QUARC動物病院

当院は外科を中心とした犬と猫の二次診療病院です。 的確な診断と無駄のない治療、動物に負担の少ない治療、動物とご家族に合わせたオーダメードの治療を心がけております。そのために獣医師、看護師共に専門的な教育を行い、日々進化するよう人材育成にも力を入れております。

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当院は外科を中心とした犬と猫の二次診療病院です。 的確な診断と無駄のない治療、動物に負担の少ない治療、動物とご家族に合わせたオーダメードの治療を心がけております。そのために獣医師、看護師共に専門的な教育を行い、日々進化するよう人材育成にも力を入れております。

マガジン

  • QUARC動物病院 手術ノート

    QUARC動物病院で行なった手術の内容を紹介します。

  • QUARCコラム

    QUARC動物病院による小動物臨床に関するコラムです。

  • 泌尿器疾患パンフレット

    普段の診療で使っていただける疾患説明用リーフレットです。ご自由にダウンロードしてお使いください。

  • QUARC動物病院 オープンセミナー

  • QUARC動物病院 概要

    QUARC動物病院の診療内容などを紹介します。

最近の記事

手術note23 大腿骨遠位変形骨切術を実施した再発性膝蓋骨内方脱臼の症例

症例 サモエド、1歳3ヶ月齢、避妊メス 両膝関節に膝蓋骨内方脱臼グレード2があり、他院にて右膝に2回の手術が行われていたが再脱臼したため当院を受診されました。来院時に跛行はそれほどないものの、脱臼が恒久的になりつつあったため、今後の膝関節伸展制限の発生や関節炎の進行を抑えるために手術を勧めました。 X線検査では大腿骨遠位端の内反変形が認められ、一般的な滑車溝造溝術や脛骨結節転移術だけでは脱臼がコントロールできない可能性が高いと考えました。大腿骨の頭尾像からaLDFA( ana

    • 手術note22 副腎腫瘍の摘出

      ヨークシャー・テリア、9歳、オス 多食、パンティング、腹囲膨満、皮膚の菲薄化などがあり、かかりつけの動物病院さんで左側副腎の機能性腫瘍と診断されて、手術を目的にご紹介頂きました。 エコー検査では左副腎に腫瘤状の病変がみられました。 手術計画を立てるために手術前にCT検査を受けてもらいました。 左副腎に腫瘤がありますが、血管浸潤などはみられませんでした。 機能性の副腎腫瘍であり、ご家族と相談のうえで手術を行うこととなりました。 術式  :左副腎摘出術 手術時間:76分

      • 手術note21 棘細胞性エナメル上皮腫

        12歳の柴犬が棘細胞性エナメル上皮腫の再発の治療で来院しました。 かかりつけの動物病院での切除生検による診断後に再発がみられました。 手術前にCT検査により骨下顎骨への浸潤の程度を確認しました。 病変は肉眼的に右下顎第2前臼歯周囲までおよんでおり、骨への浸潤は右下顎第1前臼歯周囲までみられました。 根治治療を目的として下顎間結合から尾側は右下顎第3前臼歯尾側までの下顎部分切除を行うこととしました。 手術 術式:右側下顎吻側部分切除 手術時間:87分 麻酔時間:113分

        • 手術note 20 絞扼性イレウス

          3歳、去勢オスのポメラニアンが嘔吐と元気消失で来院されました。 来院前日からの急性の嘔吐と元気食欲の消失があり、夜間に救急病院を受診して腸閉塞が疑われていました。 当院の検査では、小腸が部分的に重度の鬱滞を起こしており、周囲の脂肪の高エコー化もみられました(図1)。腹水もありましたが、変性漏出液で細菌感染はありませんでした。超音波検査時には非常に強い疼痛がみられました。 原因は不明でしたが腸閉塞があることは間違いなく、疼痛が強いことや腹水もあることから緊急性が高いと判断し

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          22本
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          0本
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        記事

          どうぶつの皮膚病最新研究紹介

          犬のアトピー性皮膚炎の痒みと居住地域の気候条件、花粉数の関係 (ドイツ、バイエルン州) 犬のアトピー性皮膚炎は遺伝性の病気です。 環境抗原(アレルゲン)に対して、過剰な免疫反応 (アレルギー)を起こしやすい体質が遺伝します。 アトピーを患った犬が、何のアレルゲンに反応しているのかを調べる方法はいくつかあります。 日本でよく使われるのは血中IgE検査(アレルギー検査)ですが、諸外国ではIDT(皮内試験)が主流です。 今回紹介するのは、ドイツのバイエルン州(日本の北海道

          どうぶつの皮膚病最新研究紹介

          手術note19 回盲部の肥厚病変

          回盲部の肥厚病変の手術を行った犬の患者さんを紹介します。 患者さんは雑種犬(チワックス)、8歳6ヶ月齢、去勢オス、体重5.6kg(BCS3/5)です。 2ヶ月前から下痢があり、数日前から食欲低下、体重減少もみられるようになりました。かかりつけの動物病院さんで超音波検査をすると回盲部に肥厚性病変が見つました。血液検査では異常値はありません。手術を目的に当院へご紹介いただきました。 当院初診時の超音波検査所見です。 回腸遠位に全周性の筋層肥厚がありましたが、腸管壁の層構造は保

          手術note19 回盲部の肥厚病変

          手術note18 猫の膀胱憩室

          6歳、去勢オスのスコティッシュフォールドが膀胱憩室疑いで来院されました。 3ヶ月間で4回の細菌性膀胱炎を繰り返し、かかりつけの動物病院さんで超音波検査をしたところ膀胱憩室が疑われました。 当院で逆行性尿路造影検査を実施し、膀胱頭側において突起状に造影剤の充填像を認め、膀胱憩室と診断しました(矢頭)。 尿膜管異常に関連した膀胱憩室があり、それが再発性細菌性膀胱炎の素因になっている可能性が高いと判断しました。確定診断と治療のために膀胱憩室の切除を実施することとしました。 腹

          手術note18 猫の膀胱憩室

          猫の細菌性膀胱炎

          猫の膀胱炎は下部尿路疾患(FLUTD)の一部ですが、今回は猫の膀胱炎を診察する際のポイントを2つご紹介します。 1.猫では”細菌性”膀胱炎が少ない 2.猫で”細菌性”膀胱炎を見たら背景疾患を探せ この2つを意識することで不要な抗菌薬の使用を減らすこともできます。 それぞれを解説してみます。 1.猫では”細菌性”膀胱炎が少ない犬では細菌性膀胱炎は一般的な泌尿器疾患ですが、猫では年齢別に発生率が異なります。 10歳以上の猫ではFLUTDの40~45%を占めますが、10歳以下

          猫の細菌性膀胱炎

          術前に飲ませていいの? 〜 NSAIDs 〜

          「手術の前に今飲んでいるお薬は飲ませてもいいの?」 「何日前から飲ませるのを中止したほうがいいの?」 これらは薬の作用や代謝によって変わってきます。 手術前に飲んで欲しくないお薬にはいくつかあります。 例えば、ACE阻害薬や抗凝固薬、NSAIDsなどです。 その中でも今回はNSAIDsについてお話しさせて頂きます。 NSAIDsは「抗炎症効果」「鎮痛効果」「解熱効果」があります。これには炎症や痛覚過敏、血小板凝集、好中球遊走などの関わるプロスタグランジン(PG)やロイコト

          術前に飲ませていいの? 〜 NSAIDs 〜

          手術note17 門脈体循環シャント

          犬、シーズー、11ヶ月齢、メス ホームドクターさんで避妊手術前の血液検査で肝酵素上昇が見られた。その後、尿検査で尿酸アンモニウム結晶が見つかり、総胆汁酸(TBA)で食前 400μmol/l以上、食後2時間 210μmol/lと高値を示したため、門脈体循環シャント(PSS)が疑われました。他施設でCT検査を実施、左胃静脈-横隔膜シャントと診断された症例です。 術式  :門脈体循環シャント結紮術 手術時間:142分 麻酔時間:113分 手術は腹部正中切開で開腹、胃を尾側に牽引

          手術note17 門脈体循環シャント

          手術note16 気管虚脱で呼吸困難の犬

          8歳のポメラニアンが呼吸困難で来院し、レントゲンで重度の気管虚脱と診断しました。 以前から呼吸の問題を抱えていたようですが、最近になり急性に悪化したとのことでした。 酸素ケージから出るとすぐにチアノーゼになってしまう状況だったため、急遽、気管虚脱の整復手術を行うことになりました。 術式  :気管外プロテーゼ設置術 手術時間:102分 麻酔時間:143分 頚部腹側皮膚の正中切開から舌骨胸骨筋などを分離して気管にアプローチしました。 気管は重度に扁平化し、腹側の気管軟骨も陥凹

          手術note16 気管虚脱で呼吸困難の犬

          手術note15 尿道の動的な屈曲による排尿困難の猫

          11歳の未去勢オスのメインクーンが排尿困難で来院されました。 1週間前から排尿姿勢をとるが排尿できない状態で、かかりつけの動物病院で尿道カテーテルによる導尿を実施しているが改善がみられないとのことでご紹介をいただきました。 1年前にも同じような排尿困難があり、その時は内科的に改善したとのことでした。 来院時、膀胱は重度に拡大していました。外尿道口から4Frのアトムチューブを挿入したところ、若干抵抗感はありましたが、膀胱まで挿入は可能でした。 いわゆるオス猫の尿閉の典型像で

          手術note15 尿道の動的な屈曲による排尿困難の猫

          手術note14 猫の肛門嚢アポクリン腺癌

          肛門嚢炎を繰り返している猫(雑種、14歳、避妊メス)で肛門嚢の腫瘤がみられたた患者さんです。 猫では肛門嚢の腫瘍は比較的まれですが、細胞診で肛門嚢アポクリン腺癌が疑われたため、根治目的の手術を行うことになりました。 手術はジャックナイフ姿勢で実施します。 可能な限りサージカルマージンを確保するために、内側は肛門嚢の導管も含めて肛門粘膜で切開しました。 腫瘤が露出しないように肛門嚢の周囲を全周性に剥離と切開をすすめました。内側は内肛門括約筋(直腸壁)を残して剥離。 直腸

          手術note14 猫の肛門嚢アポクリン腺癌

          耳をすませば

          「耳をすませば」といえば、日本を代表するアニメ制作会社、スタジオジブリの甘酸っぱい青春を描いたアニメーション映画である。 たまの金曜日に地上波で放送されているので、幅広い世代の人に馴染みがある作品ではなかろうか? ジブリ好きな筆者などは、「雫〜!!聖司くん〜!!」となりながら金曜日の23時を迎えるのが結構好きである。 いや、この記事は別にジブリの映画について語りたいのでも、映画論を展開したいでもないのです…。すみません。 【耳を澄ます】という慣用句があります。 もっとよく

          耳をすませば

          手術note13 短頭種閉塞性気道症候群

          短頭種閉塞性気道症候群(以下、BOAS:Brachycephalic Obstructive Airway Syndromeとします)は、ご存知の通り、短頭種犬に特有の上気道の閉塞を特徴とする病態です。 今回はBOASについて 「手術はしたほうが良いのか?」 「手術はいつ行えばよいのか?」 という、よくいただくご質問にお答えしてみたいと思います。 「手術をしたほうが良いのか?」ということを考えるために、まずはこの病態がどういった問題を抱えていて、そのままだとどうなるのか、

          手術note13 短頭種閉塞性気道症候群

          屋内生活の猫のための環境調査シート

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