#5『しなやかに生きる』を目指して
【噂のお客さま】
これまで出会った人々とのエピソードを紹介します。
#エピソード1 臭いの正体は
そのお客さまは、2時間目の休み時間に来室した。ドタドタと廊下を走る音に廊下は走らなーいと職員室から声がかかる。
どうやら廊下の端にあるわたしの部屋(保健室)に向かっているようだ。このドタドタは彼だなと常連さんを予想しているとビンゴ‼︎しかしいつもの様子とは違いなにやら慌てた様子。
どうしたの⁉︎と優しく出迎えると、実はお願いがあってと彼はディバッグからあるブツを取り出した。その瞬間強烈な臭いが私の鼻腔を突いた。
くっさ‼︎何コレ⁉︎と叫ぶ私。
どうやら先週金曜日汗まみれの体育着をバッグに突っ込んだままにしてしまい、月曜の今日午後に体育があることに今気づいたのだと。その体育に間に合うように洗濯してほしいとの依頼だった。
本来の白ではない色となったブツの放つ鼻を摘むほどの激臭。
自分の臭いでしょ我慢して着けたらいいさと笑いながら言うと、イヤイヤせんせーさすがにこれはオレも無理ーってか教室でみんなに臭い臭いって追い出されたからさーだからお願い一生のお願いと懇願される。
だからってなんでここに持って来るのよ。ここに洗濯機ないけど。えーないの⁉︎どうしようと困り顔。
そんな困ってる人を見捨てる訳にはいかず、わかった昼までに乾けばいいんでしょ最悪半乾きでも文句言わんでよと預かる。
せんせーありがとうマジ神と破顔する彼にこちらもほっこりする。
家庭科室の洗濯機でいつもより洗剤、柔軟剤多めで回す。脱水後の体育着を匂ってみる。かすかにあの臭いはするがこれなら他人に迷惑にはならないだろう。
ハンガーにかけてわたしの部屋に干す。窓からの心地いい風が体育着を揺らす。うんうん匂いもいい感じ。でっかい体育着。もうすぐ主が迎えに来るよ。
最後までお読みくださりありがとうございました。今日も最高の1日にしましょう♪
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