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Fortnite UGC攻略:人気ジャンルの裏側を解析し、次なる稼ぎ頭を生み出す戦略
はじめに
UGCゲームでお金を稼ぐことの可能性:読者への導入
UGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)ゲームの世界へようこそ!この世界では、あなたが作ったものが、大きな収入につながる可能性があります。特にFortniteのようなプラットフォームでは、あなたのアイデア次第で、想像以上の成功を収めることができるんです。
State of Unreal 2024で発表されたLEGOとのコラボレーションのように、Fortniteは常に新しい可能性を広げています。LEGO UGCがリリースされてからわずか数日後には、類似のジャンルが上位を独占しました。これは、Fortniteのクリエイターコミュニティが、特定のジャンルが非常に人気があることをよく理解している証拠です。
なぜ特定のゲームモードが他のモードよりも人気があるのでしょうか?この記事では、その理由を探り、FortniteのUGCエコシステムで成功するための戦略を解説します。
UGCは、ソーシャルメディアのトレンドのように、常に進化しています。TikTokの動画にゲームプレイを重ねるような奇妙な組み合わせが生まれるのも、この進化の一部です。FortniteのようなUGCゲームも例外ではありません。トレンドがどのように生まれ、ジャンルがどのように定着するのかを理解することで、より成功するゲーム体験を作り出すことができるはずです。
本記事の目的:読者のための戦略的指針
この記事の目的は、FortniteのUGCエコシステムを深く理解し、成功するための具体的な戦略を提供することです。
まず、RobloxとFortniteの違いから始めましょう。Robloxには基盤となるゲームがないため、プレイヤーは特定のゲームプレイやジャンルに縛られません。一方、Fortniteのプレイヤーは、バトルロイヤルモードの経験から、特定の好みを持っています。この違いを理解することが、成功への第一歩です。
次に、「Root Player Profile」という概念を紹介します。これは、Fortniteのバトルロイヤルをプレイすることで培われたプレイヤーの心理的特性のことです。Root Mechanics(建築や射撃などの基本的なゲームメカニズム)とRoot Game Loops(戦闘やアイテム収集などの繰り返されるゲームサイクル)を理解することで、プレイヤーが本当に求めているものを見つけることができます。
この記事では、人気のあるUGCジャンルを分析し、Root Player Profileとの関連性を明らかにします。また、Epic Games自身の事例を通して、プレイヤーの嗜好を無視することの代償についても学びます。
さらに、Root Player Profileを活用して新しいジャンルを創造する方法や、創造性を高め、持続可能なビジネスを築くための実践的なアドバイスも提供します。Minigame BoxPvPのような成功事例を通して、ジャンルを融合させることの可能性を探りましょう。
この記事を読み終える頃には、FortniteのUGCエコシステムで成功するための戦略的な考え方を身につけ、創造的な価値を追求し、エコシステムを形作る一員として活躍できるようになるはずです。
第1章: UGCエコシステムの理解:Fortniteを事例に
Roblox vs. Fortnite:UGCプラットフォームの根本的な違い
UGC(ユーザー生成コンテンツ)ゲームの世界で成功するためには、まず、主要なプラットフォームであるRobloxとFortniteの根本的な違いを理解する必要があります。
Robloxは、プラットフォーム自体がゲームというよりも、ゲームを作成・共有するためのツールセットのようなものです。Robloxには、Fortniteのような明確な「ベースゲーム」が存在しません。そのため、Robloxのプレイヤーは、どのようなゲームプレイ、ゲームループ、ジャンルに対しても先入観や固定観念を持っていません。彼らは、様々なジャンルやプレイスタイルを受け入れる準備ができており、新しいもの、面白いものを求めています。これは、Robloxのクリエイターにとって大きなチャンスであり、同時に難しさでもあります。何でも作れる自由がある一方で、プレイヤーの明確な期待がないため、何を作れば良いか迷うこともあります。
一方、Fortniteは、元々大成功を収めたバトルロイヤルゲームです。その結果、FortniteのUGCプラットフォーム(Fortniteクリエイティブ)のプレイヤーは、まず第一にFortniteのプレイヤーであり、バトルロイヤルゲームの経験から得た特定のゲームプレイ、メカニクス、ゲームループに対する好みを持っています。つまり、Fortniteのクリエイターは、Robloxのように完全に自由な発想でゲームを作るのではなく、既存のFortniteプレイヤーの期待に応えつつ、新しい要素を取り入れるというバランス感覚が求められます。
著者の言葉を借りれば、「Robloxで体験を探すプレイヤーは、ゲームプレイメカニクス、ゲームループ、さらにはジャンルに関して、先入観にとらわれることはありません。 Robloxにはベースゲームがないため、そのオーディエンスは、UGCエクスペリエンスがどのようにプレイされ、感じられるべきかについて、先入観や要求を持っていません。」
逆に、FortniteのUGCプラットフォームは、Fortnite: バトルロイヤルプレイヤーがターゲットオーディエンスです。著者は続けて、「Fortniteのプレイヤーは、バトルロイヤルモードのためにFortniteをプレイし始めました。 言い換えれば、FortniteのUGCオーディエンス (Fortnite Creativeの開発者が設計しなければならないプレイヤーの集団) は、特定のメカニクス、ゲームループ、さらにはビジュアルスタイルなど、ゲームプレイにおいて何をプレイしたいかという先入観を持っています。」
この違いは、UGCゲーム開発における戦略を大きく左右します。Robloxでは、完全に新しいジャンルやメカニクスを創造する自由度が高いですが、Fortniteでは、既存のFortniteプレイヤーの好みを理解し、それを活かした上で新しい価値を提供することが重要になります。次のセクションでは、Fortniteプレイヤーの特性について詳しく見ていきましょう。
Fortniteプレイヤーの特性:バトルロイヤル経験が与える影響
Fortniteプレイヤーの特性を理解することは、Fortniteクリエイティブで成功するための鍵となります。彼らは、単なるゲーム好きではなく、特定のゲーム体験を求めてFortniteの世界にやってきたユーザーなのです。その中心にあるのは、バトルロイヤルモードの経験です。
バトルロイヤルモードでは、プレイヤーは限られた資源を奪い合い、生き残りをかけて戦います。その過程で、建築、編集、射撃といった特定のメカニクスが重要になります。特に、建築はFortniteの大きな特徴であり、素早く壁を建てて身を守ったり、高所を奪って有利なポジションを確保したりするために不可欠です。これらのメカニクスを繰り返し体験することで、プレイヤーは自然とそれらを習得し、その操作感に愛着を持つようになります。
また、バトルロイヤルモードには、特定のゲームループ(ゲームのサイクル)が存在します。例えば、
資源収集: マップを探索し、武器やアイテム、建築資材を集める。
戦闘: 他のプレイヤーと遭遇し、生き残りをかけて戦う。
エリア縮小: 嵐の目(セーフゾーン)が狭まるにつれて、プレイヤー同士の遭遇率が高まる。
最終決戦: 最後まで生き残ったプレイヤー(またはチーム)が勝利する。
これらのゲームループを何度も繰り返すことで、プレイヤーは特定の状況やフェーズに慣れ親しみます。例えば、建築バトルや編集合戦、終盤の銃撃戦などは、バトルロイヤルモードで頻繁に発生する状況であり、プレイヤーはそれらに対応するためのスキルや戦略を磨いていきます。
著者は、Fortniteプレイヤーの特性を**Root Player Profile (ルートプレイヤープロファイル)**という概念で説明しています。ルートプレイヤープロファイルとは、UGCプレイヤーの心理状態が、基盤となるゲーム (Root Game) によって影響を受けている状態を指します。このルートプレイヤープロファイルは、以下の2つの要素によって形成されています。
**Root Mechanics(ルートメカニクス):**基盤となるゲームに固有のゲームメカニクス。プレイヤーはゲームの状況に関わらず、常にこのメカニクスを体験します。
**Root Game Loops(ルートゲームループ):**基盤となるゲームで頻繁に遭遇し、繰り返されるゲーム状況またはフェーズ。
つまり、Fortniteのルートプレイヤープロファイルは、建築、編集、射撃といったルートメカニクスと、建築バトル、編集合戦、終盤の銃撃戦といったルートゲームループによって形成されていると言えます。
著者は以下のように述べています。「Fortniteのプレイヤー層の中核となるオーディエンスは、特定の Root Mechanics (建築と編集) と、特定の Root Game Loops (建築戦、編集戦) を好むように条件付けられた Root Player Profile を持っている、と仮説を立てます。」
この考え方を理解することで、Fortniteクリエイティブで成功するためのヒントが見えてきます。それは、既存のFortniteプレイヤーが慣れ親しんだメカニクスやゲームループを活かし、それを強化・拡張したゲームデザインを行うことです。
実際、Fortniteクリエイティブで人気のあるジャンル(BoxFight、Red vs. Blue、PitStyle FFAなど)は、これらのルートメカニクスやルートゲームループをうまく取り入れています。例えば、BoxFightは、建築と編集のスキルを存分に発揮できるシンプルなルールでありながら、非常に中毒性の高いゲームモードです。プレイヤーは、狭い空間で相手を出し抜き、建築と編集の技術を駆使して勝利を目指します。Red vs. Blueは、チーム対戦形式で、建築や射撃のスキルだけでなく、チームワークや戦略も重要になります。PitStyle FFAは、個人戦形式で、建築や射撃のスキルを磨くだけでなく、立ち回りや判断力も鍛えることができます。
これらのジャンルが人気を集めているのは、Fortniteプレイヤーが慣れ親しんだメカニクスやゲームループを、より手軽に、より激しく体験できるからです。つまり、Fortniteクリエイティブで成功するためには、既存のFortniteプレイヤーの期待に応えつつ、新しい要素を取り入れ、彼らがより楽しめるようなゲーム体験を提供することが重要になります。
第2章: Root Player Profileの概念:成功の鍵
Root MechanicsとRoot Game Loops:プレイヤーが好む要素
UGC (User Generated Content) ゲーム、特にFortniteのようなベースとなるゲームが存在するプラットフォームでは、プレイヤーがどんなゲーム体験を求めているかを理解することが非常に重要です。この記事では、その鍵となる概念として「Root Player Profile」という考え方を提唱します。これは、ベースとなるゲーム(ここではFortnite: Battle Royale)の影響を受けたプレイヤーの心理状態を指します。
Root Player Profileは、以下の2つの要素によって形作られます。
Root Mechanics (ルーツメカニクス):ベースとなるゲームに固有のゲームメカニクスのことで、プレイヤーがゲームの状況に関わらず常に体験する要素です。
Root Game Loops (ルーツゲームループ):ベースとなるゲームで頻繁に遭遇し、繰り返されるゲームの状況や段階です。
RobloxとFortniteを比較すると、このRoot Player Profileの重要性がより明確になります。Robloxには特定のベースとなるゲームが存在しないため、プレイヤーはゲームプレイのメカニクス、ゲームループ、あるいはジャンルに対する先入観を持っていません。そのため、クリエイターは比較的自由に新しいゲーム体験を提供できます。
一方、FortniteプレイヤーはまずバトルロイヤルモードをプレイすることでFortniteの世界に入ってきます。つまり、FortniteのUGCクリエイターが対象とするプレイヤー層は、特定のメカニクスやゲームループに対する好みを既に持っている可能性が高いのです。BoxFightやRed vs. Blueといった定番ジャンルが人気を集めるのは、プレイヤーがFortniteで培った好みに合致しているからだと考えられます。
このRoot Player Profileを理解することで、プレイヤーが好む要素を強化・拡張したUGCコンテンツを開発できるようになり、成功への道が開けます。
FortniteにおけるRoot MechanicsとRoot Game Loopsの具体例
では、Fortniteプレイヤーは具体的にどのようなRoot MechanicsやRoot Game Loopsを好むのでしょうか?
まず、Root Mechanicsについて考えると、建築、編集、そして銃撃戦が最も影響力のある要素と言えるでしょう。Fortniteプレイヤーは、これらのメカニクスを使いこなすことで達成感を得ており、その操作感自体を楽しんでいます。熟練したプレイヤーは、建築や編集を繰り返すうちにフロー状態(何かに没頭して高い集中力を発揮している状態)を経験することもあります。つまり、これらのメカニクスを効果的に活用できるゲームは、プレイヤーにとって「気持ちの良い」ゲーム体験となり、繰り返しプレイされる可能性が高まります。
次に、Root Game Loopsについて考えてみましょう。Fortniteのバトルロイヤルモードで頻繁に繰り返される状況として、**建築バトル、戦術的な編集対決、終盤の銃撃戦、そして最高の装備を手に入れるための探索(宝箱を開けるなど)**が挙げられます。これらの状況は、プレイヤーにとってスリリングで、やりがいのある体験であり、高い頻度で遭遇することから、強く記憶に残ります。
これらのRoot MechanicsとRoot Game Loopsをまとめると、Fortniteプレイヤーは以下の特性を持つRoot Player Profileを持っていると仮定できます。
建築と編集のメカニクスが好き
建築バトルや編集対決が好き
終盤の銃撃戦が好き
強力な装備を手に入れるのが好き
この仮説を検証するために、人気のあるFortnite UGCジャンルが、これらのRoot MechanicsやRoot Game Loopsをどのように強化・拡張しているかを分析してみましょう。例えば、人気のマップでは、バトルロイヤルではなかなか遭遇できない建築バトルを、より高頻度で体験できるように設計されていることがあります。これは、プレイヤーが求めるゲームループを理解し、それを効率的に提供することで成功している良い例と言えるでしょう。
さらに、Epic Games自身の事例もこのRoot Player Profileの重要性を示唆しています。Fortniteのチャプター5シーズン3「Wrecked」は、多くのプレイヤー、特に競技性の高いプレイヤーから批判を受けました。その理由は、新シーズンで導入された車の改造という要素が、プレイヤーが好むRoot Game LoopsやRoot Mechanicsを阻害したからです。車を改造して乗り回ることが勝利の必須条件となり、建築や編集といった従来の戦略が通用しなくなってしまいました。
しかし、その後Epic Gamesは「Reload」モードを導入することで、批判を払拭しました。「Reload」は、かつて人気だったマップを舞台に、宝箱の出現率を100%にするなど、プレイヤーが好むゲームループとメカニクスを強化したモードです。その結果、「Reload」はプレイヤーから圧倒的な支持を受け、現在ではゼロビルドモードと肩を並べるほどの人気を博しています。
これらの事例から、Root Player Profileを理解し、それを活用することが、Fortnite UGCで成功するための重要な戦略であることがわかります。
第3章: 人気UGCジャンルの分析:Root Player Profileとの関連性
人気ジャンルの成功要因:既存のゲーム要素の強化・拡張
FortniteのUGC(ユーザー生成コンテンツ)で成功しているジャンルには、共通点があります。それは、Fortniteの根幹をなすゲーム要素、つまり**Root Mechanics(ルートメカニクス)とRoot Game Loops(ルートゲームループ)**を強化・拡張していることです。
Root Mechanicsとは、Fortniteプレイヤーなら誰もが経験する、ゲームの基本的な操作や仕組みのことです。例えば、建築、編集、射撃などが挙げられます。これらの操作は、ゲームモードに関わらず常にプレイヤーを付きまとう要素です。
Root Game Loopsとは、Fortniteの試合中に頻繁に繰り返される状況やフェーズのことです。例えば、建築バトル、編集バトル、終盤の銃撃戦、宝箱を開けて最高の装備を集めるなどが挙げられます。
これらの要素は、Fortniteプレイヤーにとって非常に馴染み深く、心地よいものです。なぜなら、彼らはバトルロイヤルを通じてこれらの要素を何度も繰り返し経験し、ある程度の熟練度を獲得しているからです。熟練した操作や戦略を用いることによって、プレイヤーは達成感や爽快感を得ます。つまり、Fortnite UGCで成功するためには、既存のゲーム要素を活かし、プレイヤーが慣れ親しんだ操作感や達成感を損なわずに、新しい体験を提供することが重要になるのです。
例えば、記事内で触れられているように、既存の人気マップは、バトルロイヤルではなかなか体験できない特定のRoot Game Loopを、より短い時間で、より高頻度で体験できるように設計されています。建築バトルを思う存分楽しみたいプレイヤーは、建築バトルに特化したマップを選ぶでしょう。終盤の銃撃戦をすぐに体験したいプレイヤーは、最初から装備が整っているマップを選ぶでしょう。このように、プレイヤーのニーズに合致した体験を提供することが、UGCコンテンツ成功の鍵となります。
Epic Gamesの事例:プレイヤーの嗜好を無視することの代償
Fortniteの開発元であるEpic Games自身も、プレイヤーの嗜好を無視した結果、苦い経験をしています。具体的には、チャプター5シーズン3「Wrecked」の初期段階において、プレイヤーからの批判が相次ぎました。その理由は、シーズンを通してゲームプレイが大きく変わり、プレイヤーが好むRoot Game LoopやRoot Mechanicsがほとんど存在しなくなったからです。
シーズン開始当初は、車の改造要素が導入され、銃撃戦の重要性が著しく低下しました。勝つためには、車を見つけて改造し、ひたすら走り回る必要があったからです。また、建築や編集といった要素も、改造車やニトロの加速によって簡単に破壊されてしまうため、あまり意味をなさなくなりました。新しいシーズンは、車を使った新しい体験を提供するものでしたが、同時に、多くのプレイヤーがFortniteに求めていた要素を奪ってしまったのです。
この状況を打開するために、Epic Gamesは「Reload」モードを導入しました。「Reload」は、過去の人気マップを舞台に、常に戦闘が起こるように設計されており、宝箱の出現率も100%と高くなっています。さらに、「Reload」という独自のメカニズムを追加することで、ゲームに緊張感と高揚感を与えています。
「Reload」の成功は、Epic Gamesがプレイヤーの嗜好を理解し、それに応えた結果と言えるでしょう。プレイヤーは、馴染みのあるマップで、頻繁に戦闘を繰り広げ、最高の装備を手に入れ、チームのために戦うという、まさにFortniteの醍醐味を凝縮したような体験を求めていたのです。
Epic Gamesの事例から学ぶべきことは、プレイヤーの嗜好を無視した変更は、一時的に斬新な体験を提供できたとしても、長期的にはプレイヤーの離脱を招く可能性があるということです。逆に、プレイヤーが好む要素を理解し、それを強化・拡張することで、プレイヤーの満足度を高め、UGCコンテンツの成功に繋げることができるのです。
第4章: 戦略的イノベーション:新しいジャンルを創造する方法
Root Player Profileを活用したゲームデザイン:創造性の源泉
Fortnite UGCで成功するためには、ただ単に人気のジャンルを真似るだけでは不十分です。真に革新的なゲームを生み出すには、Root Player Profile、つまりFortniteプレイヤーの心理を深く理解し、それをデザインに活かす必要があります。
Root Player Profileとは、Fortniteというベースゲーム(バトルロイヤルモード)の経験を通してプレイヤーが培ってきた、好みのゲームプレイ要素、メカニズム、そしてゲームループのことです。Robloxのようなベースゲームが存在しないプラットフォームとは異なり、Fortniteのプレイヤーは、バトルロイヤルで培われた特定の期待感や要求を持ってUGCコンテンツに臨みます。
具体的には、Root Mechanics (根幹となるメカニズム) と Root Game Loops (根幹となるゲームループ) の2つを理解することが重要です。
Root Mechanics: Fortniteプレイヤーがゲームの文脈に関わらず経験する、ゲーム本来のメカニズムです。例えば、建築、編集、そして銃撃戦などが挙げられます。これらのメカニズムは、プレイヤーにとって長年のプレイを通して培われたスキルであり、熟練することでフロー状態(完全に集中し、没頭している状態)を経験することもあります。したがって、これらのメカニズムを活かしたゲームは、プレイヤーにとって馴染みやすく、心地よくプレイできる可能性が高いです。
Root Game Loops: ソースゲーム(Fortniteバトルロイヤル)で頻繁に遭遇し、繰り返しプレイされる状況やフェーズです。具体的には、建築バトル、戦術的な編集バトル、終盤の銃撃戦、そして最高の戦利品を獲得するための探索(宝箱を開けるなど)が挙げられます。これらのゲームループは、プレイヤーが最も好むものであり、UGCゲームでこれらの要素を強化または拡張することで、プレイヤーのエンゲージメントを高めることができます。
Epic Games自身も、このRoot Player Profileの重要性を示唆する事例があります。C5S3(チャプター5シーズン3)では、改造可能な車が登場しましたが、銃撃戦の重要性が低下し、建築や編集の優位性が失われたため、多くのプレイヤーから批判を受けました。これは、プレイヤーが好むゲームループやメカニズムを無視した結果と言えるでしょう。しかし、その後にリリースされた「Reload」モードでは、懐かしいロケーション、高い戦利品スポーン率、そして独自の「Reload」メカニズムが採用され、バトルロイヤルで培われたゲームループとメカニズムが強化されたため、プレイヤーからの支持を取り戻しました。
つまり、創造的なゲームデザインとは、既存の要素を完全に無視するのではなく、Root Player Profileを理解し、プレイヤーが愛する要素を認識した上で、それらをベースに革新的な要素を組み込むことなのです。これは、創造性を制限するものではなく、むしろ創造性の源泉となり、プレイヤーに響くゲームを生み出すための戦略的な指針となるでしょう。
成功事例:Minigame BoxPvPに見る融合ジャンルの可能性
Root Player Profileを活用したゲームデザインの好例として、Dagwummy & Birdo氏による Minigame BoxPvP (MGB) が挙げられます。MGBは、人気のUGCジャンルであるBoxFightをベースに、創造的な工夫を加えたゲームです。
BoxFightは、限られた空間(ボックス)の中で、建築と編集のスキルを駆使して相手を倒すというシンプルなルールですが、MGBはそこにミニゲームの要素を融合させました。これにより、プレイヤーは長年のプレイを通して培われた編集スキルを発揮しながら、新しい問題解決に挑戦し、よりカジュアルなレベルでBoxFightを楽しむことができます。
なぜMGBが成功したのでしょうか?それは、MGBがBoxFightという確立されたジャンルをベースに、Root Player Profile、特に建築と編集に対するプレイヤーの習熟度を理解した上で、新しい層のニーズに応えたからです。MGBは、BoxFightの熱心なプレイヤーだけでなく、よりカジュアルなプレイヤーも楽しめるように設計されており、その結果、幅広い層からの支持を集めることに成功しました。
MGBの成功は、単に既存のジャンルをコピーするのではなく、Root Player Profileを理解し、プレイヤーが好む要素を維持しつつ、新しい要素を融合させることで、新たなジャンルを生み出すことができることを示しています。これは、Fortnite UGCエコシステムにおける創造的なイノベーションの可能性を示唆するものであり、他の開発者にとっても刺激的な事例となるでしょう。
第5章: 実践的アドバイス:創造性を高め、持続可能なビジネスを築く
Mech Journalの活用:ゲーム分析とインスピレーションの源
Fortnite UGCで成功するためには、単に流行を追うだけでなく、創造性を高め、それを維持していくことが重要です。そのための実践的なアドバイスとして、ここでは「Mech Journal」の活用を提案します。
Mech Journalとは、ゲームデザイナーであるBen Brode氏(Hearthstone、Marvel Snap)が提唱する、ゲームのメカニズム(Mechanics)を詳細に分析・記録するためのノートのことです。彼はゲームデザインについて「ゲームデザインは料理と似ている。様々な材料(メカニクス)を知っていて、それらを組み合わせることで新しい料理(ゲーム)を作ることができる」と語っています。
Mech Journalは、まさにこの「材料」の棚卸しをするためのツールです。 具体的には、以下のような情報を記録します。
好きなゲームループ: どのような状況で、どのような感情になるのか? 例:「Fortniteの終盤、最後の1対1での建築バトルは手に汗握る緊張感がある」
興味深いメカニクス: どのような操作感で、何が面白いのか? 例:「Reloadのロードアウト要素は、状況を大きく変えることができるためワクワクする」
ゲーム全体を通して感じたこと: 何が面白く、何が改善点か? 例:「BoxFightの、狭い空間での緊張感と、スピーディーな判断が求められるところが面白い」
Mech Journalの目的は、単にゲームをプレイするだけでなく、意識的にゲームを「分解」し、その面白さの根源を理解することにあります。 分析対象はFortnite UGCだけでなく、他のゲームでも構いません。 重要なのは、様々なゲームをプレイし、常に「なぜ面白いのか?」という問いを持つことです。
Mech Journalは、インスピレーションの源泉としても機能します。 新しいゲームのアイデアを考える際に、Mech Journalを参考にすることで、既存のメカニクスを組み合わせたり、拡張したりすることで、独創的なゲームデザインを生み出すことができます。 例えば、BoxFightの緊張感と、ミニゲームの多様性を組み合わせた「Minigame BoxPvP」のような、新しいジャンルを創造することも可能です。
Mech Journalは特別なものである必要はありません。ノートでも、デジタルツールでも、自分が使いやすい形式で構いません。 重要なのは、継続的にゲームを分析し、記録していくことです。 Mech Journalを活用することで、ゲームデザイナーとしてのスキルを向上させ、創造性を高めることができます。
創造性の維持:文化進化に抗い、独自の価値を追求する
UGCエコシステムは、常に変化し続ける「文化進化」の場です。 短期間でトレンドが移り変わり、効率的な模倣が繰り返されることで、革新的なアイデアが生まれにくい状況に陥る可能性もあります。 そのため、創造性を維持するためには、文化進化に抗い、独自の価値を追求する意識を持つことが重要です。
具体的には、以下の3つのポイントを意識しましょう。
流行に流されない: 人気のあるジャンルを研究することは重要ですが、完全に模倣するのではなく、独自の要素を加えて差別化を図りましょう。 既存のジャンルを融合したり、新しいメカニクスを導入したりすることで、オリジナリティを出すことができます。
独自の価値観を持つ: お金儲けだけを目的とするのではなく、「プレイヤーにどのような体験を提供したいのか?」「どのような感情を呼び起こしたいのか?」といった、独自の価値観を持ちましょう。 自分の価値観に基づいたゲームを作ることで、熱狂的なファンを獲得することができます。
常に新しいことに挑戦する: 成功したからといって、現状に満足せず、常に新しいアイデアを追求し続けましょう。 未開拓のジャンルに挑戦したり、既存のメカニクスを大胆にアレンジしたりすることで、新たな可能性を開拓することができます。
創造性を維持することは、決して簡単なことではありません。 しかし、独自の価値を追求し続けることで、UGCエコシステムにおいて唯一無二の存在となり、持続可能なビジネスを築くことができるでしょう。
Fortnite UGCのエコシステムは、まだ始まったばかりです。 創造性と革新を大切にし、独自の価値を追求することで、このエコシステムをより豊かにしていくことができるはずです。
おわりに
UGCエコシステムの未来:創造性と革新の重要性
UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、常に変化し続ける文化的な進化の過程にあります。それはまるで、SNSでトレンドが瞬く間に現れては消えていくのと同じです。FortniteのUGCエコシステムも例外ではありません。トレンドは生まれ、消え、あるいは定着します。しかし、進化には特定の方向性はありません。最も効率的なものが残りやすいという傾向があります。効率化自体は悪いことではありませんが、創造性や革新は、必ずしも効率的とは限りません。時に、それは非常に非効率的です。
もし、創造性よりもお金が重視されるようなエコシステムになってしまったらどうでしょうか?革新はほとんど起こらず、同じジャンルが何度も繰り返される世界。そんな未来が訪れる可能性も否定できません。
しかし、創造性を追求することには、深い哲学的価値があると私は信じています。誰も見たことのないものを創り出すこと、新しいジャンルやゲームを発明すること、完全にオリジナルの物語を語ること。私にとって、それこそが私たちがここにいる理由なのではないかと思うのです。
例えば、FortniteのUGCでは、既存の人気ジャンルの亜種が、さらに亜種を生み出すような現象が起きています。Dagwummy & Birdo氏による「Minigame BoxPvP」は、人気ジャンルであるBoxFightをベースに、創造的なひねりを加えたものです。これは、既存のジャンルを深く理解し、そのエッセンスを新しい形で表現することで生まれた、まさに創造性と革新の結晶と言えるでしょう。
この「Minigame BoxPvP」のように、既存のゲームメカニクスやゲームループを理解し、それを土台として革新的な要素を加えることで、プレイヤーに新しい体験を提供できます。これは、既存のゲームに飽きてしまったプレイヤーや、新しい刺激を求めているプレイヤーにとって非常に魅力的な選択肢となります。
読者へのメッセージ:創造的な価値を追求し、エコシステムを形作る
読者の皆さん、私たちは、まだ始まったばかりのUGCエコシステムを形作るという重要な役割を担っています。クリエイターや開発者を導き、UGCゲームの新たな時代を切り開くために、どのような価値観を共有していくのかを決めるのは私たち自身です。
創造性を当たり前のものだと思わないでください。革新は簡単には、安価には、自然には生まれません。何が重要なのかを決めるのは、皆さん自身なのです。
Ben Brode氏(Hearthstone、Marvel Snapの開発者)は、GDCの講演で、ゲームデザインのプロセスについて、Marvel Snapのデザインにおいて、あらゆる要素を分解し、その本質を理解しようと努めたと語っています。彼は、ゲームを「食材が詰まった棚」と表現し、必要な時にその中身を取り出して組み合わせることで、新しいレシピ、つまり新しいゲーム体験を生み出すことができると述べています。
この考え方からヒントを得て、私は「Mech Journal」というノートを作りました。このノートには、Fortnite UGC体験を中心に、ゲームループ、ゲームメカニクス、そしてそれらが私に与える感情を詳細に記録しています。ゲームを分解し、分析することで、その本質を理解し、そこからインスピレーションを得ることができるのです。
創造性は筋肉のようなものです。ゲームを分析し、分解する行為は、筋トレをするようなものです。革新は練習によって生まれます。自然に生まれることは稀です。あらゆる種類のゲームを分解し、分析する練習をしましょう。そして、競合のマップやゲームを、学びの機会、分解して自分のために要素を取り出すことができるレシピとして捉えましょう。
最後に、創造性を大切にしてください。既成概念にとらわれず、常に新しいアイデアを追求し、それを形にしてください。そうすることで、UGCエコシステムはより豊かで多様なものになり、私たち自身も、より創造的な存在として成長していくことができるでしょう。