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メリトクラシーすぎる 映画「六人の嘘つきな大学生」のレビュー🏫

 主演女優以外、全く内容を知らなかったが、「六人の嘘つきな大学生」を観てきた。主演女優は、浜辺美波さん。

 最初から、ツッコミどころ満載だった。内容ではなく、各キャラ設定だ。大学のイメージと絶妙にリンクさせている。
 架空の大学名(京王とか青教とか)にしないことにも妙に感心した。

・袴田=バンカラ、お酒好き=法政
・波多野=誰とでも合わせれる=立教
・矢代=ひそかなプライド持ち=明治
・九賀=溢れ出る金持ち感=慶應
・森久保=優等生だがフランクな一面もあり=一橋
そして主演は早稲田。

 映画の中でも学歴フィルターは存在することを暗に想起させる。
 
 登場人物の入試形態は不明だが、勝手に想像する。

・袴田=スポーツ推薦
・波多野=指定校推薦
・矢代=一般入試(私立専願の特待)
・九賀=内部進学
・森久保=進学校からの一般入試(東大からの志望校変更)

 正直、大学のイメージと1番一致しないのが、嶌である。(東大落ち早稲田なのかもしれない)

 舞台は、「スピラリンクス」という架空の企業だが外資系なのだろうか。 
 初任の年収が恐ろしく高い上に、この売り手市場の現在、1人しか採用しないって!
 就職氷河期か、リーマンショックの頃の話かもしれない。

 物語は、採用内定1枠を巡って、仲良さげな大学生たちが、最終面接にのぞむわけだが・・・

 いくら全員内定させる可能性があっても、初対面に近い大学生が一ヶ月でここまで距離を詰めるなんて、どんな陽キャの集まりだ。

 さらに恐ろしいのは、企業側がその様子をモニタリング(観察)して決める?!
 
 現実にはあり得ない前提だろうが、こんな採用方式をとったことが外部に漏れたら(映画のような地獄絵図が起こらなかったとしても)、その企業は終わりだろう。

 さて、採用1枠を勝ちとったのは、嶌。ここで前半戦終了。

 物語は数年後から後半戦が始まる。
後半は、浜辺さんの物語ともいえるだろう。いきなり新人ぽい子にダメ出しをしている浜辺さん。

 あの苛烈な入社面接を課した会社が、数年後には(コネかもしれないが)こんな子も入れてる、不思議である。

 再び集う最終面接に残った大学生たち。ここからは浜辺美波さんの独壇場だった。
 まさに「嶺上開花」炸裂、完全にその場(シーン)を支配した感があった。
【咲saki 実写版の主演は浜辺美波】

それにしても、この六人はメリトクラシーの思想が強い。

 メリトクラシーとは、一言でいえば能力主義に特化した考えで、資本主義社会の原動力の面もあるが、危うさも指摘されている。

 この六人は、「個人の能力」=「その人の人間性」と捉えており、本当の性格は見ようとしていない。このことが後の悲劇に繋がっていく。


 最後に、この映画を見て痛烈に感じたのは、今の大学生たちの多くが、BIG4などと呼ばれる一流企業に入ること=勝利者であると考えていることだ。
 演出者は、そのことを風刺しているのかもしれない。

 大学は就職予備校化し、多様化が叫ばれるこの時代に一流企業入社数を大学実績として競う。
 大学生はガクチカに奔走する。


 それはそれで立派なことだと思うが、せっかくの売り手市場だ。もう少し色々な価値観があってもいい。

 

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