見出し画像

品質管理の玉手箱(7)

QCサークルいま何処(いずこ)?

 1962年に誕生し、1970年代から1980年代にかけて世界の品質界をリードしてきた日本型品質管理の中心にあった"QCサークル"でしたが、1990年代に入ると、一転して衰退への道を歩み始めます。

図1


 図1は、1970年から1996年までの日本科学技術連盟QCサークル本部へのQCサークル登録数と、その前年比増加率(=新規登録数)の推移を追ったもので、登録数は毎年僅かながらも増加し続けていますが、増加率は1985年以降低下の一途を辿っており、産業界のQCサークル離れを物語っています。

図2


 次に、労使間の意思疎通を図るための企業の取り組みの実態を明らかにする目的で厚生労働省が5年毎に行っている「労使コミュニケーション調査」から、QCサークル等の小集団活動の実施率と活動への重視率の推移をみたのが図2ですが、ここでも、1984年の調査をピークに、その後は実施率、重視率とも右肩下がりで、更に、2009年の調査からは、小集団活動についての設問自体がなくなってしまいました。

 QCサークル登録数(増加率)の推移だけを見ると、1985年に始まった円の急騰を契機に、当時日本経済を支えていた製造業で生産拠点の海外移転が加速した影響も考えられますが、後者の結果(実施率、重視率の低下)を重ね合わせて見ると、QCサークル数の減少は、むしろ、企業(経営者)側が「QCサークル(小集団活動)に対する重要性を感じなくなった」ことに、少なからず影響を受けているとみることができます。
 
 では、この時期に一体何があったのか?
 筆者は、小集団活動に対する重視率が2度目に大幅に低下(-14.6%)した1994年から1999年にかけて起こった「品質管理の潮流の変化」を、QCサークル(小集団活動)衰退の大きな要因として指摘したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?