花言葉談義
マダム・ジラフ「あら?ミスターじゃないの、中にいらっしゃいな。」
ミスター・ペン「ああ、マダム、ご在宅でしたか。物置小屋の裏にマダムのお好きな花が咲いてたものですから、ちょっとお持ちしたところでして…。」
「まあ、ドクダミ!ありがとう!さあ、お入りになって。」
「では、お言葉に甘えるといたしましょう。おじゃまいたしますです」
「さあ、どうぞ、うふ。さてと、そのドクダミちゃんを花瓶に差してあげなくっちゃ。」
「本当にマダムはドクダミがお好きですな。」
「ドクダミの花言葉って知ってらして?“白い追憶”の方が知られているけれど“野生”って花言葉もあるのよ?自分にないものに憧れちゃうのかしらね、うふ。」
「ほう、花言葉ですか…。不覚にも、生まれてこの方、気にしたことがなかったです……ああっ、もしかしてあれは花言葉のせいだったのかな?あのですね、マダム。以前とある女性にハイビスカスを贈ったら突き飛ばされまして。いったい何が気に障ったのかてんでわからず途方に暮れたことがあるんですよ。花言葉と関係あるんですかね?」
「あらん、ミスター、それはダメだわよ、うふふふふ。ハイビスカスの花言葉は“微妙な美しさ”ですもの、うふふふふ、ああ、面白い。」
「はへえ~、そうでしたか…。それはレディーに失礼しごくでしたなあ。安易に花を贈ってはいけませんな。」
「でも使い方次第では楽しくってよ。あのね、会うたびにアネモネを持ってきて下さる紳士がいらっしゃるの。だからあたしはその紳士がいらっしゃる時はリンドウを飾っておくんですの。」
「アネモネにリンドウですか。何やらロマンティックですな~、素敵だ。で、その花言葉はなんなんです?」
「アネモネは“恋の苦しみ”。リンドウは“苦しんでいる時のあなたが好き”。うふふ、あははは~ん。」
「………………あは、あはは、あ~、マダムはたいそう、その~、ユニークでらっしゃいますな、あは、あはは……。」
「あらあら、ミスター、お茶をこぼしてらしてよ?」
「ああ、これは失敬、失敬…。若干、紳士に感情移入してしまい…。」
「さあさあ、熱いお茶を入れ直しましょう、うふ。」