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自分のつらさとばかり向き合っていた私
22歳で就職し、
29歳で産休に入るまで、
がっつり遊び、
がっつり仕事した。
社会の華を味わい尽くした。
自分が働いていた病棟で出産し、
産後5日目までは、
仕事の続きのような、
でも、私と娘だけの時間。
憧れの自分の赤ちゃん。
楽しくて仕方なかった。
退院すると、
いつ起きても、
いつお昼を食べても、
出かけようが、
掃除をしようが、
誰も気付いてくれない。
とんだ孤独だ。
私が今消えたって、
社会にはなんの影響もない。
恐ろしい。
子どもを抱いてベランダに出ると、
とんでもないことをしてしまいそうで、
怖かった。
15年前。企業の社宅が並ぶ町。
ワーママはほとんどいなかった。
同じ町のママたちの中には、
私と同じように社会から取り残されてる感を
持つ人は少なめ。
ゆったりのんびり子育てしていた。
小さな町を出て、未就園の娘を連れて
子育て支援の仕事を始めた。
社会から取り残されてる感を持つママに
たくさん出会えた。
同じ気持ちの人がこんなにたくさんいた。
私は、母性が足りないわけでも、
極悪人でも、
ダメ人間でもなかったのだと分かった。
真面目過ぎて、
人の目を気にしすぎで、
自尊心が低いだけだった。
そして、自分のつらさとばかり向き合っていた私。
子どもも大きくなり、
また、出会ったママの数も増え、
私と違うつらさを抱えるママもいると気付いた。
最近出会ったワーママさんたちの思い。
・社会人経験があまりないまま
子育てが始まったことにより自信がない。
20代前半から子育てばかりしていたので、
社会経験を積みたい。
・復職して、仕事だけで終わる一日がつらい。
・パパが仕事と主夫をしてくれて
自分がいなくても、家がまわっている。
お母さんの自分がなくなってしまうのではという不安。
・仕事ができることはありがたい。
でもおうちで子育てママが羨ましい。
夫への感謝と罪悪感。
・仕事で疲れて子供と夫に八つ当たり。
何もかも中途半端で思い通りにならない。
・毎日の仕事に追われて、浅い呼吸で、
身体に力を入れて、
なんとか踏ん張って生きている。
仕事だって、もっと心を配ってやりたい。
体が限界。
自分が悩んでいた時、
自分はなんて
恵まれてなくて
不器用で
弱いのだろうと思っていた。
悲劇のヒロインであった。
私は、
新しいママと出会う時、
新しい悩みに対峙する。
未知の世界へと足を踏み入れる。
甘えていた自分に気づく。
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先日、新生児訪問で、
ママに質問した。
「気持ちが落ちたことはありましたか?」
するとママは、
「すごくダメな方にばかり考える時期がありました。
でも、完璧にやらなきゃって思うのを
やめたんです。」
すごいなぁ。
産後3ヶ月で
そこに気づけたんだ。
私がうっすら気付いたのは、
上の子が5歳の時、
虐待家庭を訪問してた頃かな。
衣食住を満たしているだけで
私は偉いのだと分かった。
下を見て安心したわけではない。
とにかく、
キャパは人それぞれで、
それを越えようとして笑顔を失くしてはならない。
自分のできる範囲で
努力できるところは努力して
そんな自分を褒めてあげている人が作る家庭は
幸せだと感じたのだ。
レベルの高い育児を提供している人よりも、
自分にも
子どもにも
低めの目標を設定している人というのは、
見ていても幸せだと感じた。