これもウニなの?変わった形の不正形類
こんにちは!
突然ですが、皆さんはウニといったら、どんなウニをイメージしますか?
恐らく我々がイメージするのは、黒くて、イガグリのような形をした生き物でしょう。お寿司もおいしいですよね(^^)
ですがなんと、そんなイメージからかけ離れた、変わったウニたちが実はたくさん居るんです。詳しくご紹介します。
●そもそもウニとは
そもそもウニとは、海底に暮らす動物で、棘皮動物というグループのメンバーです。他にもその仲間にヒトデやナマコ、ウミユリなどがいます。
棘皮動物の特徴として五放射相称があります。
五放射相称とは、体が五つの同じ部分から成り立っているということです。
↑インターネットで分かりやすいイラストがありました。このイラストを見てみると、やはり体が五つのパーツでできていることがわかると思います。
もう一つ棘皮動物の特徴として挙げられるのが、水管系です。
水管系は、人に血液がめぐるのと同じ様に、体に張り巡らされた管を海水が循環するシステムのことです。
●基本的な体の構造など
構造は、上のイラストのような感じになっています。
下の方に口があり、上に肛門があります。細長い歯の真ん中~根元を覆っているものは顎です。
この顎はアリストテレスのランタンとも言いまして、餌を食べるほかに巣穴を作るために岩を削ったりすることもあるので、とても発達しています。
また、呼吸や移動するときに使う管足という触手の様な器官もあります。管足は体の外に飛び出した水管系の一部で、循環している海水を使って自由自在に動かせます。
他にもいくつか器官はありますが、今回は割愛させていただきます<(_ _)>
種類についてですが、世界ではなんと約950種ものウニがいるそうです!
そのうち約160種が日本にいます。意外にも多いですね。
ウニはオルドビス期中期(約4億6500万年前)に誕生したと考えられています。恐竜の登場は三畳紀(約2億3000万年前)ですから、大先輩ですね!
●不正形とは
では、本題に入っていきます。
ウニは正形類、不正形類の二つに分類することができます。
↑一般的に知られるイガグリの形をしたウニは、五放射相称のきれいな円形の殻をもっています。海底などの表面に生活していて、口は下側、肛門は上にあります。
海藻や動物の死骸などをよく食べます。
このようなウニが正形類です。
一方で不正形類は……
↑こんな形をしています!人工物ではなく、ウニですよ!
不正形類は左右対称の殻をもち、前後ろの区別もあります。
口は下側にありますが、肛門は上ではなく後や下側にあります。
正形類とは違い砂に潜って生活していて、砂の中の有機物を食べています。(なので、基本食べられません)
詳細は後述しますが、上の写真のようにお花のような模様があるものもいます。
一部を除き多くの不正形類のウニたちは新生代あたりに出現した、新参グループです。つまり正形類の進化形というわけです。
●生態について
不正形類は砂の中に潜って生活しています。不正形類にもいくつかグループがありまして、
①タコノマクラ目
②カシパン目
③ブンブク目
④タマゴウニ目
の4つがあります。
①のタコノマクラ目は、実際にタコが枕にしてそうな形をしています。少し分厚いです。
②のカシパン目は、ウニ網で最も新しいグループで、タコノマクラ目より薄い印象。また、穴が開いている種もいます。粘液があり、常にヌメヌメしています。1㎝以下の小さいものもいて、実に多種多様です。
確かに菓子パンみたいです。
海外では、コインに似ていることから〔sand dollars〕呼ばれています。
③のブンブク目は楕円形の殻をもち、荒い砂利や細かい砂の中まで多くの環境に対応しており、様々な機能を持った管足を駆使して地中を削りながら移動します。
名前は、あの昔話の分福茶釜に出てくる狸が化けた茶釜がモデルだそうです。
最後④のタマゴウニは、名前の通り卵のようなウニで、
他に比べ古いジュラ紀に繫栄していましたが、今は衰退して3種しかいません。また、歯や顎(アリストテレスのランタン)がありません。
粗い砂礫中にいるので見つけにくく、中々生きた姿はみつからないそうです。
タコノマクラ目やカシパン目などにある花びら模様の正体は、呼吸用の管足なのです。
不正形類は砂の中にいるので、正形類のように周りに酸素を含んだ新鮮な海水が常にあるわけではありません。
なので不正形類は上側の管足を呼吸用に特化させて上面に集中的に配置することで、砂の粒子の隙間から来るわずかな酸素を効率的に取り込めるのです。また五放射相称であることもあり、花びらのような形になるのです。
形が円盤状なのも、水流に流されないためです。
カシパン目に穴が開いている種がいますが、なぜ穴が開いているかはよくわかっていません。水流に対抗するためとか、餌を効率よく運ぶためとか…説はいろいろとありますが。
不正形類に限らずウニの殻はよく海岸に漂着しています。タコノマクラとかも多く打ちあがっているので、見たことや拾ったことがある方もいるのではないでしょうか。とても奇麗なので、装飾に使われたり、コレクションされたりします。
●多様な仲間たち
さいごに、個性豊かな不正形類たちを紹介したいと思います!
タコノマクラ
タコノマクラは不正形類の中でも知名度が高めです。磯などに生息していて、周りの小石などを使ってカモフラージュする性質があります。
傷がつくと、緑色の体液が出てきます。
ヤマタカタコノマクラ
こちらは深海に生息するタコノマクラです。タコノマクラより大きく、平たいです。漁師の網にかかることが多く、かかったら漁港に捨てられてしまいます。かわいそうに。
スカシカシパン
名前の通りスカシ(穴)が5つあるカシパンで、固有種です。
マルチタレントの中川翔子さんがお好きなようで、スカシカシパンのキャラクターや菓子パン、歌まで作られたそうです。すごいですね!
ハスノハカシパン
蓮の葉には似てないような気もしますが僕だけでしょうか?大量発生することがあり、貝類などの成長に影響が出てしまうこともあるらしいです。
浅瀬にいます。
ヨツアナカシパン
名前にヨツアナとありますが穴はないです。きれいなピンク色をしています。他にもミナミヨツアナカシパンやヨツアナカシパンモドキなど似た種がいます。
よくタコノマクラと間違われがちな様です。
メキシカンアローヘッドサンドダラー
すごい名前ですね(笑)和名は無いです。
アメリカやメキシコら辺にいます。
この戦隊ものの仮面みたいな見た目がユニークで面白いです。
生きている姿は調べてもなぜか出てこず、殻しかヒットしませんでした。
エキセントリックサンドダラー
こちらのカシパンもアメリカやメキシコ周辺の砂地に生息しています。
面白いことにこのカシパンは立つのです。そうすることで、流れてくる有機物を受け取ることができます。一度生で見てみたいです。
マメウニの仲間
一見タマゴウニに見える子のウニたちはカシパンの仲間です。大きさは1㎝以下です。たくさん種類があるので、今回はマメウニの仲間という括りにしました。生態は謎です。
ヒラタブンブク
このブンブクは、とても早く動くことができて、1秒に20㎝も移動できるという情報もあります。見た目も相まって、ウニとは到底思えません。
海水浴場にもいるので、踏んでしまいケガをすることがあります。
オニヒメブンブク
オニヒメブンブクは、マリンアクアリウムを楽しむ方にはお馴染みかもしれません。というのも、この生物は水槽の底に溜まる餌の残りやその他の汚れを食べてくれるため、多くのアクアリストに重宝されています。
よく海水魚ショップで売られています。
ずっと砂の中に潜っているので、飼っていてもあまり姿は見えませんが。
ハグルマカシパン
アフリカ大陸沿岸に生息しているカシパンで、名前の通りハグルマのような形です。殻はよくインターネットで売っていたりしますが、個人的には化石がよく出回っている感じがします。
いかがだったでしょうか?
今回は、あまりなじみのないウニである不正形類の紹介でした。
ウニは奥深くて、とても興味深い生き物です。
今回紹介したウニたちはほんの一部です。海の中にはまだまだ知られざるウニがたくさんいます。海辺を訪れた際には、周りをよく観察してみてください。ぜひ自分の推しウニを見つけてみてはどうでしょうか。