どこにもどれるの ここから飛び降りたら
中学生の時。
中間・期末試験の前日になると、
前の棟のカヨちゃんの部屋が
暗くなるまで勉強した。
夜中に大震災が起きれば
テスト中止になるかな。
地球、滅亡しないかな。
団地の6階。
ここから飛び降りたら楽になるかな、
なんて考えた。
ニュースを見ては、
「自殺するなんて
気持ちがさっぱり分からないわ。
信じられない。」
と言う母に、
思いを打ち明けられるわけがなかった。
SNSのない時代。
歌謡曲の歌詞だけが
私の気持ちに共感してくれた。
死ぬ気なんてないけど、
ふとそんなことがよぎる自分が不吉で、
それを誰にも言えないことが
つらかった。
📚
中2の娘のテスト前日。
せっせと勉強する娘。
明るくしているけど、
どんな気持ちなのだろう。
「お母さんはね、
テストの前日になると、
地球滅亡しないかなって
思ってたんだー」
と、話す。
あっけらかんと話す。
「サユも!」
あっけらかんと同意。
ニコニコと
勉強に戻る娘。
不吉なことが
頭の中にあったとしても、大丈夫。
みんなそんなもんなのかも。
なにもかもなくなればいいのに、
そんなことを思ったり、
逆に、今が尊すぎて
時が止まればいいのにと思う
日もある。
そんなもんだよ。
📚
駅の改札を出て、
歩道橋を歩いていると、
中学生くらいの女の子が
歩道橋の手すりに足をかけ
まさに飛び降りようとしている時だった。
私は、思考が停止した。
横にいた女子高生が「ダメ!」と言って
飛びついた。
私の思考が再開する。
だよね、飛び降りようとしてるんだよね。
もう1人来てくれた女性と一緒に
飛び降りようとしている中学生の
腕とリュックを必死でつかむ。
女子高生が他の大人を呼ぶが
誰も止まってくれなかった。
3人で止めるしかない。
「私も、そういう時があったよ。
大丈夫。あなただけじゃないよ。」
必死で話しかけた。
女の子の力が抜けていく。
良かった。
本気で死のうとしていたのか、
誰か、止めてくれるんだろうかと
考えていたのか、
どうだろう。
その時、どんな気持ちだった?
本気で止めてくれる人がいて、
ホッとした?
迷惑だった?
私はなんにも力になれないや。
もし今も、
ふんばってくれているとしたらね、
あなたはそのままでいいよ。
どんな気持ちを心に隠し持っていても、
罪悪感は持たなくていいよ。
ただ、先延ばしにしてくれればいい。
素晴らしく生きようとしなくていいよ。
勉強が負担なら、
できなくても生きていけるし、
挫折しても、人生は終わらないよ。
人間関係に悩んでいるのなら、
あなたを傷つける人と、
可能な限り距離をおこう。
あなたを愛してくれる人は
必ず現れるよ。
大人になると分かるよ。
自分より過酷な環境にいた人が
こんなにたくさんいたのだと。
みんなそれぞれいろんな場所で
苦しみ、
耐え、
幸せそうな顔の仮面をかぶって
ここに辿り着いたのだと。
その時には、お互いに感謝するよ。
よくぞ、ここまで生きてくれていた。
あなたのおかげで
これから私は生きていける、と。
その時が、必ず来るよ。
一歩一歩、
進む足元だけを見つめて、
ただ、呼吸し続ける自分を
褒めよう。
動き続ける胸の鼓動を愛でよう。
たいして進めていなくてもいいから、
どうして私は進めてないの?と、
自分を責めないで欲しい。
自分より早く進んでいる人ばかり
追わないで欲しい。
あなたに、
救われる人が、
待っているから。
🌿
リュウゼツランという花は、
30年から50年に一度だけ、
咲くと言われています。
また、竹の花は、さらに長く、
60年から120年に一度だけ、
咲くのだそうです。
リュウゼツランと竹は、
焦ることがあるのだろうか。
毎日、毎年
花を咲かせる仲間を見て、
絶望するだろうか。
キレイだな。
キレイな花をいつも見せてくれてありがとう。
って感謝してるかも。
そして、リュウゼツランと竹が
花を咲かせた時には、
みんなで大喜びするのかも。
簡単に花を咲かせる子が
花を咲かせた時よりも、
町中で大喜びするのかも。
お互いに、
喜び合えたらいいな。
咲き誇っている存在を見て、
嘆かずに
喜べたらいいな。