ティーバッグとマイクロプラスチックのこと。
ティーバッグはコンポストで分解できない
普段何気なく使っている便利なティーバッグやお茶パックですが、その材質を気にすることは少ないかもしれません。実は、流通している製品の多くはプラスチックや紙でできており、コンポストに入れても分解されないのです。QCOMの生ごみ回収やご家庭のコンポストへの生ごみ投入の際は、ご注意ください!
マイクロプラスチックが、出る!
また、プラスチック製のティーバッグやお茶パックからは、多量のマイクロプラスチック・ナノプラスチックが発生することが分かっています。アメリカ化学会によると、95℃での抽出実験において、ティーバッグ1袋から約116億個のマイクロプラスチックと、約31億個のナノプラスチックが流出したことが確認できたそうです。
<Plastic Teabags Release Billions of Microparticles and Nanoparticles into Tea>
マイクロプラスチック・ナノプラスチックの人体への影響については、はっきりしていない部分が多いのが現状です。「体に吸収されることはなく、他の有害物質が付着していなければ無害」(*1)とする意見もあれば、「マイクロプラスチックをミジンコに投与したところ、生存はしたものの行動や身体構造に異常がみられた」(*2)という実験結果もあります。また、何らかの理由でティーバッグ・お茶パック由来のマイクロプラスチックが海洋に流出してしまえば、有害化学物質を取り込んでしまい、環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があります。
マイクロプラスチック流出のリスクを考えると、環境に良いのは紙、と考えてしまいそうです。しかし、紙を製造するには樹木を伐採し運搬する必要があり、プラスチックの製造よりも環境負荷が大きいのではないかという意見もあります(*1)。一体何が正解なのでしょうか。
環境にやさしいティーバッグ・お茶パック
考えられる選択肢として、生分解性プラスチック製、麻製、金属製の3種があります。
生分解性プラスチックでできたティーバッグ・お茶パックは、分解性が高く、環境にやさしいと言えるでしょう。昔から有名な生分解性プラスチックであるポリ乳酸でできた製品は、コンポストで分解されます。具体的には、伊藤園の「よく出るお茶パック」などが100%ポリ乳酸製で、微生物の力で水と二酸化炭素にまで分解されます。(*3)
天然素材の麻でできた製品として、ドイツの紅茶メーカー「LEBENSBAUM」のハーブティーバッグがあります。なんと外箱のフィルムもプラスチックではなくセルロース製で、家庭用コンポストで数週間のうちに分解されるそうです!(*4)
金属製のストレーナーは、ティーバッグ・お茶パックの代用品として使うことができます。茶葉などをさっと捨てられないので片付けの手間はかかりますが、マイクロプラスチック流出の心配はありませんし、繰り返し使えて経済的です。
さいごに
まだまだ分かっていないことの多いマイクロプラスチック問題を考慮すると、環境にやさしいティーバッグやお茶パックを選ぶのは難しいですね。しかし、ゴミが少なければリスクもコストも減らせるのは確かです。この機会に、ゴミの出にくいお気に入りのお茶出し方法を探してみてはいかがでしょうか?
参考文献
*1 紅茶や麦茶のパックって体に危険? 専門家に聞く より
並木陽一さんの見解
*2 Plastic teabags release microscopic particles into tea
*3 「よく出るお茶パック」3月18日(月)より新発売 | 新着情報
*4 ティーバッグに要注意!お茶と一緒にマイクロプラスチックが大量放出
※いずれも2021年7月23日にアクセス