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(エルデンリングDLC考察)壺と巫子の正体

 どもども。今回は壺と巫子の正体について考察していきます。まず、巫子の正体に関わってくる壺の情報(1章)と巫子の情報(2章)を纏めてから、巫子の正体(3章)について考察していきます。


1.壺に関する情報

 まずは壺に関する情報を確認していきます。

1-1.ベルラートの牢獄

・ベルラートの牢獄の霊体

ベルラートの牢獄の霊体

嫌だ、壺は嫌だ
もうしない。二度としない
天に誓う。善き人になると
だから、許してくれよ…

ベルラートの牢獄の霊体

 ベルラートの牢獄の霊体のセリフから、”何か悪いことやってしまった人が壺に関する嫌なことをされる”と分かります。

1-2.鞭の家

・鞭の家の霊体

鞭の家の霊体

さあ、大人しく壺に入りなさい
そして善き人になりなさい
お前たちは巫子なのだから
そのために、生まれてきたのだから

鞭の家の霊体

 ボ二村近くにある鞭の家があります。そこの霊体が、”巫子は善き人になるために生まれてきたのだから壺に入れ”と言っています。”善き人になりなさい”と言っていることから、巫子は善き人と見做されていなかった可能性があります。また、鞭の家で手に入る≪歯の鞭≫も見てみましょう。

・歯の鞭

歯の鞭

汚れた歯は、あらゆる雑菌に塗れており
その歯傷には猛毒が蓄積する

やがて、傷はじゅくじゅくと膿み爛れ
巫子たちは、他の肉とよく馴染んだという

歯の鞭

 ”巫子は衛生的に酷い歯の鞭で打たれ他の肉と馴染まされる”ことが分かります。

1-3.牢獄に出現する壺の中身

壺の中身

 影の地各地の牢獄にはグロテスクな壺の中身らしき敵がいます。”目隠しをされた女性が肉塊を背負っている”ように見えます。背負っている肉塊と巫子を馴染ました姿ということでしょうか。この敵が落とすアイテムも見てみましょう。

・中身肉

中身肉

大壺を満たす肉の切れ端
ピクピクと蠢く薄紅色のそれには
怨霊がこびり付いている

善き人になるために
切り刻まれ、大壺に詰め込まれた罪人どもの
なれの果てである

中身肉

 ”怨霊がこびり付いた肉が大壺を満たしており、それは善き人となるために切り刻まれた罪人たちのなれの果てである”ことが分かります。

1-4.大壺師

 ボ二村には大壺師なるものが出現します。身に着けている装備から情報を纏めていきましょう。

大壺師


・ボ二の解体包丁

ボ二の解体包丁

ボ二村の大壺師たちの得物
牢獄に納める大壺を作るために
人体を切り分ける大包丁

ボ二の解体包丁

 大壺師が扱う得物。大壺師が、罪人の人体を切り刻み、それを大壺に詰め、牢獄に納めていることが分かります。

・毛蟲の仮面

毛蟲の仮面

無数の毛虫を凝り固めた、異様な仮面
ボ二村の大壺師たちの呪具

それは、彼らが神事に勤しむとき
あらゆる邪念を寄せ付けぬ
穢れ、迷い、誘惑。それら全てを

毛蟲の仮面

 大壺師が身に着けている毛蟲を凝り固めた仮面神事である大壺作成に勤しむときに邪念(穢れ、迷い、誘惑)を寄せ付けないための呪具だと分かります。毛蟲は邪念を寄せ付けない存在という話でしょうか。

1-5.壺の情報まとめ

 簡単に情報を纏めると、

・大壺師は罪人(罪を犯した角人)を切り刻む
・大壺師は巫子を他の肉と馴染むように歯の鞭で打つ
・そして、切り刻まれた罪人と巫子(目隠しをされている)を大壺に詰めて牢獄に納品(善き人の完成?)
・大壺作りの作業中は、毛蟲の仮面を被り邪念から身を守る

こんな感じではないでしょうか。

2.巫子に関する情報

 続いては、巫子に関する情報を見ていきます。

巫子の村

2-1.巫子の村

 巫子の村は、影の城のマリカ像に対してジェスチャー”母よ”をすることによって行くことができます。

巫子の村に通じる隠し通路

そのマリカ像の前には「慈悲を、攫われた巫子たちに」とのメッセージがあります。

・小黄金樹

 村に入ってすぐ、開けた場所に光に包まれた小さな木がポツンと立っており、そこで祈祷≪小黄金樹≫が拾えます。

小黄金樹

女王マリカの秘めたる祈祷
優しいだけの、律無き黄金

マリカは故郷の村を黄金で包んだ
癒すべき何者も、いないと知っていても

祈祷:小黄金樹

”誰もいないと知っていながらも、マリカは、今は無き村人のために故郷の村を黄金で包んだ”ことが分かります。故郷とあるので巫子の村はマリカの出身地だったことが分かります。

・木の中の大母

大母らしき像

 少し大きな木があり、その中に木質のような、乾いたような、女性の像が手を広げて佇んでいます。その像の前では≪黄金の編み髪≫を拾うことができます。

黄金の編み髪

切り落とされた黄金の編み髪
女王マリカの、大母への供物

彼女が何を祈り、願い、告解したのか
知る者は誰もいない。ただその後に
マリカが故郷に戻ることはなかった

黄金の編み髪

大母とは、恐らく、マリカの母、或いはマリカの祖先と考えられます。すなわち、髪を祖先に供え、何かを祈り、願い、告解したのち故郷を去った、と言えます。

2-2.マリカ

 巫子の村はマリカの故郷であることから、マリカ自身が巫子である可能性が高いです。ですから、マリカに言及しているものを見れば巫子の情報が得られるはずです。

・稀人のルーン

稀人のルーン

稀人は、かつて狭間の外からやってきた
女王マリカの同族であるという

稀人のルーン

 ”女王マリカの同族である稀人は、狭間の外からやってきた”と書かれています。このことから、”マリカは稀人”だと分かります。しかし、稀人とはなんでしょうか?ネットで検索すると「時を定めて他界から来訪する霊的もしくは神の本質的存在」と出てきます。よく分からないですね(汗)。ですので、英語版の方で確認したいと思います。英語版で稀人は、”Numen”となっています。意味を確認すると「物に宿る、または場所を支配すると考えられている神霊」とあります。これをそのまま受け取ると、マリカは物に宿る神霊的な存在であることが分かります(いわゆるアニミズム)。そして、同様に、マリカの故郷である巫子の村の住人であった巫子たちも物に宿る神霊的な存在と考えられます。

・黒き刃の刺客

黒き刃の鎧

陰謀の夜の実行犯たる刺客たちは
すべて女性であり、一説には
マリカに近しい稀人であったという

黒き刃の鎧

 ”陰謀の夜の実行犯は、すべて女性で、マリカに近しい稀人であった”ことが分かります。”近しい”の解釈が難しいのですが、これはマリカと巫子たちも女性であったことを示唆していると考えられます。

2-3.巫女の情報まとめ

 情報を纏めると

・巫子は何者かに攫われていた
・巫子とマリカは同族であるが、巫女の村に巫子はもう存在しない
・マリカは木の中の大母(母か祖先)に編み髪を供えた
・巫子は、物に宿る神霊的な存在
・巫子は、全員女性

こんな感じではないでしょうか。


3.巫子の正体

 長々と情報を纏めてきましたが、ここから巫子の正体について考察していきます。木の中の大母(祖先)は、マリカの祖先であり巫子であり、何かに宿る神霊的な存在であると考えられます。そうなってくると、大母の見た目から巫子たちは、木の精霊(神霊)だと予想できます。しかし、木の精霊って言われてもよく分からないので、ここからは、他の創作物であるギリシャ神話からヒントを貰い、今まで纏めてきた情報との関係を考えていきたいと思います。

3-1.ギリシャ神話での木の精霊

 ギリシャ神話で代表的な木の精霊を調べるとドリュアスなる存在が出てきます。ドリュアスは古いギリシア語の呼びで、英語ではドライアドと呼ばれています。こちらは聞き馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
 さて、このドリュアスなどの木の精霊がどういった存在かと言うとニュンペー(英語ではニンフ)と呼ばれる存在らしいです。ニュンペーは、下級女神(精霊)で、一般に歌と踊りを好む若くて美しい女性の姿をしています。これは、黒き刃の刺客の装備のテキストから得られた情報の”巫子が全員女性”であることと一致します。

ウィリアム・アドルフ・ブグロー作『ニンフたち』(1878年)

このニンフたち、他にも設定があります。森の中を行く旅人を魔力で惑わせたり姿を見た者にとり憑いて正気を失わせたり、また人間の若者に恋をし攫っていく、等。この設定、大壺師が毛蟲の仮面をつけている理由に繋がるのではないでしょうか。仮面で顔が隠しているのは、巫子の姿を見て”誘惑”されることを防ぐためと考えることが出来ます。仮面には”毛蟲”がこれでもかと凝り固められています。毛蟲は、木の皮や葉を食い荒らすため、木にとっては害虫です。故に、毛蟲で顔を覆うことによって、木の精霊たちの誘惑(穢れ、迷い)を寄せ付けない効果があるのでしょう。また、牢獄の壺の中身の巫子は目隠しがされています。

これは、巫子の目を見ることによって誘惑されることを示唆しているのではないでしょうか。大壺師たちは毛蟲の仮面を被り、巫子の目を隠し、万全の態勢で大壺作りをしていたと考えられます。また、角人の老婆の言葉から角人らがマリカ(巫子)に対しどう思っていたかが伺えます。

角人婆

あの奸婦めの子らを

角人の老婆

”奸婦”とは夫以外の男と密通する女性に対する侮蔑の言葉です。マリカ(巫子)に対して焼き払われた恨みだけでなく、淫らな女だと侮蔑的な感情も滲み出ています。元々、角人の間では、巫子に対して良い感情を持っていなかったのでしょう。そして、角人の世界では、”穢れ”として見做された巫子の”誘惑”に負け交わった(性的な関係を持った)人たちを罪人として扱ったのではと考えられます。
 しかし、なぜ巫子である木の精霊と交わることが罪になるのでしょうか?それに関しては、≪デーディカの禍≫のテキストにヒントがあります。

デーディカの禍

皮膚を剥がされた狂気の肖像
悲しみの薄笑いを浮かべている
デーディカという名のその女は
あらゆる不義、姦通を行い
無数の異形の子をなしたという

デーディカの禍

ある女性があらゆる不義、姦通を行い、無数の異形の子をなした罰として皮膚を剥がされたと書いてあります。牢獄などで見られる壺の中身の巫子も体の表面が赤身を帯びており皮を剥がされているように見えます。このデーディカという女性は、巫子のことを指していると考えられます。ですから、角人の間では、”巫子と人が交わることで異形の子が生まれるため”、又は”巫子が異形の子を生んだ前例があるため”巫子と交わることを禁忌としていたと考えられます(この辺りの話は、デーディカの禍が手に入る状況ボ二村の意味深な存在を考えると想像が膨らみますが、またの機会に…)。また、呪剣士が落とす≪修験者の腰布≫のテキストにはこう書かれています。

修験者の腰布

自らを厳しく律し、苦行を積む
塔の修験者たちの装束

彼らは、いつか即身の土地神となるために
修験によりその霊性を高めていく

修験者の腰布

角人の世界では、自らを律し苦行を積むことが霊性を高める行為だとすると、肉欲に溺れる行為は霊性を下げてしまう行為だった可能性もあります。


3-2.メリアス

 さてさて。木の精霊の一般的な特徴から考察しましたが、その中でも特筆すべき精霊がいます。それは、メリアス(Melias)です(英語ではメリアイ、メリアエ)。…もう名前からプンプン匂ってきますね(Marika、Melina、Malenia、Miquella)。そのメリアス、どんな逸話があるかと言うと、神々の王であるウーラノスの陰茎が切り取られた際にできた血だまりから木の精霊であるこのメリアスが生まれてきたらしいのです。これは前回の考察生命の起源の内容である血だまりから子が生まれることと一致します。

神血の木の芽

更に興味深い話が続きます。血だまりから芽吹いたメリアスはトネリコと呼ばれる木の精霊で、その木は英雄アキレウスの槍の木材として使われたと言われています。傷を望む真実の母に神聖を見出したモーグと血鬼は、槍を上に突き上げ歓喜?しています

血鬼と血の君主モーグ

これらは、血だまりから生えてくるトネリコの木(槍)をイメージしているのではないでしょうか。

ママー!


4.おまけ

 まだ考察中なんですが、今回の件と深い関りがあると思うのでおまけで小話を。
 狭間の地の小黄金樹の周りには朽ち果てた大量の大壺が見られます。

小黄金樹の朽ちた大壺

今回の考察が正しいと仮定すると、壺の中には木の精霊が入っており、その精霊たちが小黄金樹の精霊(木に宿ったor木になった)となったのかな…と思ったりもしたんですが、壺がない小黄金樹もあるんですよね。で、小黄金樹にも葉を付けてしっかり育ったもの朽ち果てて枯れたようなものがあって、しっかり育った小黄金樹には木の精霊が宿ってるのかな~と思ったんですけど、シーフラ河の井戸近くのもの豊饒の森のものは壺が見当たらないのにしっかり育ってまして…両者の特徴は、前者は多くのスカラベが存在しいて、後者は多くのミミズ顔の存在しています。

ミミズ顔
ミミズ顔たち

ミミズ顔たちは、元々巫子(木の精霊)だったんじゃないかと考えています。しかし、スカラベに関してはよく分からない…はてさて…何か思いついた方がいたら教えてください。

 ってな感じで以上です。マリカ(巫子)は木の精霊でメリアスがモチーフだったのでは、というお話でした。

5.おわり

 読んでいただきありがとうございました。次回は、人蝿に関する考察の予定です。ではでは。


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