品質管理の玉手箱(15)
そもそも情報開示とは?
情報開示の目的は、「組織(企業)内の方向性を一つにまとめ上げること」に他なりません。組織内の何処かで発生した問題を組織全体の問題と捉え、問題の当事者だけでなく組織内の全ての人の知恵と工夫を結集させて速やかな問題解決に導くためには、組織内で起きている”現実”が誰の目にも見える状況になっていることが第一です。
そこで、ここからは、組織内の全ての人たちの当事者意識を高め、組織を活性化し、現場力を高めるための情報開示のあり方について見ていきたいと思いますが…その前に、ところで、皆さんは「情報開示(公開)」と言う言葉にどんなイメージをお持ちでしょうか?
2001年4月に施行された「行政機関の保有する情報の公開に関する法律(通称、情報公開法)」によって、ネットでもテレビでも新聞でも、国や地方の行政活動に関する情報公開請求の話題が報道されることが多くなりました。
また、最近では、自社の企業価値をPRするために、インターネットを通じて“IR情報(企業が主に投資家に向けて発信する、経営状況や財務状況、業績動向などの情報)”を積極的に公開する企業も多いですし、品質管理の関連では“リコール情報”の公開や、企業不祥事についての第三者委員会の“調査報告”なども、近年、目立って増えています。
もっと身近な例では、社内のコミュニケーションに欠かせない“報告、連絡、相談(ホウレンソウ)”も、「個人が持っている情報(仕事の結果や、感じてる事、悩み事など)を他人に開示する」と言う意味では、情報公開の一形態と言っても良いでしょう。とも言えるでしょう。
これらは、適正で良好な社会や組織(企業)の運営にはとても重要な情報開示ではありますが、ここで話題にしたい「組織内の全員が“当事者意識を持たせて、現場力を高めるための情報開示」とは言えません。なぜならば、これらの活動で開示される情報のほとんど全てが、「(場合によっては、情報を開示する側の都合で)選択(選別)され、加工された情報」に過ぎないからです。
では、普段私たちの身の回りに溢れているこうした"選別"され"加工"された情報が、私たちにどんな影響を及ぼすか?を、簡単な例で見てみましょう。