父が保険の話を
約二十年ぶりに実家に帰ってきた無職の娘に、父はいろいろな保険のアドバイスをくれる。父の進める全ての保険に入ったら、職を得たとしても収入の半分は消えていく。多くの人が、税金、家のローンとか、他に色々抱えている。
日本にいなかった時、周りの多くの人たちは健康保険を持っていなかった。家もないし、年金もなかった。頼れる人は、家族と、同じ国のコミュニティーや、仕事仲間。日本ではきっと「無責任な人たち」なんて言われそう。
でも、無責任なんて感じた事はなかった。みんな休みなし、定年なしで働いていた。そういう生き方をしている人が、世界のほとんどだと思う。
私はこれからたくさんの保険に入って、そのために働く事になる。人に迷惑をかけないため。それは、私の父がそう信じているから。
父は40年間同じ会社に勤めあげ、会社から貰えるものは全てもらった。父は私の生活費や、保険料を払うと言ってくれた。私は、父がいなくなった後、その保険料は到底払えないので、解約するという事を伝えて、父のいう通りにすることにした。
必要な人のためにお金を使うのはいい、でも「大きな組織」をまわすために働く時代は終わった。これからは自分のやり方でやっていこう。