【エッセイ】オイスターリベンジ

牡蠣は大好物です。会社の同僚に、ある街に美味しい牡蠣の店があると聞いて、とある店に奥さんと行きました。玄関を開けると、カウンター席で、ホスト風の男が、美女を口説いています。

これはちょっと入りづらいな、と思ったのですが、黒服の店員に、いらっしゃいませ、こちらへどうぞと、ホスト風の隣のカウンターに案内されました。隣は何だかいちゃついたムードを醸し出していて、そそくさと出ようと思いました。

とはいいつつ、カナダやアメリカ、厚岸、広島など、国内外のいろいろな牡蠣が並んでいて、形や大きさも違い、興味深いものです。

思わず6ピース生牡蠣を頼みました。3つずつ二人で食べようと思いました。プリプリの岩牡蠣は、磯の香りが鼻腔をくすぐり、大海原に私を連れて行ってくれました。

私、今日はちょっと遠慮するわ、と急に奥さんが言います。奥さんは牡蠣は嫌いではないのですが、その日は、どうも口に合わないようでした。結局、私が6ピースを平らげることに。

家に帰ると、ドスンとお腹にきてしまったのです。トイレから離れられず、翌日になってやっとお腹も治まりました。

牡蠣に当たっても、その後も牡蠣は好きで、たまには食べることもありました。ただ、あのオイスターバーのある街では、無意識のうちに、牡蠣を避けていたようです。

仕事の外回り中、昼食を取ることになりました。牡蠣フライ定食があり、同僚も頼んでいるので、私も思わず牡蠣フライ定食を頼みました。ころもはサクサクで、牡蠣はジューシー、これ旨いなあと完食しました。

ふと思うと、あのオイスターバーの件以来、この街で牡蠣を食べることはなかったのです。十数年ぶりのオイスターリベンジに、完勝しました。頭のなかでは、映画「ロッキー」のテーマ曲が流れ、エイドリアーンと歓喜の声をあげ、ガッツポーズをしていたのでした。

(おしまい)
#エッセイ #牡蠣

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