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「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」に行ってきた
「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」に行ってきた。
概要
本展は芸術家の吉川静子(1934 – 2019)とデザイナーのヨゼフ・ミューラー=ブロックマン(1914 – 1996)の回顧展です。スイスを代表するグラフィックデザイナー、タイポグラファーであるヨゼフ・ミューラー=ブロックマンと、そのパートナーであり芸術家の吉川静子の二人の活動と作品を紹介するものです。吉川とミューラー=ブロックマン双方にとって初となる大規模な回顧展として開催されます。
二人はチューリッヒを拠点として芸術活動、教育活動に従事した芸術家でした。ミューラー=ブロックマンが亡くなった後も、吉川はチューリッヒで画家として晩年まで制作を続けます。二人の出会いは、1960年に東京で開催された世界デザイン会議においてでした。津田塾大学で英文学を学んだ吉川は、通訳としてこの会議に参加したのです。この世界的な会議に刺激を受けた吉川は、ドイツのウルム造形大学に留学しデザインを学んだ後、ミューラー=ブロックマンの事務所で働き始めます。信頼の絆で結ばれた二人は結婚し、生涯を共にしながら、芸術家としてそれぞれに進むべく道を開拓していきました。
吉川の芸術世界とミューラー=ブロックマンの卓越した構成的デザイン———アートとデザインという分野を超えた二人の活動の軌跡をどうぞご堪能ください。
本展は在日スイス大使館の後援を受け、日本とスイスの国交樹立160周年を記念して開催されます。
「グリッド・システム」を確立した人として最近知った、スイスを代表するグラフィックデザイナー、タイポグラファーであるヨゼフ・ミューラー=ブロックマン。そのパートナーであり芸術家の吉川静子の二人の活動と作品を紹介するものだった。
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展示会に行くにあたり、参考にさせていただいた記事
特に感動したのは、吉川静子の「色の見え方」と「色光の加減」、そして「数学的構成」、この3つによって人が認知する空間の雰囲気が不思議と変わるという発見だった。
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初期の建築空間を意識した作品では、色と光の組み合わせが観る者に錯覚を起こさせる。色彩によるものなのか、構造物によるものなのか、陰影によるものなのか。少しの光や角度の違いで、世界ががらりと変わってしまうような驚きがあった。
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例えば、下の1, 2枚目の青色のテキスタイルの作品では、中央に線など引いていないのに空白の四角が浮かび上がって見える。また、3枚目の写真にある作品では単に4つの色彩が十字に配置されているが、半透明の十字により奥行きのある浮かび上がった立体にも見える。
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これらは、センスという言葉で片付けられるものではなく、色彩理論に裏付けられたものであり、思想、哲学であった。色と形のリズムが絶妙に重なり合うことで、実際には存在しないはずの「広大な空間」を見ているような感覚が生まれる。
晩年作品にかけて、吉川静子の精神的な表現によるアート作品へと移り変わる。幾何学的な表現から、後期の作品は、特に「動き」や「つながり」を感じさせるものが多くなっていく。
吉川静子の作品は、デザインからアートへの変遷があった。それは素人からしても芸術が決して異次元の遠い世界のものではなく、日常にあるシンプルな事柄から、豊かな発想や深い哲学を引き出すものなのだと感じた。
またその豊かな発想、深い哲学は、ある意味技術に裏付けられた経験の厚みの総体であるとも思った。
今回の感動をネットから感じられたかと問えば、やはり美術館で、あの空間で、自分が色彩やパターンを味わえる距離で観ることができた故であると断言出来る。
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グラフィックポスターってこんなに迫力があるものなのか
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ポスターデザインの考案メモ
今回、多くの展示が吉川静子のものだった。この流れでヨゼフ・ミューラー=ブロックマンについて調べてゆくと面白いのかも知れない。