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全世界株式インデックス・ファンドを選ぶ合理的な理由

投資を始めると、多くの人が直面する最初の課題は「どこに投資するべきか」という問いです。

特にアメリカ株(S&P500)に集中するべきか、それとも全世界株式インデックス・ファンドを選ぶべきか、という選択は投資初心者にも上級者にも重要なテーマです。

私は、結論として「全世界株式インデックス・ファンド」が最も合理的で、長期的に見て多くの人に適している選択肢だと考えます。

その理由を具体的な数字やデータを交え、分かりやすく解説していきます。

全世界株式とは何か?


全世界株式インデックス・ファンドは、世界中の上場企業に幅広く分散投資する投資信託です。

例えば、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が代表的な商品です。

これらのファンドは、アメリカ株、ヨーロッパ株、日本株、新興国株などをバランスよく組み入れています。

具体的な配分例を挙げると、アメリカ株が約50~60%、日本株が約6~7%、ヨーロッパ株が約15~20%、新興国株が約10~12%です。

この配分は、世界全体の株式市場の時価総額を基に決められており、世界経済の成長にまるごと乗る形になります。

全世界株式を選ぶ理由

1. 未来は誰にも予測できない

投資の最大のポイントは、「未来を予測しないこと」です。

どの国がこれから成長するのか、どの企業が成功するのかを正確に見通せる人はいません。

例えば、1980年代、日本は世界第2位の経済大国として注目されていました。

当時、日本株(日経平均)は全盛期で、未来も明るいと信じられていました。

しかし、その後バブルが崩壊し、日本株は30年以上も低迷を続けました。

一方で、同じ時期にアメリカ株はITバブルやリーマン・ショックを乗り越え、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などの成長により大きなリターンを生み出しました。

このように、どの国が将来成長するかを正確に当てるのは不可能です。

だからこそ、「すべての国に投資する」全世界株式インデックス・ファンドが合理的なのです。

2. リスク分散の力

全世界株式は、投資先を地域や企業規模ごとに分散することでリスクを軽減します。

例えば、ある年にアメリカ経済が低迷しても、アジアやヨーロッパが成長していれば、ポートフォリオ全体のパフォーマンスを維持できます。

これは、1つのカゴに卵をすべて入れない「リスク分散」の考え方そのものです。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)のデータを見ると、過去20年間で年平均リターンは約7%と、地域ごとにバラつきがある中でも安定した結果を示しています。

3. 安心感のある選択

全世界株式インデックス・ファンドを選ぶと、どの地域が次に成長するかを気にする必要がありません。

「経済全体に広く投資する」というシンプルな仕組みは、初心者にもわかりやすく、心理的負担を軽減します。

たとえ一部の地域や企業が不調でも、世界全体が成長する限りリターンを得られるのです。

アメリカ株だけで良いのでは?


よくある質問に、「アメリカ株だけに投資すれば良いのでは?」というものがあります。

確かに、過去10年間、S&P500(アメリカ株)は年平均10%以上のリターンを記録しています。

GAFAやテスラのような巨大企業がその成長を牽引してきました。

しかし、過去のリターンが未来を保証するわけではありません。

1980年代には日本株が世界の投資家の注目を集め、未来も成長し続けると考えられていました。

しかし、バブル崩壊後、日本株に集中投資していた人たちは長期的な低迷に苦しみました。

全世界株式は、そうした集中投資のリスクを避ける手段です。

仮にアメリカ経済が低迷したとしても、他の地域の成長で損失を補える可能性があります。

全世界株式の具体的なリターン


全世界株式インデックス・ファンドの過去10年間の実績を見ると、年平均7~8%のリターンを記録している商品が多くあります。

これは、複利効果を考慮すると、長期投資において非常に大きな成果をもたらします。

例えば、100万円を投資して年7%で運用した場合、10年後には約200万円、20年後には約400万円になります。

この成長率は、1つの国や地域に偏らず、世界全体に投資することによって得られる安定的なリターンです。

想定される反論とその回答

Q. アメリカ株だけで良いのでは?

A. 確かにアメリカ株は過去10年間好調でしたが、将来も同じとは限りません。
日本や新興国の例から分かるように、どの国が次に低迷するかは予測不可能です。

Q. 全世界株式はリターンが低くないですか?

A. 年平均7~8%のリターンは長期投資では十分です。
複利の効果を考えると、20年後には元本が4倍になる計算です。

Q. 手数料が高いのでは?

A. 全世界株式インデックス・ファンドの手数料は0.1~0.2%程度と非常に低水準です。

長期運用においてコストがリターンを圧迫する心配はほとんどありません。

Q. 新興国株はリスクが高いのでは?

A. 確かに新興国株には短期的なリスクがありますが、全世界株式ではその割合は約10%程度に抑えられています。

ポートフォリオ全体への影響は限定的です。

たとえ話で説明


全世界株式インデックス・ファンドを果物の盛り合わせに例えましょう。

アメリカ株だけに投資するのは、リンゴだけを選ぶようなものです。

リンゴは栄養があり、おいしいですが、不作の年には困ります。

一方、全世界株式はリンゴだけでなく、バナナ、オレンジ、ブドウといった果物がすべて含まれています。

どれか1つが不作でも、他の果物で栄養を補えるのです。

結論


全世界株式インデックス・ファンドは、「予測せずに世界全体の成長に乗る」という合理的な選択肢です。

安定したリターン、リスク分散、低コストという利点が揃っています。

投資に迷ったときには、世界を丸ごと買うというシンプルなアプローチに戻ることをお勧めします。

それが初心者にも上級者にも、長期的に成功する最良の方法です。

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