【極私的名盤をご紹介②】〜PorcupineTree「Deadwing」〜新世代プログレはこれ!
まずこのポーキュパインツリーというバンドをご存知でしょうか?
私がこのバンドにたどり着いたのは、メンバーでkey.のRichard Barbieri(そうです!元JAPAN〜JBK)からです。
このアルバムは、Steven Wilsonが作った映画の脚本(資金不足で公開まで至らなかった)をもとにした楽曲がベースらしいです。
Steven Wilsonという方が中心のバンドなのですが、↓この人です。
決して、プログラマーさんとかではありません笑・・・g.とVo.の人です。そしてほとんどの曲を書いてます。この写真はかなり最近のものなのですが、髪を短くして本来のインテリ気質丸出しになってます。髪の長い頃の写真とバンドの写真は↓
メンバーを紹介すると(from left to right)
Gavin Harrison/ds.
Steven Wilson/Vo.g.
Colin Edwin/b.
Richard Barbieri/key.
がこのアルバムの時期のバンドのメンバーです。
このアルバム「Deadwing」は2005年に発表された8枚目のアルバムとなりますが、(えっと、もう20年前にもなるの・・・!?それもかなり衝撃!!!)1曲目のイントロからもうほんとに衝撃で、「ようやく若い人でとんでもないプログレバンドが出てきた!」と感動して、とにかく入手できそうなアルバムを探しまくりました笑・・・なぜか6枚目だけが入手困難でしたね・・・。ポーキュパイン・ツリー(以下 PT)は2年後2007年にすぐ新しいアルバムと4曲入りEPが出て、その2年後2009年に2枚組のアルバムが出ました。そこで一旦活動休止して、再活動で2022年に最新作が出たのですが、残念ながら、そのアルバムはまだ聴いていません汗
決して熱が冷めたというわけではないのですが、なんとなく後回しに・・・、あっ、これが熱が冷めたということかもですね笑
プログレは参加しているメンバーのテクが演奏に大きく影響するので、誰が参加しているかは結構重要な要素だと思うのですが、このバンドのこのアルバムのメンバーはちょっと凄いですね!タイコの人はこのアルバムのちょっと後になりますが、King Crimsonに参加してPat Mastelottoと一緒に超ヘヴィなダブルドラム演ってた人です・・・はい!かなりバカテクの方で、たぶん今、一番上手くて重いタイコを叩ける人です。ベースの人は再活動後は参加していませんが、クリムゾンのダブルドラムの時期のもう一人のパット・マステロットと演ってます!リチャード・バルビエリはすっかりkey.としては大御所としてのポジションにあるのかもしれません。以前のインタビューでこのバンドでの役割は「スティーブンのプログレアプローチをいかにPOPにまとめ上げるか・・・」みたいなことを言ってた記憶があります。
実は、このPTを含めて、私がMETRO/Duncan BrowneやイタリアのALICEをめちゃくちゃ気に入っているのも、「進化したプログレってPOPなんじゃないのだろうか!」という私自身の思い込みからです。ただ、どうしてもASIAとかの米国産業ROCKぽいアプローチは好きになれないので、それとは違うやり方でないものかと・・・このPTは一つの答えのような気がしているんです・・・まぁ、どうでもいいかもですが・・・笑
この「Deadwing」の収録曲を私のメモ付きでご紹介しましょう!
01.Deadwing・・・クリムゾンのエイドリアン・ブリューが参加。もの凄いリードギター弾いてます!
02.Shallow・・・急にRUSHのようなアメリカン・プログレの曲が始まります・・・汗
03.Lazarus・・・ミディアムバラードです。かなりメロウな感じで美しいメロディがかっちょ良いです!
04.Halo・・・NINのインダストリアルサウンド並みのギター音をこの曲にも参加のエイドリアン・ブリューが演ってます!
05.Arriving Somewhere but Not Here・・・12分越えの“プログレらしいプログレ曲”です
06.Mellotron Scratch・・・複数のヴォーカルの旋律が絡み合います
07.Open Car・・・ヘヴィだけどキャッチーな曲・・・って変な表現ですね汗
08.Start of Something Beautiful・・・PTらしい変拍子と綺麗なメロディーラインの曲です
09.Glass Arm Shattering・・・サウンドの塊がうねるような曲です・・・これもPTらしいサウンドです
全ての曲が素晴らしい歌詞と演奏で、通して聴いても1時間くらいです。
70年代を中心に活躍したプログレバンドたちを凌駕するとは言いませんが、肩を並べるくらい凄いバンドで、これは彼らを代表する本当に素晴らしいアルバムだと思います。まだ聴いてことがない方はぜひ!絶対損はないです。
そもそもPTは、Steven Wilsonさんのソロプロジェクトだったようです。ひとまず、発表されたアルバムは最新作を除いて全てサクッと入手できたのですが、そのうち3枚目まではもう手元にありません。4枚目からバンドで活動する志向をスティーブンが取り入れました。リチャードとの出会いが大きかったようです。4枚目以降で、私が所有しているアルバムについて手短にメモ付きでご紹介しますね。
◎4作目/Signify(1996年)
バンドユニットでの初めてのアルバムですね。CDで2枚組です。
ドラムはGavinが入る前でChrisMaitlandという人です。パート1〜2と続くWaiting、Sever、Idiot Prayer、淡々と最後まで導くDark Matterなどの名曲が入ってます。
◎5作目/Stupid Dream(1999年)
アルバムタイトルは、スティーブンが「商業主義に囚われるのが嫌なくせに、入ると過酷な労働を強いられるハメになる音楽業界」を皮肉って付けたそうです笑・・・ちょっとモラトリアム引きずっているかのようなスティーブンらしくて微笑ましく感じます!ライヴ映像見てても、いいヤツぽいです!このアルバムにはEven Less、シングルとしてとてもキャッチーなPiano Lessons、Pure Narcotic、Slave Called Shiver、ライヴで人気のDon't Hate me、Stop Swimming等名曲がたくさん入っています!
◎6作目/Lightbulb Sun(2000年)
なぜかこのアルバムだけは売り切れで入手したのが1年後とかだった記憶があります。人気だったんでしょうね。確かに欧州ではかなり売れたそうです。内容は、けっこうハードでメタルぽい曲も多いです。
タイトル曲の、Lightbulb Sunをはじめ、How Is Your Life Today?、キャッチーなメタル曲のShesmovedon(なぜか表記自体が単語間のスペースを省いています)、ライヴで人気がある2曲のHatesongとRussia on Ice、ラストを飾るのは内省的なFeel So Lowとかなり良い曲が並んでいます。
◎7作目/In Absentia(2002年)
これは名作です!本国・英国と欧州でのみ知られていたようなバンドだったのですが、このアルバムで初めてアメリカ進出です。一気にネオプログレッシブメタル(なんだそりゃ笑)の雄となりました。
ホントに良い曲ばかりが並んでいます!特にアルバムの1、2曲目のBlakkest EyesとTrainsは超名作です!他にもキャッチーなThe Sound of Muzak、Heartattack in a Layby、そしてクライマックスのStrip the Soulを迎える見事なアルバムです!
◎9作目/Fear of A Blank Planet(2007年)
アルバムのコンセプトは、どんどんと内向きになっていく人類、特にゲームに支配される少年たちなどの姿から「空虚となった惑星と化する恐れ」を憂うというちょっと説教がましいものです笑笑。前作「Deadwing」を遥かに超えて、初めてアメリカのビルボードでトップ100に入り(初登場59位)、アメリカのプログレメタルNo.1のTOOLと名実ともに肩を並べる存在となった(言い過ぎですね笑)アルバムです。
長めの尺の曲が多いですが、タイトル曲のFearof the Blank Planet、My Ashes、17分を超えるAnesthetize(RUSHのAlexLifesonが参加、PTのファンを公言してました)、叙情的でフロイドぽさのあるSentimental、クリムゾンのフリップ先生が参加したWay out of here、そしてGavinのヘヴィなリズムの上でクールに淡々と、どこかZepのカシミールを思わせる展開のSleep Togetherの全6曲、全て傑作です!
◎10作目EP/Nil Recurring(2007年)
Fear〜発表から5ヶ月後に出された4曲入りEPです。Fear〜収録曲のアレンジで変化していく前の原曲等が入ってます。でも、4曲すべてめちゃめちゃ楽しめます!1曲目のタイトル曲にはフリップ先生がリード・ギターを弾いてます!Fear〜収録のSentimentalの元になったNormal(タイトルにウィットが効いてる・・・元と言ってもサビくらいです)などが収録されています。
◎10作目/The Incident(2009年)
CD2枚組のアルバムです。正直、疲れます笑 4〜5分の曲を繋ぐ、1分とか2分とかで終わる曲が多くて作りは完全なコンセプトアルバムですね。CD-1の55分というボリュームが重たい汗・・・11分を超えるTime Fliesが名曲です!CD-2は短めの曲が4曲で20分くらいですが、こちらの4曲は佳曲揃いです!
このPTと米国のTOOLが、私は新世代のプログレバンドの代表だと思っています。(新世代と言っても、もうけっこうな年齢ですよね涙・・・かなりアンテナの感度が悪くなっているのか、それ以後のバンドになかなか出会えていません)どちらもかなり、メタルのような重く歪んだギターサウンドが特徴です。TOOLに比べると、PTの方が曲ごとのバリエーションが広く、リチャードがいたり、フリップ先生が参加したり、かなりインテリ度が高いです!もともとスティーブンが一人で演ることが多かった初期の3枚までは、初期(2枚目くらいまで)のピンク・フロイドを思わせるエレクトリックなシンセバリバリのサイケぽいサウンドでしたが、意識的にコマーシャリズムを避けているような感じでした。リチャードと出会い、バンドサウンドを志向するようになって、さらにギャビンが入り、演奏そのものがポーンとレベルが上がるにつれ、完全にプログレッシブなサウンドになりました。スティーブンのつくる曲もだんだん抽象性が薄れて、具体的な感情のストレートな表現が多くなったような気がします・・・ちょうどSNSぽい感じですね。聴き直してみると、やはりスゴイと唸ってしまうバンドです。とにかく、最新作を早く入手しなければ・・・