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品質管理の玉手箱(14)

問題解決の要は部外者(第三者)

 問題の渦中にありながら問題解決が進まないのは、決して”当事者意識”がない(低い)わけではなく、目の前に林立する問題ばかりが目に入って、問題の全体像(本質)が見えなくなっている、正に「木を見て森を見ず」の状況に陥っているだけで、むしろ、”当事者意識”の高い人ほど、「何とかしなければ…」と言う責任感からこの傾向はより強く顕れます。

 それなのに、上司から「もっと当事者意識を持て!」などと追い打ちをかけられたのではたまったものではありませんね。時と場合によっては、「やってられねぇ」「こんな会社やめてやる」と言う気持ちになってもおかしくありませんね。
 ”現場力”を高めようとして放った上司の一言が、却って”現場力”を粉微塵に破壊してしまいかねないのです。

 そんな状況の中での救世主は、実は、やはり”当事者意識”なのです。
 ただし、こちらは問題の渦中にいる当事者ではなく、部外者(直接問題に関係していない人や組織=第三者)の”当事者意識”です。

 問題の解決を当事者だけに任せるのではではなく、直接問題に関わっていない第三者にも”当事者意識”を持って関わってもらうことが”現場力”を高める秘訣なのです。
 …などと書くと「そんなことは判ってる!」とお怒りの言葉も聞こえてきそうですが、しかし、頭では判っていても実行できていないのが世の常なのです。

 第三者に”当事者意識”を持たせる上で最も重要なことは「徹底した情報開示」です。現場で起きていること、良いことも悪いことも、どんなに些細なことでも、包み隠すことなく開示されており、それらの情報に誰もがアクセスできて、議論ができるようになっていることです。現実がどうなっているか分からないで、”当事者意識”を持つことなどできません。

 ところが、昨今巷を賑わせている数々の企業の品質不祥事の報告書には、「知らなかった」「聞いていなかった」のオンパレード…如何に現場の”情報隠し”が常態化しているかを物語っています。この”情報隠し”こそが、組織内の”当事者意識”を低下させ、ひいては、“現場力”の向上を阻害している諸悪の根源なのです。

 そこで、次回からは、「現場力を高める情報開示の進め方」について考えてみたいと思います。

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