ゴーストバスターズ/アフターライフ
ゴーストバスターズアフターライフのネタバレの感想を思いのままに書く。
最近良くないなー、と思いながら映画の感想を考えることがある。それは映画の外の情報を映画の感想に混ぜてしまうこと。例えばトムクルーズの映画はトムが歳をとっても自分でスタントやるとか、そういったことが映画の評価につながってしまう。繋がってダメなことはないけど、役者の年齢はストーリーには関係ないことだよね。
例えばスポーツ選手が怪我から復帰して活躍するのは感動しても良いと思うけど、俳優が怪我から復帰して素晴らしい作品を作るのは、もちろん素晴らしいけど、ストーリーには関係ない作品の外の話でしかない。復帰したから素晴らしい作品という評価はちょっと横暴な評価になってしまうなー。
だから純粋に作品として見て楽しいかどうか、これが映画の感想として向き合わなくてはいけないことだと思うのです。
だけど、今作はどうしても映画の外のこともひっくるめて見てしまった。そして映画の外のことも踏まえてみることでこの映画が素晴らしい映画だったと思ってしまった。
つまり感想としては最高だった。観てよかった。
最近は昔の映画の続編やリブート、リメイク、が多く作られてネタ切れとか色々言われていけるけど、子供のころ見た映画が長い年月をかけて続編を作ってくれることがこんなにも味わい深いものになるのであれば、タイミング良くこの時代に生きていたことはなんと運がいいのだろう。感謝しかない。
ここまで読んでゴーストバスターズアフターライフをまだ観ていない人は、一旦読むのを止めて、ゴーストバスターズ1&2を観た後にイゴン役のハロルドライミスが既に他界していることを知った上で今作アフターライフを鑑賞して欲しい。
ゴーストバスターズは一度女性メンバーでリメイクが作られていて、そちらはアメリカのコメディアンを中心に作られているのだけどはっきり言ってつまらない。前作のキャラもカメオ出演してたりと同窓会感はあるけど、お茶濁すという感じ。
リメイク作品やったあとの続編なので、個人的にはアメイジングスパイダーマン現象が起きるのではないかと不安だった。
アメイジングスパイダーマン現象とは私が勝手に名付けた現象なのだけど、リメイクや続編はオチを知ってる分マンネリ化しやすいということである。どんなに面白いストーリーもネタバレしているとただ情報をなぞるだけになる。旧作を見ていない人からすればいいのかもしれないが、こちとらゴーストバスターズ1&2に加えてリメイクの3作も見てる。
今更知っている説明満載でダレないか不安でしょうがなかったが、杞憂だった。
※因みに私はアメイジングスパイダーマン好きです。詳しくはNWHの感想読んでね笑笑
冒頭イゴンが何らかのゴーストと闘っているシーンから始まる。イゴンはシルエットのみで顔は映らない。今作はコメディではなくホラーを重視していて、どうやらイゴンの闘っているゴーストは強敵らしい。静寂な緊張感のあるシーンから今までとは一線を画す作品であることが窺える。
今作はこのメリハリのあるホラーとしての緊張感がいいスパイスを与えてくれた。
いつも映画を見ていて不思議なのは、面白い映画は映像が綺麗なのだ。奥行きがあるいうのか、映画の世界が広いというか、もちろんそういう映画が好みなだけかもしれない。
でもリメイクの方は最新技術使っているのに、なんか見ていてあまり面白くない。
今作はどことなく恐怖と緊張感が映像な端々にあり、のどかな田舎風景に影を落としている。また主人公の女の子が可愛い。顔がキレイというのもあるけど、どこかイゴンの面影があり性格も理屈屋で、キャラクターに魅力がある。魅力的なキャラクターがいるだけで観ていて楽しい。科学オタクなので、徐々に自分の祖父が何をしてきたのか解き明かしていく。その過程でゴーストになったイゴンが彼女にヒントを示していくのも粋な演出だ。今作はハロルドライミスの他界後に撮影されている。ただ姿の見えないゴーストのイゴンが度々登場するのはなんとも言えない胸の温かさを感じた。
敵役も一作目のあいつだし、鍵と門の神も出てくるので言ったら同じようなストーリーで展開していくのに退屈しない。むしろ上記の理由から主人公たちをしっかり見守れる。イゴンの面影と、今作の魅力的なキャラクター達、その上で世界を広げてくれる映像が観ていて楽しかった。あと銃座カッコいい。
何より感動的だったのは、ラストシーンだ。旧作のゴーストバスターズの面々がいいところに駆けつけて、いつも通りレイが軽口を叩き、その上でゴーストのイゴンがとうとうその姿を表して、4人が揃った場面は感無量だった。演者が既に亡くなっているのに、幽霊として共演させるなんて。全編通してイゴンを中心に据えて、、、、故人が活躍する映画なんて観たことがない。
イゴンが微笑みながなら家族と仲間に見守られて消えていった時に『FOR HAROLD(ハロルドに捧ぐ)』と一文が劇中入った。思わず涙しそうになってしまった。
今作の監督は旧作のアイヴァンライトマンの息子ジェイソンライトマン。旧作の監督の息子が旧作キャラの孫を主役にした続編を作るというのは中々ドラマチックだ。前述した通り、だからこの映画は〜という評価はしたくないし、ストーリーに絡めて家族の絆が〜みたいな感想も言いたくない。でもこれまで受け継いできた色んなものが、リアルとフィクションをクロスオーバーさせて私の目頭を熱くさせたのは間違いない。
なんというか、懐かしい故郷の思い出というか、タイムカプセルを開けた時の気持ちというか、長い人生の中で作り手も観る側もあの時に感じたものがあるから今この作品を見て感動出来ることがある。一緒に歳をとったから共感出来るノスタルジーがあるのだと思った。
こんな映画の楽しみ方が出来るなんて歳をとるのも悪くないなという気持ちになれた。
これを読んでる若い人はきっと懐古厨の老人と思うかもしれないので、一言。
今のうちに沢山映画見ておくと、いつか大好きな作品に続編が作られて、時代を経ることで年代物のワインのように一層味わい深く鑑賞出来るようになるから楽しみにしているといいよ。
さて、この感想を書くため色々調べていたら、なんとアイヴァンライトマン監督が2022年2月に他界されているのを知りました。決して良いことではないのですが、息子さんのアフターライフの公開を見届けられてよかった。
ご冥福をお祈りいたします。
そして、もう次回作が決まってるんですね!今作が良かった分、自作は高いハードルを乗り越えなくてはいけないのですが、次回作も期待しています。
・次回作情報
https://www.cinematoday.jp/news/N0130957
・イゴンに関して共有したい記事
https://theriver.jp/gb-afterlife-hr-rivival/2/
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