D・L・エヴェレット『ピダハン』を読む
ピダハン族は、幸福に、真実に、ジャングルで暮らしている。砂漠化で森が失われでもしない限り、彼らは、その生活を改善しそうにない。
この書物から得た気づきを、三つほど記しておきます。
ピダハン族のおしゃべりは自然現象をなぞる言葉である。
ピダハン族が言う「イビピーオ」は知覚の辺境にある。
そして、ピダハン語の動詞には接尾辞が最大十六もとることがあり、文末にくる確認的接尾辞は「推論」「観察」「伝聞」の三種類があるとのこと。その辺りでは、次の図で示すように、言及したい。
尊敬や感謝も、文化として発明しなければならない。
ピダハン語には尊敬の辞や感謝の辞もありません。
尊敬がエネルギーの伝達を促すことに気づかなければ、言語に転位性が表れず、一文を越える接続詞も、必要とされないのではないか。
感謝がエネルギーの循環を促すことに気づかなければ、言語に再帰性が表れず、一文を越える関係詞も、必要とされないのではないか。
以上、言語学的制約から自由になるために。(改2023年2月)