「認知的不協和の解消」と「マシュマロ実験」
【認知的不協和( cognitive dissonance)】認知の矛盾によるストレス(不協和)。
【認知的不協和の解消】それを解消するために矛盾の片方を歪めて緩和する行動。
私は愛煙家である。例えば。
「A.タバコを吸いたい」「B.タバコは身体に悪い」という矛盾する2つの認知がある場合、B.の認知を歪めて「タバコを我慢する事がストレスになって逆に身体に悪い」と正当化し何食わぬ顔で吸う事。
世の中は【認知的不協和の解消】に溢れている。
30万年前ホモ・サピエンスが誕生して以来、この能力?によって絶妙な矛盾の解消と問題の先送りがなされてきた。
【マシュマロ実験】被験者は4歳児186名。皿にはマシュマロが1個のっている。15分間食べるのを我慢出来たらマシュマロが2個もらえる。2個目のマシュマロを手に入れた子どもは全体の1/3ほどだった。
子どもたちのその後と実験結果の因果関係については否定されているものの、私個人的には少なからずあるように思う。
無論私はマシュマロを2個もらえなかった部類の人間だ。
さて
私はレッスンの時に基礎を大事にしている。基礎の探究は楽器や自身の体との信頼関係を築く作業だと思う。
「本番でいつも通りの音が出なかった。」と言う人はその信頼関係をまだ充分に築けていない人だ。
「基礎を熱心に取り組んでいるのに曲では成果を出せない。」と言う人もいる。この場合は曲の読譜が甘いか応用力を育む必要がありそうだ。
一方、基礎に時間をかける事を敬遠する生徒さんもいる。それぞれのご事情、お気持ちも大切だ。
きっとそんな生徒さんの心の中には【認知的不協和の解消】が存在するに違いない。私のタバコの様に。
【マシュマロ実験】で2個もらえた子どものような忍耐を持てる日と【認知的不協和の解消】で紛らわす日が絶妙に混在するのだと思う。
私はレッスン中、そんな事を考えながら生徒さんの「上達」と「楽しい」を両立させるためのバランスを取っている。