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SPAC開示規制等強化へ

2024年1月24日、米国証券取引委員会(SEC)は、SPACによるIPOおよびその後のde-SPAC取引における、開示の強化と投資家保護の追加を目的とした新ルールおよび改正を採択しました(LINK)。

SPAC規制強化の経緯

この変更は2022年3月のSECのミーティングで検討されるとされていた内容で、いわば既定路線ともいえるものでした。しかしそこから約2年弱、SPACの関係者を中心に大激論が交わされたようで、当時想定したよりも時間がかかってルール化された印象です。この規定の変更は、SEC内での投票で3対2の僅差で採用が決定されたということです。

改定の主な内容

今回の改定は581ページにも及ぶ広範で詳細なものですが、主な内容は以下の通りです。

  • SPACスポンサーの報酬、潜在的な利益相反、希薄化などに関するより詳細な開示が要求されます。

  • 特定の状況では、de-SPAC取引におけるターゲット会社は、SECへの登録上、SPACと共同登録者となり、それに伴いde-SPACに関する登録届出書において、開示にかかる責任を共同で負うことになります。

  • SPACを含むシェルカンパニーにおける企業結合取引(つまりde-SPAC取引)は、シェルカンパニー(SPAC)の既存投資家に対してターゲット会社の証券を販売する取引とみなされることとなります。

  • SPAC等に従来認められてきた、Private Securities Litigation Reform Act of 1995(PSLRA)における将来業績見通しに対するセーフハーバー(一定の条件を基準に違反や罰金の対象とならないとする範囲)が、今後適用されなくなります。

改定の目的

SECのゲイリー・ゲンスラー委員長が述べているように、この改定は「SPACのルールが従来のIPOのそれと整合を図ることを目的としており、開示、業績予想の使用、および発行者の義務の3点を通じて、投資家保護を強化することを」目的としています。

SPAC規制強化による影響

これらの開示により、SPACを通じた上場は、通常のIPOと比べて有利だったとされる項目、特に将来業績見通しに関するセーフハーバー条項の適用が認められなくなることにより、大きな影響を受けることになります。従来はSPACが業績見通しを開示する際、PSLRAによって免責対象とされていたため、意図的な虚偽でない限り、業績予想が実績と異なっていたとしても、責任を問われないとされていました。

今回の改定でこのセーフハーバーの適用外となるため、業績見通しの開示が難しくなると考えられます。実際、通常のIPOにおいてはセーフハーバーは適用外ですので、アメリカのIPOにおいては業績見通しを開示することは極めて稀です。今後はSPACにおいても右肩上がりの業績見通しを開示し、株価を吊り上げるということができなくなり、通常のIPOと株価形成において差がなくなることになります。

おわりに

SPACに関しては、2022年3月に、このルールに関する検討が行われるという告知がされた時には、すでに下降線をたどっていましたが、今後ますます優位性がなくなり、いわばSPACブームは終焉を迎えるのではないかというのが市場関係者の大勢の見方でないかと思います。




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