局所麻酔についての紹介(坐骨・大腿神経ブロック)
当院では鎮痛方法として局所麻酔を積極的に行なっています。
局所麻酔にてその領域の知覚神経を遮断する事で、確実な鎮痛が得られます。
局所麻酔は様々な方法がありますが、今回は坐骨神経・大腿神経ブロックについて紹介したいと思います。
坐骨神経・大腿神経ブロックは大腿骨遠位から足先にかけての手術を行う上で効果的な鎮痛方法です。
主に整形外科手術で使用しており、坐骨神経と大腿神経の双方をブロックする事で、TPLOといった侵襲度の高い膝関節の手術や脛骨から足先における再建術や腫瘤切除など後肢の手術に対して無痛効果が得られる非常に便利な方法です。
神経ブロックの方法としては、神経刺激装置と超音波ガイド下で行う方法がありますが、当院ではどちらの方法でも対応できるようにしています。
今回は超音波ガイド下で坐骨神経・大腿神経ブロックを紹介します(図1)。
坐骨神経は仙神経叢から分岐して、大腿骨大転子と坐骨結節の間を走行し、その遠位で腓骨神経と総腓骨神経に分岐して後肢末端まで分岐します。
後肢外側から股関節のやや遠位でプローブを短軸に切ると、大腿二頭筋の下に坐骨神経が見られます。神経は筋膜に囲まれた2つの丸い低エコーで描出されます(図2~3)。この周りに局所麻酔薬を浸潤させて坐骨神経ブロックを実施します。
大腿神経は腰神経叢から分岐し、大腿動静脈とともに後肢内側を走行して、後肢末端まで分岐します。
大腿神経をブロックする領域はいくつかありますが、主に前腸骨レベルで腸腰筋を描出しブロックを実施しています。大腿神経は腸腰筋の中を走行しているため、腸腰筋が短軸になるように描出すると、1つの丸い低エコー性の構造物が確認できます(図4~5)。この周りに局所麻酔薬を浸潤させて大腿神経ブロックを実施します。
超音波ガイド下で神経を目視しながら局所麻酔薬を注入することで、神経穿刺を防げる安全性、ブロックの精度の上昇につながりました。局所麻酔がしっかり入ると無痛効果が得られるため、全身麻酔薬や鎮痛剤が減量できる事に繋がり、安全性の高い麻酔を提供できるようになります。そのため普段から局所麻酔を積極的に使用し、動物の負担を減らせるような麻酔管理を心掛けています。
麻酔や鎮痛面で不安な患者様がいましたら、お気軽に当院にご相談して下さい。
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