最近のサカナクションについてのもやもやを真剣に考えてみた
私がサカナクションのファンになって今年で10年になるが、最近、何度も「これはどうなの?」というような思いを抱くことがある事が増えてきている。
今日はフェスでそれについて考える人が増えた記念に、自己満足として文字に起こして整理してみたい。新しい流れに適応出来ない「老害」の戯言として読んで欲しい。
山口一郎の変化
私が現在のサカナクションに抱くモヤモヤのうち、最も大きなものはこれである。
私が抱いていた「山口一郎」へのイメージは、
積極的(能動的)にメディアに出ない
音楽に対するこだわりがすごい
ノリを規定しない
すごく簡単に言えばこの2点になる。
実際、2014年に『グッドバイ/ユリイカ』をリリースする際のSCHOOL OF LOCK!での放送はまさしく2番目のものをすごく感じたし、それはシングル『多分、風。』やアルバム『834.194』の発売延期の際にも感じた。
あくまでこれは1人のファンの勝手な妄想に過ぎないが、しかし2019年頃より1つ目の「積極的(能動的)にメディアに出ない」ということに大きな変化が生じ始めたように思う。
次の項からは、時系列順でそれを見ていきたい。
2019年という年
2019年、サカナクションは概ね以下の活動を行っていた。
全国ホールツアー「SAKANAQUARIUM 2018-2019 魚図鑑ゼミナール」の開催
全国アリーナツアー「SAKANAQUARIUM 2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session」の開催
7thアルバム『834.194』の発売
8cmCD『忘れられないの/モス』の発売
当時の私にとって、「サカナクションが6年ぶりにアルバムを出した」という事の衝撃は今になっても忘れられないが、一方で当時レギュラー出演していた「サカナLOCKS!」での「いっくん」キャラが出始めたのもこのあたりだと記憶している。
山口は、当時の「いっくん」の登場について以下のように語っている。
この文章から察するに、本人が何らかの心変わりがあったのか、それとも「ラジオ(メディア)慣れ」したからか、現在につながるノリが始まったのではないかと考えられる。この原因について、今となっては後の活動休止の予兆であったのではないかと思わないこともないが、それは一旦置いておいて、次はコロナ禍の活動について考えたい。
2020年からコロナ禍へ
ここまで、現在の山口のキャラクターが2019年ごろより変化し始めたことを述べたが、私個人としては、その最も大きな要因はコロナ禍中の活動であると考える。
2020年に入り、サカナクションは全国ホールツアー「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」を始めていたが、ご存知新型コロナウイルスの爆発的な流行によって、2月末で中止になり、代替としてバンド初のオンラインライブ「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」が行われた。
それに並行する形で、通常通り先述のラジオの収録もリモートで行われていたが、そのような要因から山口が自宅にいる時間が大きく増加したことを契機に、「深夜対談」なる試みが始まったのはこの時期である。
従来より、ファンとの交流はおおむねアルバム収録毎に行われる「visual talk session」や、ライブ終演後などのサイン会、ラジオでの電話などで行われていたが、この時期より山口はInstagramやFanstreamを用いて、「様々な業種(状況)の人と対談する」というコンセプトのもと、相手と顔出しで直接話す「深夜対談」をスタートさせた。
この「深夜対談」の功罪については様々な制約があるのでここではあまり詳細には書かないが、この配信によって救われたり、「サカナクションを好きになった」という人が増えたという良いことがたくさんあった。しかし、この時期に「ファンとの距離が大幅に縮まった」ということが後に大きく影響することとなる。
(NF memberの方は現在でもアーカイブを観ることができる)
「ファンとの距離が縮まる」ということは、バンドにとって良い影響を与えるかもしれない。しかし、その距離感を勘違いする輩こそが大きな問題である。
前置きが長くなったが、正直この記事で言いたいことの8割ぐらいはこれである。
当時の配信やラジオで、「サカナクションのファンアート書きました!」とか様々な事で山口本人に関心を持たれ、ファンの中で名を上げる者が現れ始めた。
その具体的な例を出すと袋叩きにされるので言えないが、例えばレゴブロックで少年がどうとか、似顔絵をアイコンにとか、それ以上のことは言えないがこんな感じである。
もちろんそれについて非難されるべきではないし、純粋にそのような素晴らしいクリエーターが発掘されるのは良いことである。しかし、繰り返すように距離感を勘違いする輩こそが大きな問題である。この場合、「私はいっくんに好かれているんだ!」「私はそこら辺の有象無象より偉いんだ!」というような痛々しい勘違いをしてしまう、変に知名度(発言力)を持ってしまった人たちのことを指す。この「ファンの階層化」については、同時期にスタートしたNF memberのステータス制度も影響しているといえるが、それはまた後に述べる。
コロナ禍の終わりから活動休止へ
そのような流れの中サカナクションはコロナ禍への「適応」を進め、オンラインライブの確立や新譜の完成を経て、『Rearrenge Package』の発売や「NF OFFLINE」や『アダプト』プロジェクト(オンラインライブ、全国アリーナツアー、アルバム発売)などが行われた。
しかしながら、それらの活動の総括、コロナ禍を経た「応用」を示すはずの『アプライ』プロジェクトは、そもそもコロナの流行が終わらないため実施できない状況となってしまった。
そこで、元々予定されていたと思われる全国ホールツアーは「SAKANAQUARIUM 2022 アダプトNAKED」として開催される運びとなったが、このツアーは中止になってしまった。
もちろんこの時期にはもうコロナ禍におけるライブのノウハウは蓄積されており、終息を前提として実施するはずがなかったことはわかるが、大きな2つの要因としてメンバーの私生活の問題と山口のうつ病発症によるリハーサルの進行不可という事態があった。
岩寺が私生活において行っていた不倫行為について、この場では批評することはしないが、以下に当時の公式HPの発表を転載する。
また、それと時を同じくして山口が体調を崩し(後にうつ病と公表)、ツアーそのものを中止にし、山口はしばらくの間すべてのライブ活動を取りやめる事態となった。
そこから現在に至るまでの山口や他メンバーの動きについては、NHK『NHKスペシャル 山口一郎 "うつ"と生きる ~サカナクション 復活への日々~』や、NF memberの方は『NF BOOK Vol.2』に記されているので、興味のある方はどうにかして入手・視聴して欲しい。法に触れるので詳しい手段は書けないが、どうにかしてほしい。
活動再開とYoutubeの活用
あらかじめ述べておくが、実のところ私は活動再開以降の山口による配信はあまり見ていない。というより、見ることが出来ない。その理由はこれから述べるが、これまでのように「多くの配信を見てきての感想」ではないことには留意されたい。
コロナ禍が終わり、山口のうつ病も投薬治療によってライブ活動ができる状態となり、合わせて全国アリーナツアー「SAKANAQUARIUM 2024 turn」の開催が発表された。
東京ガーデンシアターでこの発表を聞いた私はもちろんとても喜んだし、チケットを取った際はとても嬉しかった。
しかし、それに比例するかのごとく今までになかった不安も増大していった。それは「ライブでの一部ファンの暴走」である。
山口はこの活動休止期間もファンとの配信での交流を続け、長年の活動の場であった「サカナLOCKS!」の終了もあり、配信の数はかなり増大し、もはや2019年には考えられない量の配信を行っている。
この配信のプラットフォームは、InstagramやFanstreamから、メンバーシップを前提とするYoutube配信へと移っていったし、内容も雑談に加え「歌唱大会」なども始まった。
配信の活動への影響とファン層の歪み
私は実のところ、Youtubeの配信はあまり見ていない。しかし、どうしても許せないことがあった。
それは「新宝島」のノリを規定したことである。
ご存じの方も多いだろうが、山口はライブで何度も何度も「自由に踊る」ことを呼びかけている。我々ファンはその発言を信じて(さすがにずっと歌うとかモッシュをするのは論外だが)、自分の好きなようにサカナクションのライブを見てきたはずである。
しかし山口は「新宝島」のノリを勝手に「悪い例」「良い例」に分類し、「正しいノリ方」なるものを提示し始めた。しかもコールもついている。
その酷さを実感していただくためにはその配信の切り抜きを見ていただくのが一番良いのだが、正直切り抜き動画を引用したくないので一例の画像飲み貼っておく。
当時の私はこれに愕然としたし、正直サカナクションが嫌いになりそうだった。こんなことをライブでやられては曲を真剣に聞けない。
冷静になって考えれば、コロナ禍以降の配信のおかげでファンが大幅に増えたのだろうし、今までやってきたことも一緒じゃないかと言われれば否定できない。
だが、これでは「自由に踊れ」と散々言い続けてきたことが嘘になるし、何よりコールをサカナクションのライブで行うなんぞ論外である。なんせアイドルではないのだから。
この主張を見て「老害」だの何だのと誹りを受ける事はわかっている。
しかしながら、このような発言を行ったおかげで、「これをやる私達、わかってるよね!」みたいな気持ちの悪い内輪ノリを生み出し、切り抜きの公認など「ファンの階層化」を行った山口一郎には強く自省を促したい。
「何様のつもりだ」と言われればその通りだが、1ファンの戯言だと思って適当に読んでいただければと思う。
「いけいけいっくん」コールも軽い気持ちで始めたのだろうが、メンバーからステージ上で苦言を呈されてから「やめろ」といってももう遅い。私の言うそのようなファンは、「いっくん」しか眼中にないのであり、サカナクションの他のメンバーがどう思うかなど考えることはないのだから。
ここからは、本編の話に関することで流れ的に漏れたものををただ書くだけなので、読まなくても別に影響しないが、どうせなので書いていきたい。ただ、一応ここまでは出典を示しながら感想文にならないように書いてきたつもりだが、ここからはそんなことは気にしないので、読んで気分を害しても私は一切責任を追わない。
NF memberのステータス制度とその問題点
本文中、「ファンの階層化」について述べる際に、NF memberのステータス制度について書いたが、ここではその問題点について考えていきたい。
2020年1月に、サカナクションのファンクラブ「NF member」では、その活動に応じてポイントを付与し、そのポイント総数によって水面~深海の4つのステータスに分類する「NFポイントプログラム」がスタートした。
このシステムを実施する動機として、公式では以下のように説明している。
当時の配信でも、山口はたしか同趣旨のことを話していたので、概ねこの説明のとおりなのであろうと考える。確かに、長年ファンを継続している者がチケット抽選などで優遇を受けるということは良いことだと思う。席の優遇などはないのだから、特に問題はないと考える。(個人的には中層なのになぜかホールの1階席が一度も当たらないのはちょっと不満だが)
しかし、そのポイント加算に「グッズの購入額」があるのはあまり良くないと思う。
この図の通り、最高ポイントが付く額は10000円であり、上限は1日100ptである。最初は1日の上限ポイント数がなかったものの、流石に苦情が入り1年ほどで上限が設けられた。
しかし、そんな事をしようとも、結局「金があるやつが有利」なのである。
当たり前の事ではあるが、世の中には様々なタイプの人間がいる。単にNF memberといえども、学生とか主婦とか果ては隠居人まで様々である。サカナクションのみならず、一般にアーティストのグッズはそれなりの値段がするし、職業やその時の状況で出せる金額は大きく異なる。資本主義なのだから仕方ないとはいえ、ライブや新譜発売のたびにポンポン数万円単位で出せるような人ばかりではない。
そのせいで、純粋に「ライブを見たい」という人たちが見られなくなるのはあまりに良くない状態ではないのか。
「チケットが売れない」「どうせみんな来ない」と山口は言うが、そんな事を言う前に高額納税者のみを優遇する仕組みをやめたらどうか。赤字商法については後で述べるが、それも考えていただきたい。
今回のturnツアーのような大きい会場では、席種を選ばなければライブは見られるだろう。しかし、前回の魚図鑑ゼミナールで関東圏が異様に少ないために凄まじい争奪戦になった事を忘れてしまったのだろうか。
ぜひ、「834.194フーディーの値段が高すぎて買えない」と配信で言われたときの気持ちを思い出してほしい。
配信での山口の発言の問題点
ここからは先に述べた以外の、山口の発言について色々と書いていくが、個人攻撃になりかねないため、出典を示しながら論理的に書いていくようには心がけたいが、不満を持たれた方がいれば申し訳ないと思う。
赤字商法
ここ数年の山口の発言で一番大きな問題の1つといえば、度重なる赤字発言である。
例を上げるときりが無いが、山口はここ数年「赤字」「破産覚悟」という言葉を口癖のように用いている。例えるなら年中閉店セールをやっているようなものであり、もはやまともに受け取るつもりはないが、それでも思うところはある。
前提として、サカナクションが真にリスナーの事を考えて演出などを行っていることは重々承知している。それはサラウンドでの全国ツアーもそうだし、ツアーに行けない人のために配信を行うなどもそうである。またグッズもそうである。
しかし、それを受けて私達は決して安くないグッズを買い、決して安くないチケットを買い、配信を視聴しても、山口の発する言葉は「赤字」である。
お金を湯水のごとく使えるほど私は富豪ではないし、その元手は普段汗水流して働いて稼いだお金である。
それを割いて今まで買ってきたと言うのに、その度に「赤字」「赤字」と言われて、空虚な気持ちにならない者が果たしてそういるだろうか?
正直、そこまで言うのならサラウンドやspeaker+なんてものは要らない。身の丈にあったライブをしていただければと思うし、グッズも買う気が失せるのでそんなに作らないでもらって結構、という気持ちにならざるを得ない。
これはバンドが売れたことによって本人の金銭感覚がおかしくなっているのか、はたまた何らかの自己防衛本能であるのかはわからないが、どちらにせよ今後こういった発言が続けば、お金を落とす人が減るのは自明だろう。
メンバーへの発言
「山口一郎」が本質的に音楽に対してストイックな人間であり、音楽的な妥協を許さないのはある程度長いファンであれば皆わかっているだろうし、それはクオリティの向上につながるのだから否定すべきではない。その結果、メンバーとの衝突も何度も表にされてきたが、それもしょうがないことである。
しかし、とりわけうつ病発症以降、「それはどうなの?」と首を傾げざるを得ない発言が相次いでいる。前述の赤字発言もそのなかに入るが、私が特に問題だと思うのは以下のものである。
サカナクション、誰のバンドか問題
「サカナクションは山口一郎とそれ以外のバンドである」という事は、少なくとも2010年には言われ始めていたと思う。つまり、サカナクションは作詞をすべて手掛ける山口一郎のワンマンバンドである、という主張である。
実際のところ、ちゃんと活動を追いかけていればそんなことはないということがわかるのだが、しかし山口自身がそれを問題にし始めたように思える。
ソースは示せないが、特にサカナLOCKS!において顕著にあったと思うが、「自分がサカナクションの顔である」ということを繰り返し他のメンバー、とりわけ江島に対して述べている。別にこの発言は山口一郎=フロントマンである以上間違っていないのだが、最近になってもはや「顔をやってやってる」「しかたなく前に出てる」ような発言が多いように感じる。
その責任感がうつ病を招いた精神的要因の1つであったのは間違いないものの、それを我々リスナーが聞いて果たして嬉しいと思うのか(「やっぱりいっくん最高!」みたいなツイートは最近良く見るが)、今一度考えてみてほしいと個人的には思っている。
ちょっとそれどうなの?
これは完全に個人的なものであるが、配信での悪ノリかどうかはわからないが、「ライブで泣いた理由を円グラフで示せ!」とかなんとか言ったりしていることを見ると、言われたメンバーの気持ちを考えてないのかなと思うし、配信を見ているいっくんファンの皆様は面白いのだろうが、こちらからすればかなり性格悪くない?と思ってしまう。
私の個人的な感想として「ミュージシャン=ひねくれている」し、先程の新宝島ノリ発言を含めて、正直躁状態なのかなと思ってしまうのだが、ちょっとこれらを見せられる一般のファンの気持ちを考えてほしいなとは思う。
結論
ここまで、約1万字にもわたって数年来サカナクションに抱いてきた不満をつらつらと書いてきたが、最初に言ったように私がこの文章を公にしたとして、本人や私の嫌うファン層が見ることはないのだろう。だからこそ自己満足である。
しかし、盲目的に受け入れるのではなく、それに疑問を呈する声が今日のフェスで爆発的に増えたのを見て、ふと文字にしようと思って、一人でも多くの人が見てくれればと思って書いたのが正直な動機である。
繰り返すが、決して私は対立煽りなんぞをしたいわけではなく、ただ純粋に1サカナクションファンとして思ったことを正直に書いたつもりである。
もしこの文章を読んで、なにか思うところがあったり、殺害予告をしたいなどあれば、この文章を公開するXのアカウントとかに言っていただければと思う。
長々と書いてきましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。
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