飛んで来たらホルモンを出してアルカロイドとか出してみたり、逆に捕まえて食べてみたり、動物に食われないように強い毒を持ってみたりなかなか丁々発止でやりあっております。
細菌なんかもなかなかやるモンで、ウイルスのDNAやRNAをブチ切る制限酵素なんぞを持っていたりします。そりゃ、ウイルス感染しても風邪だ、しんどいくらいで済む多細胞生物と違って単細胞生物はウイルス感染イコール自分が死んでしまう、だものね。
ペニシリンだって青カビが細菌相手に編み出した最終兵器なんだものね。最終兵器なのに多用されると耐性菌が出来るあたり細菌もなかなか侮れない。世代間変異を考えると実のところ細菌の方が進化の最前線にいる気もしなくはない位ですよね。ま、現代までサバイバルを生き残って来た強者ばかりなんです、実のところはね。
ただ、あんまり強いのも考えもので、植物は構造的、戦略的に動けないものですから俺様サイキョー的な事をはじめると運んでくれるはずの昆虫や動物までも殺してしまい、狭い範囲でしか生存できなくなり、他の強みを持つ植物に負けてしまって絶滅してたりします。長い視点でみるとあんまりお得ではないかもしれないですね。
共生を選んでライバルに勝つ道を選んだのが有利だったり、毒を持って捕食者に攻撃するのが有利だったり、そんな戦略の多様性が環境の変化への対応していくのに必要だったんでしょうね。
天然モノだって身体に悪いものは悪いし、人工モノだって身体にいいものはいいのです。
私は好きですけど、どうしてフグなんて食おうと思ったのか。どれだけの試行錯誤をしてきたのか、どれだけの犠牲者を生んできたのか、そう考えるとご先祖様方の食に懸ける情熱には頭を下げるしかありません。
池田清彦先生によれば、大麻はアルコールなんぞに比べれば全然安全だそうですが、戦後GHQに禁止されて以来恐ろしい勢いで野生の大麻が駆逐されいます。結構生存力は強い方の植物だとは思うんですが、もう生えたシリから駆逐されていきます。
トリカブトなんかも、そういった人為的な淘汰圧を受けて駆逐されてきたのかもしれませんね。
危険かどうかは天然か人工かに関らず、人体実験を繰り返してきた先人の知恵を受け継いでいくしかないのかもしれません。
そして、自分も人体実験として受け継いでいくしかないのかもしれません。先兵を務めてくれる実験動物にも感謝を忘れずに。