ダチュラの花言葉。

偽りの魅力。

私もそこへ

流れ着いてしまった時期がある。


誰かの1番でいるのが

しんどくなった。


恋人は相手に対して

1番に期待に応えなきゃいけない


そう重く捉えすぎてしまって

彼氏を作るのをやめた。


そんな偏った尖った考え方に

「不倫」はもってこいだった。

既婚者からみたら

なんて都合の良い女だったんだろう。


もちろん罠にハマった。


会うのは月に1,2回

連絡も1週間に1回するかしないか

向かう先はいつも決まったホテル


宿泊なんてするわけもなく

明け方に先に出ていく後ろ姿


何が良かったんだろう

今の私はそう思えるけれど

当時の私にはそれくらいが

心地よかった


「今日会う?」

奥さんが友達と飲みに行く日

そんな日にしか連絡なんて

こなかった。


「いいよ、何時?」

彼が家に迎えに来る時間を

確認して身支度をする


ホテルにしか行かないのに

ちゃんと着飾った


「今日もかわいいね」

そんな薄っぺらい言葉に

喜びを感じていた。


たまにバーに行ったりもした。

彼と出会った場所

バーテンダーさんも

私たちの関係は理解していた。


先にお店へ行って彼を待つ

「ジンバックください」

    「前はちがったのにね」

「彼が教えてくれたから」

    「いつまで続けるの?」

そんなの私が知りたかった。


終わりのない関係

いや、バレたら終わる関係

そもそも

成り立っていない関係か


誰かの1番でいるのが

しんどかったはずなのに

彼の1番になることが

できないことに

いつの間にか

心を押しつぶされていった


私は誰かの1番になることは

できないんだ、と

思い込むように

なってしまっていた。


2,3杯飲んで待っていたけど

その日彼は来なかった。

奥さんの体調が悪い、とだけ

連絡がきた。


最初から期待なんて

していないから

悲しくもなかった。

わかった、とだけ返信して

お会計をしてもらう。


「2番目ができる子は

とびっきりステキな

1番になれるよ」と言い

バーテンダーさんが

伝票を差し出す。


「お前はイイオンナだよ」

目を覚ませと

そういわれた気がした。


彼との関係を

すぐに終わらせることは

出来なかったけれど

数ヶ月して

なんとなく

気持ちが覚めて

「今までいい思い

たくさんさせてくれて

ありがとう

もう会わない」

彼にそう送ってケータイの

電源を切った。


誰かの1番にならなければ

必ず期待に応えなくてもいいし

縛られることもなく

自由だったけれど


誰かに期待することも

できなかった。

ただただ自分の価値が

分からなくなった。

虚しかった。


もう2度とここには

足を踏み入れない。

そう誓った22歳。



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