手術note11 犬4ヶ月齢の脛骨骨折を非観血的創外固定で治療した一例
柴犬4ヶ月齢が人の手から落下し脛骨が骨折したとのことでご来院されました。脛骨は骨幹部で粉砕骨折していましたが腓骨は問題ありませんでした。不完全な骨折線が遠位骨幹端まで螺旋状に認められました。腓骨が正常であることは下腿の骨折治療にとって有利に働くため、脛骨が単純骨折でこの月齢であれば外固定による保存治療が奏功した可能性はあります。しかし脛骨が粉砕骨折であること、ヒビが遠位骨幹端まで延びているため慎重な対応が必要であると考えられました。
本症例には遠位骨端線まで骨折ラインがあることからインプラントの設置が困難であることが予想されました。そこで、遠位骨折線の固定と粉砕部の架橋を行えるように創外固定器を設置いたしました。Cアーム下で切皮はピン刺入部のみ行い、整復は非観血的に行いました。
手術翌日から患肢の使用は可能で、術後管理も容易でした。術後30日で骨癒合が認められたため創外固定器の除去を行いました。
創外固定器は体外に装着するためその術後管理がしばしば困難になりますが、若齢の動物であれば骨癒合が早いため装着期間がそれほど長くなく、非侵襲的治療を行う場合には有用です。またこの症例のように骨端線まで骨折線がある場合は、骨折端のインプラントを設置するスペースに限りがあります。自由度の高い創外固定法であれば多方向からピンを刺入することで対応が可能です。またギプスなどの外固定と比較し、術後から歩行が可能になることやギプスの管理が必要ないことはご家族にとっても侵襲の少ない治療と言えます。
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