一流の爆弾魔【ショートショート#30】【457字】
俺は、モニターを食い入るように見つめていた。モニターには不審な男が映っている。何日も洗っていないであろうギトギトの髪を帽子から覗かせていた。その男は、こそこそと何かを高層ビルの各階に設置していく。
「たのむぜ。木っ端微塵に吹き飛ばしてくれよ」
そのビルは昼間にもかかわらず静まり返っている。時折、外で地響きのようなズーンズーンという音が聞こえてくる。男は額の汗を拭きながら慎重に爆薬をセットしていった。
「さすがだ。この状況で顔色一つ変えないとは……」
そして、男が後ろを