ウイルスに関するおさらいと知見のアップデート
山内一也先生の「ウイルスの意味論」を読みました。ウイルスに関する知見は20年以上前に少し勉強したところで止まっていたので、発売されたときから読みたいと思っていたのですが、この機会に読もうと思い購入いたしました。発売されたのが2018年12月ですので、今回のことは掲載されていないのですが、ウイルスが発見された経緯やウイルスの特徴、近年見つかったウイルスに関する知見など幅広く記載されていました。
特に、過酷な環境下で存在するウイルスや顕微鏡でも見られるミミウイルス、ウイルスに寄生するウイルスなどのトピックは、興味深く読むことができました。
また、これまでに根絶したウイルスは天然痘と牛疫だけと記載されていたので、今回のことだけでなく、今後も新たなものが出てくることは普通に起こりうることであり、ウイルスと共存しながら、社会を形成していくことが求められるのだと思いました。
ウイルスそのものが発見されてからまだ100年あまりしか経っていない中、21世紀に入ってさまざまな発見があることを実感いたしました。その点では20世紀で知識が止まっていた私が読んでもスッと読むことができ、大変わかりやすかったです。あえていえば、タイトルは多田富雄先生の「免疫の意味論」を意識されたのではないかと思ったのですが、多田先生のような哲学的な問いかけや考え方が少なかった点は少し物足りなかったです。ウイルスはそもそも生物なのかなどの記載もされていたのですが、なぜ存在するのか、なぜ自ら複製できないのかなど、ウイルスま存在意義や意味論にもっと踏み込んでもらえると良かったです。