どうぶつの皮膚病最新研究紹介
犬のアトピー性皮膚炎の痒みと居住地域の気候条件、花粉数の関係
(ドイツ、バイエルン州)
犬のアトピー性皮膚炎は遺伝性の病気です。
環境抗原(アレルゲン)に対して、過剰な免疫反応 (アレルギー)を起こしやすい体質が遺伝します。
アトピーを患った犬が、何のアレルゲンに反応しているのかを調べる方法はいくつかあります。
日本でよく使われるのは血中IgE検査(アレルギー検査)ですが、諸外国ではIDT(皮内試験)が主流です。
今回紹介するのは、ドイツのバイエルン州(日本の北海道の内陸部のような地域)で行われた研究です。
まず、一般の家庭で飼育されているアトピー犬37頭を対象に、IDTでアレルゲンへの反応を調べます。
次に、アトピーの治療を行いながら、痒みが悪化した時期と気象データ(花粉の飛散量、気温、 湿度、日照時間、降雨量)を比較しました。
ここまで読んでみて、どうでしょう?
国民の20%超がスギ花粉症に悩む日本人としては、
いや~花粉の飛散量関係するでしょ?
と思いますよね。
研究の結果は・・・
犬のアトピー性皮膚炎の痒みと有意に相関するのは湿度のみ でした。
意外ですよね。
これはドイツでの研究なので、そのまま日本の犬に当てはめることはできませんが、興味深い結果だと思いました。
もちろん、湿度が花粉の飛散量に影響したり、犬は地面を歩くので気象データの花粉量より多くの花粉に暴露されている可能性など、研究で取り扱っていない部分の関与は否定できませんが、 日本でもこういったデータが出ると面白いな~と思ったのでした。
皮膚科 獣医師 澤
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