東大寺学園中入試問題(算数)出題傾向分析
はじめに
この記事では、東大寺学園中学校において実施された入学試験のうち、1989(平成元)年度から2024(令和6)年度の算数について、どのような問題が出題されているのか、また、過去から現在に至るまで、出題傾向がどのように変化してきているかを独自に調査したものをまとめています。
36年間に出題された計509問(大問数では173問)に対し、「計算」「数」「規則性」「場合の数」「割合」「文章題」「平面図形」「立体図形」「速さ」「論理」のタグ付けを行って集計し、それを「1989-1998」「1999-2008」「2009-2018」「2019-2024」の10年ごとに分け、出題問題傾向の変化を調査しました。
注:東大寺学園の入試問題においては、前半の大問1,2題が計算や単問集合で構成されていて、後半の(テーマとしてひとまとめになっている)大問を1題とカウントしてしまうと、単問の割合が実際よりも大きくなりすぎてしまうと考えました。そのため、すべての大問について(1),(2)…という小問単位でタグ付けを行っています。
東大寺学園中の算数を分析する意味とは?
灘中と並び、近畿圏における最難関校の一つに位置づけられる東大寺学園中。灘中の分析記事でも述べましたが、近畿圏における中学入試のトレンドをつかむには、最難関校の傾向を読み解くのがよいのではないかということが一点。
さらに、東大寺学園についてはもう一つ注目すべきことがあります。それは、入試の日程。
灘中の入試が土、日の2日間かけて実施されるのですが、東大寺学園の入試はその翌日、月曜日に設定されているのです。つまり、灘を受けた子どもがすべり止めに受ける第一候補が東大寺学園であるということです。
おそらくそのことは東大寺学園の先生方も熟知されており、算数・理科などの問題はかなり灘中の影響があるのではないかと(勿論、勝手にですが)思っています。
特にこの十数年の間でぐっと問題の難易度が上がったと思うのですが、そうした難易度、傾向の変化などが灘中のそれと比べてどうなっているのか、というのを個人的に見てみたかったというのもあります。
ということで、灘中との比較についてはこの記事においても一部取り上げますが、興味がある方はこちらの記事も合わせてお読みいただければ幸いです。
2024年度の入試について
今年度の入試について振り返っておきましょう。
2017年度から2023年度まで続いてきた大問4問の形式が変更され、2016年以前の大問5問の構成に戻りました。小問数は15と、5問構成では標準的な問題数だったと思います。また、2022年、2023年にはなかった計算題が2024年では2問出題されていました。
灘中と比較すると、こうした形式の細かな変更については割と頻繁にあります。ですから、「東大寺の入試はこういう形式だ」と決めつけず、様々な想定をして準備しておくほうがよいでしょう。
こちらのページから、入試結果を参照することができます。
見てわかるとおり、算数における3科受験生と4科受験生の平均点の差が相当あるのがお分かりいただけるかと思います。灘中は3科目受験なので、灘中を受験した子どもはほぼ東大寺学園中でも3科受験をしているはずです。
こうした結果は、東大寺学園と、洛南高等学校附属中学校特有のものだと思います(月曜日に入学試験が設定されている、近畿圏最難関の2校)。
それでは、過去の出題傾向について見ていきましょう。
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