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①お茶を飲んだだけなのに…ねっ…?

ミドリは、平凡な主婦として穏やかな日々を送っていた。
夫のタカシとの間に小さな幸せを感じながら、近所のスーパーで買い物を済ませ、いつものようにカフェで休憩を取っていた。

その時、彼女の目に飛び込んできたのは、学生時代に一方的に好意を寄せてきた男、ケンタロウだった。

「ミドリ…?まさか、君なのか?」

ケンタロウは、以前と変わらないねっとりとした視線でミドリを見つめた。

学生時代から、彼はミドリの髪の匂いや肌の感触を異常なほど執着していた。再会した彼の目は、あの頃よりもさらに深く、暗い欲望を湛えていた。

「久しぶり…ね」

ミドリは、過去の記憶が蘇り、背筋に冷たいものが走るのを感じた。ケンタロウは、学生時代からミドリの私物を盗んだり、彼女の行動を常に監視していた。
その異様な執着心は、周囲をドン引きさせるほどだった。

「また会えて嬉しいよ、ミドリ。これも運命だ」

ケンタロウは、再会を運命だと決めつけ、一方的に話を進めていく。彼は、ミドリの結婚指輪に気づきながらも、それを無視し、まるで二人がまだ学生時代のように振る舞った。

「近いうちに、ゆっくり話そう。君の好きなカフェを予約しておくよ」

彼は、ミドリの返事も聞かずに、一方的に約束を取り付けた。ミドリは、彼の異様な熱意に戸惑いながらも、過去のトラウマから逃れることができず、曖昧な返事をしてしまった。

それからというもの、ケンタロウはミドリの行動を執拗に追い始めた。彼女のSNSアカウントをハッキングし、位置情報を常に把握。ミドリが他の男性と話しているのを見かけると、背後から忍び寄り、二人の会話を盗み聞きした。

「ミドリ、君は僕だけのものだ。誰にも渡さない」

ケンタロウは、独り言のようにそう呟きながら、ミドリの写真を切り抜いたスクラップブックを眺めていた。彼の部屋には、ミドリの髪の毛や爪の欠片を保管した小瓶がいくつも並んでいた。


続く…

キモ男の暴走が始まる…!!

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