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マッチングアプリの憂鬱:SIDE W 第3話
公園でエリック・ロメール的会話を続ける私達の頭上では日が暮れていた。六時半。さすがに郊外の自宅に帰って夕飯を作る事は出来ないため娘に適当に食べてもらうよう連絡を済ませると、彼が「うち来ます?」と言った。やっと言ってくれたという気もするし、大分勇気を出して言ってくれたとも思う。蚊に刺され過ぎて正直ちょっと帰りたくなって来たところだが相手の勇気を汲み&勿論行きたかったのではいと答えた。そして彼の家でDVDを観る事にした。ポール・オースターのブルー・インザフェイス。私はこの映画が大好きで、しばらく人生一位にしていた事があるぐらいで、極東の女がこのスピンオフ映画をベストにしてるなんてポール・オースターもびっくりなんじゃないかと思うぐらい好きなのだ。そんな映画をDVDで持っているという。久しぶりに観るとやはり最高で、だがそれ以上に隣に座るヒゲパーマ眼鏡男が気になり話半分であった。しばらくソファ上で距離を持って鑑賞して居たが、彼が近くに寄って来たところでゴーサインと思いキスをした。そして堰を切ったようにお互いしまくった。それからベッドに行こうという事になった。久しぶりの鑑賞チャンスだったのにオースター先生ごめんなさい。目の前のイイ男には叶わなかった。ちなみに映画の続きは二人で年越しをした時に通しできちんと鑑賞しました。私の人生観の一部はこの映画で出来て居るぐらい大好きです。