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品質管理の玉手箱(5)

QCサークルとは(1)

 

 近年、ビジネス界に止まらず、いろいろなところで「自走する組織」が注目されています。

 教育から医療、福祉の現場、各種のNPO団体、更には、これまで日本の社会の中で最も縦割りで、何事にも上からの指示待ち、慣例·前ほ例主義で変化を嫌ってきた行政サービスの分野でさえもが、「自走する組織」…つまり、「自分で考え、自分で動く組織」への転換を進めていますが、この「自走する組織」の典型例(先駆け)と言っても良いのが、60年前に始まった“QCサークル”でしょう。

 もともと、「自分たちも品質管理(QC)を学びたい」と、製造現場の職工たちが自主的に集まって始められたインフォーマル(非公式)な学習会に端を発する"QCサークル"も、「自ら考え自ら学び自ら行動することによって無限の可能性を引き出し、更なる能力の向上へとつなげ、活力ある職場づくりに有効」との認識のもとに「自主性(自発性)」を活動の第一の柱としています。

 しかし、ここで問題となるのが「自分で考える」ことの難しさです。

  筆者も、就職したての頃は、上司や先輩方から何度となく「自分で考えろ!」と怒鳴られたものです。 
 そこで「次こそ彼らを見返してやろう」と、必死に考えて次の行動に出るのですが、やはり、彼らが期待するような結果(成果)は得られず、今度は「何考えてンだ!」と、丸めたノートで頭をはたかれる始末…

 そんなやり取りを何度か繰り返すうちに気付いたことは、どんなに考えても、ひとりの考えには限界があると言うことです。

 人の思考(考え) は、その人の性格や生まれ育った環境(教育や人間関係など)によって形成される価値観のほか、それまで蓄積してきた知識経験から導き出されるものですから、長年その仕事に従事して数々の問題や課題を乗り越えてきた上司や先輩方と、入社1~2年の若造の考えに大きなギャップがあるのは当然のことなのです。

 …とすれば、ひとりで考えるのではなく、みんなで考えることが大事だと言うことに気付くでしょう。

 これが、“QCサークル”活動の第二の柱である「相互啓発」です。

 同じ問題(課題)を抱える職場の仲間が各々の知恵(知識や経験)を持ち寄って一緒に(みんなで)考え、行動することを通して、職場(チーム、組織)全体の力の向上(強化)につなげるのが、“QCサークル”なのです。

 

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