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日本の少子化が急加速する理由と見えてこない危機感
“出生数70万人割れ”が現実味
2021年の出生数は81万人。それがわずか3年後の2024年には70万人を下回る見込みだと言われています。実際、厚生労働省が公表した速報値によると、2024年1~11月に生まれた赤ちゃんは前年同期比5.1%減の66万1577人(外国人含む)で、年内通して“70万人割れ”となるのはほぼ確実な状況です。ここまで急激に出生数が減少しているにもかかわらず、多くの有権者は危機感を共有していないように見え、少子化対策が遅々として進まないのが現実。その結果、日本はさらなる衰退へ向かっていると警鐘を鳴らす声が強まっています。
■ 3年で10万人減る“子ども”
2021年:81万人 → 2024年:70万人未満
わずか3年で10万人以上の赤ちゃんが産まれなくなるというのは、ただの数字の変化ではありません。将来の働き手や社会を支える人材が、目に見えて少なくなっていることを意味します。コロナ禍・物価高が追い打ち
新型コロナウイルス禍で結婚・出産を見合わせるカップルが増えたことや、物価高による子育てへの経済的不安が、さらに少子化を加速させている可能性があります。
■ 「国力は、人口 × 教育レベル × 資源」で決まる
少子化が進行すると労働人口が大幅に減り、納税者も減少。しかも現状では、子どもの教育機会や水準を高めようとする政策も不十分です。また、国内資源に乏しい日本では、“人口×教育レベル×資源”のうち、資源面では海外依存せざるを得ないのが実情。
少ない人口・伸び悩む教育投資
人口減少にブレーキがかからないまま、教育費や研究開発への投資も限られるようであれば、日本の技術革新や経済成長のエンジンがどんどん弱まっていくでしょう。“国力”という観点からの議論が欠かせない
高齢化が進み、社会保障費が増大するなかで、若い世代は経済的負担にあえいでいます。そうした状況での少子化加速は、“国力の低下”に直結する問題と言えます。
■ 危機感を持たない有権者が招く衰退
「子どもが少なくなる未来」を想像しにくいのか、多くの有権者はまだ大きな危機感を示していないように見えます。しかし、このままでは以下のような事態が進行するでしょう。
地域コミュニティの崩壊
小学校が統廃合され、商店街など地域の活気が失われる地域も増えています。子どもが減ることで地域社会全体が縮小し、高齢者中心のコミュニティとなっていくかもしれません。イノベーションが起きにくい環境
人口と教育レベルが下がるほど、新しい産業や技術革新を生み出す力が弱まります。技術者や研究者が海外に流出するケースも懸念され、国際競争力の低下が顕著になるリスクがあります。若者の納税負担の増加
ますます細る若年世代が、高齢化する社会全体を支える仕組みのなかで、重い税負担や社会保険料に耐えなければならない――そんな未来が見え隠れしています。
■ 今こそ必要な行動──子育て環境の改善と意識改革
経済的支援の強化
出産・育児への一時金や児童手当の拡充、保育園の整備や学費の負担軽減など、家族が安心して子どもを産み育てられる仕組みが急務です。柔軟な働き方の普及
女性だけでなく男性も育児休業を取りやすい環境を整え、長時間労働や転勤文化を変えていくことが、少子化対策には不可欠でしょう。親としてできる範囲の準備
仮に社会全体の改革が進まなくても、親としては教育費の確保や子どもへの情報提供を怠らないことが重要。未来の国力低下を見越して、海外留学や在宅ワークといった選択肢を視野に入れる家庭も増えています。
■ おわりに
出生数がわずか3年で10万人以上減という急激な少子化傾向は、日本が“人口消滅社会”へ向かう速度を加速させています。にもかかわらず、有権者があまり危機感を共有しておらず、政治の場で大胆な少子化対策が打ち出されにくい現状は、ますます未来を暗くしています。
「人口 × 教育レベル × 資源」で測られる国力の観点からも、子どもの数が減るだけでなく、教育の質や投資が不十分な日本がこのまま進めば、国際競争力の著しい低下は避けられないかもしれません。私たち一人ひとりが「子どもの未来をどう守り、育てるか」という視点を持ち、政治や社会のあり方を変えていかなければ、衰退のスピードはさらに加速するでしょう。
今こそ行動と意識改革が求められるときです。子どもを持つ親として、「どんな社会なら安心して子どもを育てられるのか」「次世代に何を残すべきか」を真剣に考え、声を上げていきたいものです。