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到着しました!待望の『都風俗化粧伝』は盛りだくさんでさらに深掘りしたくなります~
宅配ボックスに待望の古書、届いてました!
早速、概要をお伝えしますね。
『都風俗化粧伝』 佐山半七丸
速水春暁斎 画 校注 高橋雅夫
巻之上 【第一 顔面の部】
〇顔に生ずるにきびを治す薬の伝
〇そばかすを治す薬の伝
~この辺は、漢方医療の知識、民間療法などが紹介されています。
なんと虫歯の痛みの治し方、耳に入った虫の取り方まで!
〇皺をのばし、むすめのごとく若やぐ薬の伝(大猪蹄)←これはブタの爪(ひづめ)のこと、要するにコラーゲンです。全く今と同じレベル!
こちらは『浮世女房洒落日記』でモチーフとなっています。
本文として具体的な化粧法、美容法が核心として書かれています。
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巻之中 【第二 手足の部】
〇霜やけを治する伝 ~霜やけ、最近では聞かなくなりました。
〇ひび、あかぎれを治す薬の伝
〇腋臭を治す伝
~人の身体にまつわる悩みは今と変わりません!
本文として、手足、体形の整え方、かっこいい歩き方が指南されて、まさにファッション誌です。
着物でスタイリッシュに歩きたい、私も!
着物に慣れない現代の私たちこそ参考にしたいところです。
【第三 髪の部】【第四 化粧の部】
〇髪はえ薬の伝
〇顔の恰好によりて髪結いようの伝
~美しく日本髪を結うための知識、洗い方からお手入れ法まで。
江戸時代の紅、白粉、鉄漿(お歯黒)の化粧法の基礎からより美しくなる裏技まで。
今でも舞妓さんが首まで白粉を塗ってますが、受け継がれてますね。
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巻之下 【第五 恰好の部】【第六 かたちづくりの部】【第七 身だしなみの部】
ここではトータルな美容について。
まずは心を正しくしてから容色を調えるべしと書かれています。
それぞれの個性を生かした髪の結い方、化粧の仕方をアドバイス。
帯の結び方やいろんな被り物が絵入りで紹介されます。
身だしなみとしては、口臭予防から汗対策、大小便をこらえる方法まで💦
急に立ち行きがたき時、左の手の掌に、右の手の高高指(中指?)にて、大便なら大の字、小便なら小の字を書き、三度舐るべし。奇妙にとむる呪(まじない)なり。
おまじない、とされてますが、効果があったのでしょうか。
江戸の娘やおかみさんが出先で恥ずかしそうに手のひらに小の字を書いている姿を思い浮かべると、微笑ましく愛おしい。後でお腹が痛くならなかったかな。
まずは気持ちの問題で楽になったのでしょう。
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最後の解説が詳細で充実しています。
残念ながら、著者の佐山半七丸についてはまったく不明とのこと。
画図の欄に名を出している速水春暁斎という人物が、本書の画家とされます。
四代目春暁斎は岡田玉山の画風を受け、関西における浮世絵師として画才と文才を発揮し、天明から文政にかけて58種もの出版物に名をとどめているとされます。
作者についての謎は、これからの研究で明らかになるかもしれません。
本書は文化10年から大正11年まで110年間、本文に同じ版木を使った1世紀を超えるロングセラーだったことが詳細に述べられます。それだけの人気と実効性があったという証で、貴重な資料です。
その版木は関東大震災で焼失したということ、実に悔やまれます。
概要を書き出してみましたが、これからじっくり目を通していくのが愉しみです。
新たな発見があったらまた報告いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました☆