私の空虚の右隣

嘘をついて愛したふりをしていた彼と別れた。
遠距離だから何となくわかっていたけれど、浮気をしていたらしい。
正直そんなことはどうだっていい。彼よりも酷い嘘を吐き続けたのは私なのだから。

その後の喪失感なんてあるわけもなく、ただひたすらに孤独を感じて瞳から想いを零した。

昨日は少し幸せだった。
私の知り合いと話せたから。
彼はとても真面目で、成績優秀。私と関わってくれているのが幻のように感じる。
それくらい、違いすぎている。

平日は塾やら課題やらに追われて連絡が取れない状況にあるらしい。
ただ、休日は時間が決まってはいるものの、スマホを触ったりゲームをする事ができるんだと。

昨日の私は朝からおかしかったからか、彼に
「おはよ」
とたくさんの伸ばし棒とエクスクラメーションマークを添えて紙飛行機を飛ばした。

彼からの返信は意外に遅く、二時間後に返信が来た。
昨日は昼まで寝ていたらしく、なんだか邪魔をした気分になった。

いつも敬語のメッセージしか送らないからか、彼はとても動揺しているようだった。
彼が入力した一字一字をじっくり眺めては面白がった。

勢いに任せたようなものばかりを紙飛行機に書いて飛ばしていたら彼は自分が好きな車の話をしてくれた。
その車は非売品とやらで、カスタムには何千万とかかるらしい。
専門用語だらけの話だったけれど、一つ一つ検索をして彼を後を追った。

色々説明を終えた後に彼は、
「一方的でごめん」
と一言。
何故謝るのか理解できなかった。
私はこんなに楽しいのに、彼の話を聞くのが好きなのに。
でも、これが彼なりの配慮だと知って少し嬉しくなった。
私なんかにも配慮してくれるんだと。

うっかり口を滑らせそうになった。

そこから1時間半近くお話をして、彼は机に向かっていった。

とても素敵な時間だったと思えた。

でも彼にこのことを話すなんて絶対に出来ない。
彼の方が勉強で疲れて辛いだろうし、こんなことを話されてもきっと迷惑でしかない。
彼をこのことに触れさせないように振る舞わないといけない。
絶対に。

またやることが増えた。

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