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The Doors【全アルバム】なにもかも「伝説」と呼ばれるのにふさわしい!

はい!The Doorsです!

JimMorrisonという、米国の若者たちが最も不安定な未来しか描けなかった時代を駆け抜けた、詩人であり、かつロックシンガーであった巨大な象徴がVo.=フロントマンを務めるバンドです。偉大です!あまりに偉大すぎて、みんなあまり聴き込むまでしないバンドです...笑

ですが、サウンドはホントにユニークでかなりの数のバンドのサウンドを聴いてきたつもりの私ですが、The Doorsに似ているサウンドは一つもありません!誓ってありません!しかも、お日様が燦々と照る西海岸LA出身です。このサウンドが、単に、バンドとして存在するというだけでなく、ヒットチャートのNo.1をとるほどに大衆受けするのですから、米国という国は半端じゃないです・・・少なくとも1968年までは・・・。

全アルバムを紹介したいのですが、コンピやベスト盤は除きます。このメモでは、JimMorrisonがなくなるまでのオリジナルのスタジオアルバム6枚を取り上げたいと思います。


このバンドが、ロック・ミュージックを語る上で極めて特殊であるのは、10分を超えるような長尺の圧倒的なクオリティの曲を含む、いわゆる「アルバム・アーティスト」でありながら、全米レベルの大ヒット曲を続けた点です。アルバムのリリースの期間としては、わずかに4年。JimMorrisonはその登場から謎の死を遂げるという完璧なカタチで、本当にある特殊な時代を駆け抜けた「象徴」となりました。

The Doorsは4人組のバンドですが、メンバーと担当楽器は、JimMorrison/Vo、Ray Manzarek/key.、Robbie Kreiger/g.、John Densmore/ds.です。そう、なんと、ベーシストがいません!LIVEではベースプレイヤーを雇うのではなく、キーボードのレイが器用に足で弾いてます。つまり、ジムのウタのバックにはキーボード(ほぼオルガンです)とエレキギターとワンタムのドラムセットというのが通常のセットです。キーボードの演奏も、キース・エマーソンのように数を並べて華やかに〜なんてことはしません。大昔の幼稚園とかにあったアップライトのちっちゃなオルガンがほぼ1台だけ。ギタリストのロビーはスパニッシュ・ギターの奏者です。基本は指弾きで、フラメンコ、めちゃ得意です...笑 ドラムのジョンはもともとJAZZドラマーです。レギュラーグリップでスナップを効かせるいかにも正統派な叩き方です。ウタのジムは間違ってもギターを持ったりはしません。元祖バリトン・ヴォイスという感じで、時々、マラカスを持ちますが、独特の奇妙な踊りのボディバランスを取るためで演奏はしないです...笑 ステージ上のジムの奇妙な踊りはホントに独特で、まるで散らかりすぎて足の踏み場のない状態で空いている隙間を狙って足を運ぶみたいな感じです...笑 このメモのトップの写真のように、たまに、ステージ上で寝たり(銃殺刑にされた戦士を歌った歌詞の表現です)します。 しかもベースレスです。このメンツでロックのサウンドを奏でるのですから、ユニークにならないわけはないです。面白そうでしょ...笑


では、さっそく、アルバムのご紹介をメモらせていただきますね!


<1st>The Doors(1967年)

全米に衝撃を与えたファーストアルバムですね。

1967年といえば、ザ・ビートルズの「サージェント・ペパーズ」が出た年ですし、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコのバナナのアルバムが出た年ですね。でも、まったく負けていないです!というか、その2つには余裕で勝ってるくらいの名盤です!また、あっという間に嵐のような熱狂と死による歴史からの退場を刻む、有名なジミヘンとジャニス(ビッグ・ブラザー&ホールディングカンパニーズ)のデビューも当然、同じ年ですね。

収録曲は以下

A面

01.Break on Throough(to the Other Side)

02.Soul Kitchen

03.The Crystal Ship

04.Twenty Century Fox

05.Alabama Song(Whisky Bar)

06.Light My Fire

B面

07.Back Door Man

08.I Looked at You

09.End of the Night

10.Take It as It Comes

11.The End

もう、正直、全曲素晴らしい曲ばっかしですね!私が特に好きというより、ロック好きなら聴いてなきゃいけないくらいの名曲なのは、01、03、06、07、10、11、あたりでしょうか。アルバムでは7分を超えますが、中腹のキーボードソロをごっそり省いて、3分くらいにしてシングルカットした06が全米(ビルボード200の)チャート1位と大ヒットしました!歌詞の内容は、ジムお得意のダブルミーニングで、性的な意味を込めた「ハートに火をつけて」です。11はコッポラ監督の映画「地獄の黙示録」の冒頭やチャーリー・シーンがマーロン・ブランドを手にかける重要なシーンでBGMになっていたことで有名な曲ですね。歌詞の内容はエディプス・コンプレックスをテーマにしているもので、私はこの曲を聴くといつもヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」の光景が拡がります。10はNYパンクのラモーンズのカバーで知っている人も多いと思いますが、原曲の方が別の曲のようにいいです。ファーストアルバムということもあって、メンツ全員の溌剌とした演奏が特徴ですが、特にこのバンドの最大のウリでもあるジムのVo.は若さ溢れる感じで歌い出しなんかに素人ぽくチカラが入っているのが分かりやすくて、まだ“神格化されていないジーザス”があたかも目の前にいるような妄想に簡単に滑り込めます。私が聴いたことがあるすべてのアルバムを対象にオールタイムベストランキングをつけるとしても、間違いなくTOP 5 には入る名盤です。押し付けがましくも、「このアルバムを聴くことができるだけでも生まれて生きて、よかったはず」などと言っても、炎上しないと思います...知らんけど...笑(すみません、無理やり、若者の仲間に入りたがってしまって汗)


<2nd>Strange Days(1967年)

ファーストアルバム(1月発売)からわずか8ヶ月後に出されたセカンドアルバムです。ジャケットは、おそらく、フェリーニの「道」のオマージュでしょうが、このアルバムのサウンドにぴったりです!というか、このジャケットとサウンドがもはや一体化している、好例ですね。このセカンドもまごうかたなき名盤です!収録曲は

A面

01.Strange Days

02.You're Lost Little Girl

03.Love Me Two Times

04.Unhappy Girl

05.Horse Latitudes

06.Moonlight Drive

B面

07.People Are Strange

08.My Eyes Have Seen You

09.I Can't See Your Face in My Mind

10.When The Music's Over

多くの人がカバーしている01と07をはじめ、スジバンがカバーした02など、このアルバム収録曲がのちのバンドに大きな影響を及ぼしたとされてます。ちなみに、1曲目のイントロに大フューチャーされているモーグ・シンセサイザーはその後、クリムゾンやE.L.&Pなど多くのバンドが演奏しますが、ロックアルバムで演奏したのは、このアルバムが初めてだそうです。しかもなんと、奏者はジムだそうです...笑 そのメロトロンをはじめ、このアルバムにはいろんな楽器が使用されています。しかも、ほぼ全編にベースも入っています。(スタミュ〜のようです)しかもそのベースは、「目立たないように低い音でぼ〜ん」みたいな感じではなく、けっこう、ゴリゴリ硬めの音でしっかり存在感のある音なんです。1曲目から、曲を引っ張るかのように入ってます!?最初に聴いた時は「えっ、ベースが入ってるじゃん?なにこれ?」と随分驚きました。このアルバムのハイライトは、なんと言ってもB面の1曲目ですね。デビューアルバムのThe Endで衝撃的なタブー、ある意味、本能的な「若気の至り」の暴力性、を取り上げた数ヶ月後に、今度は隙のないよう積み重ねられた現実から受ける疎外感=ひ弱で脆弱で臆病な「若気の至り」を極めて美しい旋律と共に提示するなんて、ちょっとあり得ない“天才っぷり”ではないですか!(2000年くらいの映画「マトリクス」ですね)私が聴いたのは中学生くらいなので、アルバムが世に出て、10年くらい経った頃のはずですが、「アメリカって国はなんと粗暴でナイーブなんだ!ルー・リードとか聴いても、ニュー・ヨークとかじゃちょっと生きてはいけないなぁ」とそら恐ろしさを感じたものです。(アホ丸出しですね...笑)このセカンドは音楽的にはおそらく「最も完成された個性」のドアーズが聴けるものだと思います。絶対、聴くべきですね!

<3rd>Waiting For The Sun(1968年)

3rdアルバム「Waiting For The Sun」ですが、ドアーズのアルバムとして全米チャートのトップに立ったのはこのアルバムだけです!アルバムからの2枚目のシングル「Hello! I Love You」もシングルチャートのトップになってます。凄いですね・・・ちなみにこの曲、The Kinksの「All Day and All of the Night」のパクリとして訴えられて、英国の裁判所で「英国内での楽曲使用に関してはキンクスに著作権料が発生する」という判決が出たそうですね〜イギリス人はよくこんな感じのことをします・・・公正とは真逆の意味で、仕方ないことです、曲のテーマの部分としては確かに似ているというよりほぼ同じなんですが(笑)キンクスの楽曲では、絶対に全米No.1にはなれるはずもないですしね。比べて聞けばすぐわかると思います笑 レイ・デイヴィス自身はどうでもいいと思ってるんじゃないかな...汗 アルバムの内容は、珍しくちょっと寄せ集め感が強いです。と言うか寄せ集めです。デビューして2年目ですから、寄せ集めといってもそんなにバリエーションがあるはずもないんですけど・・・笑 まぁ、思っていた通りには行かなくて仕方なく前にやってたのや没になったやつをかき集めて…みたいな。というのも当時のLIVEでやっていた大作組曲(14分超!?)の「Celebration of the Lizard」をおそらく収録するつもりだったのでしょう。それが全部、綺麗にできなかったので、組曲の中の1曲を抜粋して(03「Not to Touch the Earth」)まで早く出す必要があったようです。仕方ないのでしょうね〜汗 さらに、このアルバムタイトルを冠した曲も完成できなかったようで、5作目の「The Morrison Hotel」に入っています。(普通はアルバムタイトルの方を変更しません?・・・笑)なんかよくわからんことしてますが、ドアーズはそんなバンドですね...笑 シングルのチャート上位の曲をコンスタントに出しながら、同時に、コンセプトの明確な作品性の高いアルバムをそのシングルを含めつつ創るという離れ業をやっているんですから、常人の判断とは根本的に相容れないものがあって当然かもしれませんが、ショービジネスに組み込まれちゃったらそんな理想主義なんか誰も尊重してはくれませんよね...笑 そりゃ、早死にしますって・・・その方が全てにおいていいですって...笑

A面

01.Hello, I Love You

02.Love Street

03.Not to Touch the Earth

04.Summer's Almost Gone

05.Wintertime Love

06.The Unknown Soldier

B面

07.Spanish Caravan

08.My Wild Love

09.We Could Be So Good Together

10.Yes,The River Knows

11.Five to One

このサードのLP盤を持っていた人はみんな知ってると思うし、いろんなところで記されてもあるけど、LP盤を開くと、内扉全体に渡って歌詞がびっしりと入ってました。タイトルは「Celebration of The Lizard」。ジムの詩の朗読の背景にいくつかの短い楽曲が組曲になっているもの(このアルバム収録の「Not to Touch the Earth」は組曲の中の1曲/切り抜きです)なのですが、長いことフルバージョンが聴けるのはライヴ盤「Absolutely Live」だけでしたね。でも今から20年くらい前ですか・・・編集ベスト盤が出た際のそのCDの目玉がこの曲のスタジオ録音バージョンでした。買っちゃいましたよ・・・その1曲のために・・・音源データ化してすぐ売っちゃいましたけど笑 「Not to Touch the Earth」も組曲の中で聴く方が魅力的です!



<4th>The Soft Parade(1969年)

4作目「ソフトパレード」です。一般的にはファンの人たちからも最も評価の低いアルバムだと思います。

というのは一聴するとすぐに分かりますが、前作までのドアーズの独特なサウンドとは全く異なります・・・おそらく、狙いはそこだったのでしょう。曲づくりはg.のロビーが主軸に曲を書いていますが、ベースはもう全曲で当たり前に入っていますし、私の苦手なホーン管楽器群やオーケストラ/ストリングスもふんだんに取り入れられていて、ロビーが単独で作曲した曲には全てホーンセクションとストリングスが(01、02、07、08)入ってます。むしろ、自作の曲以外にはホーン達を入れてないところにロビーの人の良さを窺わせますね。

A面

01.Tell All the People

02.Touch Me

03.Shaman's Blues

04.Do It

05.Easy Ride

B面

06.Wild Child

07.Runnin' Blue

08.Wishful Sinful

09.The Soft Parade

わりと、木っ端微塵に酷評されることが多いこの4作目ですが、シングルヒットとなった「Touch Me」(これ、私はめちゃめちゃ好きです!ポール・ギルバートがギター1本でホーンセクションの分まで弾いてカバーしてますが、それを聴くとやっぱ名曲だなぁと思います)はじめ、けっこう良い曲が入ってます。ジムがなぜか明るい05とか、カントリー調のフレーズが急に出てくる07とか、意外と楽しめます。最後の09はなんとなくお決まりっぽい9分超の組曲風ですが、曲調が目まぐるしく変わって、まぁ、頑張ってま〜す!という感じです。全体的な印象をわかりやすく言えば、豪華客船クルーズの中のキャバレーバンドを聞かされている感じで、間違いないです...笑

ホーンセクションとストリングス抜きでやり直したらどうだろうか・・・多分、名盤とまではいかなくとも、ちゃんとしたドアーズの欠かせない1枚になれると思います!



<5th>Morrison Hotel(1970年)

5作目の「Morrison Hotel」ですが、このアルバムはLP版では、A面が「Hard Rock Cafe」B面が「Morrison Hotel」というサイド・タイトルが付いてます。まぁ、ドアーズに限ったことではないですが、A面とB面で別のタイトルを付けてこだわりを示したい気持ちは十分に理解できますが、功を奏したことはおそらく一度もないですね。このアルバムも私が聴いた1978年の時分にはもう、ただの「モリソン・ホテル」というアルバムでしたね...笑 マイク・オールドフィールドのように、本当にA面とB面と全く違うアーティスト像であるにもかかわらず、アルバムタイトルは一つが多いですものね・・・でも、些細なところにこだわるからこそ一流・・・みたいな...お笑い種にしかならないところが悲しい・・・。

A面

01.Roadhouse Blues

02.Waiting For The Sun

03.You Make Me Real

04.Peace Frog

05.Blue Sunday

06Ship of Fools

B面

07.Land Ho!

08.The Spy

09.Queen of the Highway

10.Indian Summer

11.Maggie M'Gill

このアルバムは前作の酷評っぷりで懲りたのか、原点回帰のような感じでブルースやっちゃってますね。でも退屈ではないです。ちゃんと曲ごとに豊かな起伏があります。A面はモロに飛ばしまくってますね。03はイントロでギターが疾走するLIVE盤のバージョンの方が(83年に出た「Alive! She Cried」収録)大好きですが、このスタジオ版は、ブギウギ風ピアノでのイントロでまっすぐに場末のBarの感じが出ていますね。私はA面の6曲はすべて、もんの凄く好きですが、B面の5曲はどれもほぼ好きではありません。上記では「功を奏していない」とメモりましたが、私の中では、このアルバムはA面だけのアルバムです...汗 さらにこのジャケット写真はいつも「もう少しなんとかならんかったのかなぁ」と残念になります。

<6th>L.A.Woman(1971年)

ジム生前最後のドアーズのオリジナル作品である6作目「L.A.ウーマン」ですね。これはもう、とにかく素晴らしいアルバムです!

ジムの声はおそらく長い間のアルコール依存症とドラッグ服用によってかなり“ヤケ”てますが、このアルバム収録曲のように、ブルースとバラードぽいポエットリーディングさせたら、サイコーですね!ちなみに、アルバムがリリースされて2ヶ月後くらいにジムは事故死(?)してます。

レコーディングは最高の雰囲気だったようで、というのも、このアルバムに参加したエルヴィス・プレスリーのバックバンドのベーシストとリズム・ギタリスト、特にベーシストのジェリー・シェフという人の参加が大きかったようです。生粋のプレスリーファンであるジムをはじめ、メンバーのリズムでの安定化をしっかり面倒見ていたようですね。こういう人がいると助かりますよね。特にベースで!このアルバムの録音はとてもスムーズでオーバーダビングはほぼキーボードとコーラスだけで楽曲はどれも少ないテイクでライブ盤みたいに録られたみたいですね。6日間ぐらいで録音を終えたそうです!素晴らしい録音と安定したサウンドになっているところが本当に素晴らしいと思います。

A面

01.The Changeling

02.Love Her Madly

03.Been Down So Long

04.Cars Hiss by My Window

05.L.A.Woman

B面

06.L'America

07.Hyacinth House

08.Crawling King Snake

09.The WASP(Texas Radio and the Big Beat)

10.Riders on the Storm

アルバムタイトル曲の05の冒頭のエンジン音みたいなのはロビーがギターで出してます。途中で歌詞として出てくる「Mr. Mojo Risin'」はジムの名前のアナグラムですね。有名すぎですね...汗 02はg.のロビーの曲ですが、こんな軽快な曲を書かせたら天下一品ですね。ジョン・リー・フッカーの「Crawling King Snake」が唯一のカバーとして入ってますが、これも完全にドアーズサウンドになってますね。キクさんの歌詞も含めて、我らがサンハウスの「キングスネークブルース」へ繋がる道だと私は勝手に思ってます!

ドアーズの以上の6つのオリジナルアルバムのほかに、生前に唯一出たLIVEアルバムが「Absolutely LIVE」(1970年)です。

そのライブ盤を含めて、すべてのアルバムが全米チャートの10位以内を記録しています。凄くないですか?!

こんな、独特のサウンドの、しかもどちらかと言えば陰鬱な内容が多く、タブーをテーマにした歌詞も多くて、何があろうと少年少女には推薦しかねるような世界観がたっぷり詰まっていて、Vo.には猥褻罪で逮捕歴があるほど品行方正とは縁遠いバンドが!ですよ。

・・・米国という国の、少なくとも1970年代初頭までの底知れない懐の深さを感じるんです。1980年代から90年代、そして21世紀に入って、いったいどうしてしまったんでしょう?????

あくまでも私を取り巻く音楽の環境に限ってだが、現在のようになって、私はとてもアンハッピーだと強く感じている一人だ!

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