映画時評:「ディス・マジック・モーメント」はミニシアターをキッカケにしたロードムービードキュメンタリー映画。
別府ブルーバード劇場まで「ディス・マジック・モーメント」を観に行った。
マレーシア出身のシネマドリフター(映画流れ者)を自称する映画監督リム・カーワイがコロナ禍に日本のミニシアターを行脚したロードムービードキュメンタリー映画だ。
ボクはリム・カーワイよろしく大阪からこの映画を観るためだけに別府を訪ねたというわけだ。全国有数の温泉地なのに、温泉は苦手なので入ってない。w
総じて熱量や方向性が微妙に異なりながらも、「ミニシアター」にこだわってやっていくというスタンスにおいては皆さん情熱が素晴らしく、目頭が熱くなった。
関東方面が一切ないのは何故なのかは説明なかったがどうしてだろう。第二弾を待つしかないのか…。
シネコンが各地に入り込み映画館の勢力図が大きく変わりだし、閉館したミニシアターも多くあったことだろう。ただボクはこの映画を観てリム・カーワイが各地のミニシアターの支配人達とのインタビューを試みるにおいて気づいたのは、ミニシアターvsシネコンという単純構造だけで観る側の需要をキャッチしているのが生き残っている理由だけではなく、もう少し多様な理由を含んでの生存理由であるように感じた。
もちろん、インタビューの中では対シネコンに対して意識した発言をする人も少なくはなかったが、必ずしもそれが生き残りの生存理由一択とは思えない。
ミニシアターという文化だ。
それを感じ取る観衆だ。
大事にする風土だ。
と思う。
この映画を観るにつれ別府まで思い付きで旅したが、意外とこの旅はリム・カーワイの足跡を辿るようで楽しくまた別の場所も行きたくなってきた。
さて、別府ブルーバード劇場だが、映画館としてこれ程家庭的な雰囲気を感じさせる映画館はない。
伝説の支配人さんとお客さんとの距離が近いし、映画館の歴史も感じられ長居してしまいそうだ。場所が一等地なのもいい。館内もサインだらけで、過去掲載記事の切り抜きも所々にある。愛されている証拠。
映画内容は詳しくは知らなかったのだが、この映画館は映画の中では、重要なポジションを占めていた。なるへそね。
流石伝説。
この映画館で2作観たが、悔いはない。自分に合う作品があればもっと見たいところだったが。
この映画に紹介されていない素晴らしい関西のミニシアターはまだまだある。ボクももっと紹介したいし、もっと詳しく紹介したい。
「ディス・マジック・モーメント」は、映画鑑賞以上に得られたものが多かったように思う。
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