
2つのゲーム
お金の増えるゲーム、減るゲーム。
あなたはどっちに参加してる?
「投資って、結局ギャンブルでしょ?」
「うまい人だけが勝って、誰かが損する世界なんじゃないの?」
投資にそんなイメージを持っている人、少なくないと思います。
確かに、株価の上がり下がりに一喜一憂したり、一瞬で大金を稼いだり失ったり……。
そう聞くと、ギャンブルのように感じるのも無理はありません。
でも実は、投資の世界には2つのゲームがあるんです。
「プラスサムゲーム」と「マイナスサムゲーム」。
この2つ、何が違うのか?
どちらに参加すべきなのか?
その答えを知るだけで、あなたの投資との向き合い方はガラリと変わります。
しかも、お金に振り回される人生から、お金を味方にする人生へと一歩踏み出せるかもしれません。
■ 2つのゲームのルールを知ろう
まずは、「プラスサムゲーム」と「マイナスサムゲーム」のルールを簡単に説明します。
プラスサムゲームは、参加者全員が勝てる可能性のあるゲームです。
たとえば、株式市場の長期投資がその代表例。
企業は日々、新しい商品やサービスを生み出し、利益を上げています。
その結果として企業の価値は上がり、株価も長期的には上昇していきます。
つまり、企業の成長に投資すれば、経済全体のパイが大きくなり、みんなでその果実を分け合えるという仕組みです。
これが「プラスサム」の意味。
世界経済はこれまで緩やかに、でも確実に成長してきました。
そして、これからも成長を続けると考えられています。
長期的に見れば、世界全体は豊かになる。
その成長の果実を、投資家は分け合えるわけです。
一方で、マイナスサムゲームはどうでしょうか?
これは、参加者全員の合計がマイナスになるゲームです。
FX(外国為替証拠金取引)、先物取引、短期の株式売買などがこれに当たります。
「ゼロサムゲーム」と呼ばれることもありますが、実際にはゼロどころかマイナス。
なぜなら、取引には常に手数料や税金がかかるからです。
誰かが儲けても、全体で見れば手数料の分だけ“目減り”します。
これが、マイナスサムゲームの正体。
もっとわかりやすく言えば、短期売買は「誰かの利益=誰かの損失」になる世界。
さらに、証券会社という“胴元”に手数料を払わなければいけないので、個人投資家同士の争いは、常に不利な条件で行われています。
■ プラスサムとマイナスサム、どっちがいい?
ここまで読んで、「プラスサムゲームに決まってるじゃん」と思った人、正解です。
でも、現実には多くの人がマイナスサムゲームに夢中になっています。
なぜでしょうか?
それは、人間の「本能」に訴えかけるからです。
「今すぐ儲けたい!」
「大きく稼いで、一発逆転したい!」
そんな欲望が刺激されるんです。
SNSやニュースでは、「ビットコインで3億円!」とか、「この株で資産5倍!」なんて話が飛び交っています。
でも、冷静に考えてみてください。
宝くじで1等を当てた人の話はニュースになりますが、何も当たらなかった数百万人の話はニュースになりません。
投資も同じです。
短期で大儲けした人の声はよく聞こえるけど、静かにお金を溶かした人の声は届きません。
その結果、私たちは「一発逆転できるかも」と錯覚してしまうんです。
でも、マイナスサムゲームは本質的に、長く続ければ続けるほど負けやすいゲーム。
なぜなら、取引回数が増えれば増えるほど、手数料などのコストが膨らむからです。
■ 投資は「果樹園」を育てるもの
ここで、プラスサムとマイナスサムをもっとイメージしやすく例えましょう。
プラスサムゲームは、果樹園を育てるようなもの。
最初に苗木を植え、日々水をやり、時間をかけて成長を待つ。
実がなるまでには時間がかかりますが、一度果樹園が育てば、毎年果物が実ります。
しかも、放っておいても自然と果実は増えていく。
これが、長期投資のイメージです。
一方、マイナスサムゲームは、市場で果物を転売して利益を狙うようなもの。
朝仕入れて、夕方には売り切る。
うまくやれば儲かりますが、失敗すれば腐って損を出します。
しかも、市場の使用料(手数料)は毎回かかる。
その結果、ほとんどの人が疲弊して去っていくのです。
■ 勝ちやすいゲームに参加しよう
では、どうすればプラスサムゲームに参加できるのか?
答えはとてもシンプルです。
「市場全体に長期で投資する」。
これだけ。
具体的には、グローバル株式インデックスファンドにコツコツ積み立てればOKです。
個別株を選ぶ必要はありません。
「どの会社が伸びるか」なんて予想しなくてもいい。
世界中の企業全体に投資することで、経済全体の成長を取り込むことができるからです。
世界経済は、これまでずっと成長してきました。
時にはリーマンショックやコロナショックのような大きな暴落もありましたが、長い目で見れば右肩上がり。
株式市場は、景気後退を繰り返しながらも、必ず前より高い地点に戻ってきました。
それが「市場の力」であり、「プラスサム」の威力です。
だからこそ、短期的な値動きに振り回されず、じっくり構えることが大切。
投資は「果樹園」を育てるもの。
焦って果実を取ろうとすると、まだ熟していない実を落としてしまいます。
時間を味方にし、コツコツ積み立て、じっと待つ。
それだけで、投資の成功率はグッと上がります。
■ お金と仲良く生きるために
結局のところ、私たちは「どんなゲームに参加するか」を選べる立場にあります。
目先の利益を狙うマイナスサムゲームに飛び込むか。
それとも、じっくり果実を育てるプラスサムゲームに参加するか。
そして、もうひとつ大切なことがあります。
それは、「お金のために働く人生」から、「お金を働かせる人生」へシフトすること。
お金をただの「使うもの」ではなく、「育てるもの」として捉えるだけで、人生の選択肢は広がります。
もちろん、リスクはゼロではありません。
でも、時間を味方にすることで、そのリスクを抑えることができる。
投資とは、単なる「お金儲けの手段」ではなく、
「より自由な人生を手に入れるための道具」なのです。
■ さあ、あなたはどちらのゲームを選びますか?
これからの人生、あなたはどちらのゲームに参加しますか?
勝率の低いマイナスサムゲームで、疲弊しながら戦い続けますか?
それとも、時間と共に資産が育つプラスサムゲームで、心に余裕のある人生を目指しますか?
難しい知識や高度なテクニックはいりません。
必要なのは、「ゲームを選ぶ勇気」と「続ける根気」だけ。
投資の世界は、選び方ひとつで、勝率が大きく変わります。
未来の自分に、少しだけ“時間”と“お金”をプレゼントしてみませんか?