因果の道を辿って1
まずは,昔から哲学でも議論されている話題を挙げ,我々の理論の帰着の一つを紹介します。ただし,「間違いなくこれが我々の理論の唯一の帰着だ。」と言えるほどではない場合は,「~となるだろう。」というような表現でごまかします。
問題1.「なぜ何もないのではなく,何かがあるのか?」
「『世界は数学そのもの』だからだ」と思います。これは,かつて,ピタゴラスが「万物は数である」と言ったことが最初でしょう。ガリレオも「自然は数学の言葉で書かれている」と言ってます。また,最近ではテグマークが同じことを言ってますね。
数学というものは世界が存在しようがしまいが存在しますから,「『世界は数学そのもの』だからだ」という答えは,世界が数であれば 問題1の答えになっていると思います。ただし,ガリレオの言葉については,一見すると,自然というものが最初に存在し,これを数学で表すことがいつでも可能だと言っているように見えます。つまり,「自然現象⇒数学」のように見えます。しかし,物理学者が行っている作業は,むしろほとんどは逆でして,数式に解釈を与える作業,つまり,「数学⇒自然現象」なのです。ガリレオの時代は落下の距離が経過時間の2乗に比例するということが実験から直接見えてました。ところが,今の時代は,自然現象から数学を直接見るのは非常に難しい。こういう事情ですから,「数学⇒自然現象」を行っている現代の物理学者から見れば,「自然現象⇒数学」というガリレイの言葉は「自然現象=数学」に見えるのです。
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