結婚できない愚痴を吐いたらゲロも吐いちゃった女の話。〜下品も品のうち〜
結婚できない愚痴を吐いたら
ゲロも吐いちゃった女の話。
〜下品も品のうち〜
今回は同棲している私の婚約者の話をしたいと思います。
私と彼は、父が創立した吹奏楽団で出会いました。
彼が入団したきっかけは、当時付き合っていた人見知りの彼女に誘われて来たことでした。
その後、破局しましたが彼は団に残りました。
ちなみに
その元カノも未だに団におり、
私はメチャクチャ嫌われております。
そのお話はまた今度。
さて、本題に戻して。
破局した2人は同棲を解消せず、数ヶ月はずるずる一緒に暮らしていたそうです。
そして事が起きたのは、その年の正月。
多忙な私の実家の寺を毎年、吹奏楽団の団員が手伝いに来てくれます。彼も手伝いに来た1人でした。それも雪の中をバイクで来たのです。
日が暮れた夜、「路面が危ないから」と私の家族の判断で、彼を寺に泊めることになりました。
その冷えた夜。
寺で団員たちの飲み会が開かれ、楽しい晩となりました。
泥酔した私は彼と肩を組みながら、「独身だけど婚礼の撮影でバージンロードを歩いたからもういいや、毎週1人で何往復もしてるし」と"恋人ができない・結婚できない"愚痴を大声で吐き散らしながら赤ワインを飲みすぎて吐血のようなゲロを吐いたのです。悲惨な独身です。もはや妖怪。
そして皆が帰った後、父と彼の2人は客間で楽しく酒を飲み、向かい合ったソファでそれぞれ2人とも寝落ちをしたそうです。
我々が楽しく過ごす一方で、
彼をアパートで待っている元彼女。
そこであらぬ勘違いをします。
【女さんと泊まっているんだ】
全くの勘違いです。
彼は父と客間で寝て、
私はゲロを吐いていたのですから。
浮気を疑った彼女…浮気というか破局済みですけれどね。
それがきっかけで彼女は、彼のアパートを出て行きました。
その後、彼からのアタックがあり、私と彼は付き合い始めました。実は、破局後から私に好意を抱いてくれていたそうで。だから吹奏楽が好きでもないし暇でもないけれど、私に会うためにお寺に来ていたそうです。
好意を抱いている女が
酒を飲み過ぎて悲惨な姿になっても。
それでも私のことを好いてくれた彼。
…正直、見る目がない気もする。
運命の赤い糸ではなく、
必然の赤いゲロです。
それからしばらく経ちますが、
彼は私のことがとても好きです。
言葉はもちろん、気持ちは行動にも現れます。
私と一緒に居るということは
仕事を捨て、家を捨て、
寺修行の人生となります。
そして将来的には
この一生を坊主頭で過ごして、
いずれ住職になるということです。
彼はその全てを厭わないのです。
私は「お互いに暮らしやすくありたい」と思うのですが、彼は私が暮らしやすいように工夫することが楽しいようです。
本当にいい奴です。
親バカの父は、バカ娘と一緒になってくれるなら…と彼を認めました。
酒が大好きで強い肝臓自慢以外にも、
大型バイクを乗り回し、山にも海にも釣りへ行き魚を捌き。男性陣に負けずカメラを仕事にしている女ですから。
ハッキリ言って、男勝りでモテません。
それに父は彼のことを、吹奏楽団の団員として信頼していました。そして父と同じく、彼自身もバイクと機械いじりが趣味でしたので。
今考えると、お付き合いを認めた背景には
この要因が大きい気もしますね。
こうして
ゲロを吐いて親バカな父を説得し、彼氏をゲットできまして。現在は婚約まで至り、彼は近々修行の旅へ出発します。
人生いろいろ。
恥ずかしい失態が
無駄じゃない可能性がある、と
希望を持てた出来事でした。
とはいえ
今後一生
二度とこんなに悲惨な失態を招かないように
気をつけて生活したい。
そう肝に銘じる女でした。
…吐くと楽になるけどね。
女・著
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