偽名みたいな名前を授かった半生を振り返ってみる ~就職編その2~(3/5)
さあ、就職編第二弾です。
例によって興味ない方はスルーしてくださいね。
前回記事はこちら。
営業代行時代
新卒で配属された店舗で副店長だった方に声をかけていただき、その人が立ち上げた営業代行の会社を手伝うことになります。
前の記事で載せた写真に写っていたおっさんですが、飲食時代はとんでもない問題児でした。
自分の中で納得できないことがあれば上司だろうが本社だろうが誰にでも噛みつきます。噛みつくなんて生易しい言葉では語れないぐらいの問題児でした。
当時せいぜい24~25歳の若造です。彼が間違ってることももちろんありましたし、見ている視点が違うことによるお互いの正義がぶつかってるだけのときだってありました。
当時の自分は事なかれ主義だったので、ああまたやってんなあ、くわばらくわばら、ぐらいの感覚で遠巻きにそれを見ているだけでした。
それでも新卒時代に彼と出会えたことはその後の自分の仕事の仕方、特に新社会人が会社とどう向き合うかという部分に大きな影響を与えてくれました。
(上司に喧嘩売っていいんだとか、こんな舐めた口きいていいんだとか、ちゃんと意見ぶつけていいんだとか)
私と一緒に働いたことがある人は似た感想を持っているかもしれません。
自分も相当に生意気だったと思います。
本人はあんまり覚えてないようですが、彼の口癖は「やる気がないなら帰れ」でした。字面だけ見るとパワハラみたいですが、これを上司だろうが何だろうがお構いなく言います。
だから彼が少しでも日和った言動をすると同じ言葉を浴びることになります。その覚悟を持ってるから言えたんでしょうね。
自分もよく真似していました。なんなら今なお使用しているhotmailのアカウントはyarukiganainarakaere@hotmail.comです。スパムメール送らないでね。
というぐらいなんだかんだ嫌いになれない、仕事の面においては尊敬できる部分がある人に誘ってもらえたのは単純に嬉しく、彼の会社で働くことになるのですが、そこは完全成果報酬型の飛び込み営業でした。
営業未経験の私は、彼または同僚の営業同行をしながらOJTで学んでいきますが、まあ大変でしたね…
結局そんなに長い期間いなかったので中身は割愛しますが、営業手法などで新たな知見が広がったのはとてもよい経験となりました。
対して、Disneyとのギャップも大きく感じました。
自分が取り扱う商材を愛していないと、心から相手に勧めることってできないんだな、と。
営業代行で学んだこと
営業手法
商材への思いとモチベーション
編集者時代
ここまでまったく一貫性のない転職をしてきましたが、ここで結構な転機が訪れます。
2003年、スクウェアとエニックスの衝撃的な合併。
そしてドラクエで自分が一番好きなDQ5がPS2でリメイクされ、さらにFF10-2が発売されたことでFF10とあわせてめっちゃくちゃ遊んでました。
(ちなみに一番好きなゲームはキングダム ハーツです)
漫画では鋼の錬金術師にドハマりしていた時期でもあります。
こんなスクエニで溢れる生活を送っていた頃、たまたま求人が目に留まります。募集は新たに創刊される青年誌(ヤングガンガン)の編集、または書籍編集でした。
エンタメの力、商材への愛、というようなことを考えていた自分にとって、その求人は魅力的でした。
どうせとんでもない倍率だろうし、正直採用されるなんて思っちゃいないけど、記念受験的に応募したらあ!って感覚でしたね。
ちなみにどっちでもよかったんですが、書籍に応募しました。理由は忘れた。
入社後、同じフロアにグラビアアイドルが出入りしてるのを見てちょっとだけ後悔したというのは内緒の話。
今はどうか知りませんが、この時の応募要項のひとつに小論文がありました。「あなたの好きなSQEXのゲーム」または「あなたの嫌いなSQEXのゲーム」というテーマで400字詰め原稿用紙2枚、というもの。
こんなんで嫌いなゲーム書く奴いんのかよwwwと思いながら自分はキングダム ハーツについて800字ぴったり愛を詰め込んだところ、集団面接に進むことができました。
これもあとで聞いたら嫌いなゲームの小論文書いてきた奴は全員面接に進めたそうです。あぶねえ…
※当時の編集長の方針で、今は編集長変わってるので参考にしないでください
集団面接は5人ぐらいだったかな。面接官は編集長ひとりでした。
カジュアルな服装でOK!って書いてたのに、自分以外全員スーツでした。許せねえよなあ…
もう質問事項も覚えてませんが、最初に答える場所に座っていたので不利ポジションでしたね。上手く答えられなかった印象で、服装と合わせて絶対落ちたわ…と思ってました。
実際結果の連絡もらうまで4か月ぐらい待たされたので、完全に諦めていましたが、多分相当な倍率だったんでしょうね。
ちなみに採用理由は「元板前の編集者っておもろくね?w」でした。
このときの募集でもう1名採用された同期の採用理由は「内定もらってた出版社が倒産したから」です。
出版社ってこういうとこあるわって今なら理解できます。
誰かに紹介するときに一言でおもしろいというのはかなり重要です。
入社までの前置きが長かったですが、晴れて合併翌年のスクエニで働けることになり、約7年編集者として勤務しました。
企画書を書き、仮部決した見込みの売上から制作費を割り出し、編プロやデザイン会社を決める。進行管理しながら編集・校正をして、必要に応じて監修にかける。
現職の業務のほぼすべてはここで学びました。会社員というものも初めてだったし、デスクワークも初めての経験でした。PC操作、Officeソフト、Adobeソフトなどもここで覚え、すべてが新鮮でした。
入社後すぐに副編集長が『朝日新聞の用語の手引き』という本を渡してくれ、これによって漢字のトジヒラキや様々な用語の一般的な表記を覚えることができました。
現職でも書籍購入補助の福利厚生を使って新装版を購入しています。
この頃に諸先輩方から言われた金言で今でも覚えている言葉をひとつ紹介させてください。
「お前の好みで赤字を入れるな」
編集者って自分がクリエイターだと勘違いしちゃうことがあります。
作者(小説なら著者、漫画なら漫画家、書籍や雑誌だと編プロ・ライター)によって生み出された作品を、あたかも自分が手掛けたように感じてしまうことが。そうすると「もっとこう表現した方がいいのに」と思ったことを赤字として作品に反映させようとしてしまいます。
無論彼ら(作者)もその表現が最善であると信じ、プライドを持ってその原稿を提出してきています。
最近Twitterで編集者と漫画家のやり取りが話題になりましたね。
編集者が言うことをそのまま反映してほしいわけではなく、なぜこのままじゃダメなのか、という点を知ってもらったうえで作家なりに直してほしいという意味では共感ができました。作家へのリスペクトなのだと思いますが、あとは伝え方の問題ですね。。。
編集者の仕事は「集めて編む」ことです。『重版出来』でもなんかそんなようなことを言ってたような気がします。『編集王』だったかな?
編集者として調子に乗りすぎる前にこの言葉を聞けたのは幸せでした。
料理人と編集者って転職業だと思ってまして、料理人は多くの人や技術に触れて自らを研鑽するし、編集者はそれに加えて人脈かなと。
何年か勤めると自分の将来、スキルアップについて悩み始めます。
でも自分はこの会社に何の不満もない。何ならゲーム会社としても一番好きな会社で働けているので、編集者として最後にここで骨を埋めたいと思っているくらいだった。
実はスクエニ入社から数年後、子供(娘)が産まれます。
無計画ながら結婚することになりますが、この頃の私は終電、タクシー、始発で帰ったり、なんなら会社に泊まることもありました。年末年始? 印刷所が動いてない今がチャンス! 働け働け~! みたいなノリですね。まだ労基がそこまで厳しくなかった時代のゲーム会社・出版社です。誰もがそうだったし、そういう業界でした。
当然育児にほとんど関わらなかった父親でした。
しばらくして妻は育児ノイローゼになり……正直な話、このままでは夜泣きをする娘のことを殺しかねないと思うほどでした。……いや、本気でその心配をしていました。
その日もタクシーで深夜に帰宅すると、起きていた妻は寝かしつけた娘の隣からこちらに歩み寄ってきて、土下座します。
「仕事を、辞めてください」
目には涙が溢れていたような気がします。
そこでようやく事の重大さに気づき、対話を重ね、定時で帰れる仕事を探すことになります。
スクエニで得たスキル
編集、出版流通
エンタメ系の知見
デスクワーク、PC操作
つづく
スクエニは本当に楽しくて今の自分を構成する多くのことを学びました。
自分は社畜体質だなと気づいたのもこの時期でしょうか。
長くてごめんなさいね! 次の記事に続きます!
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