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ポリスノーツの思い出


ポリスノーツとの出会い

 ポリスノーツが30周年らしい。このゲームにはものすごく思い入れがある。
 元々、反射神経を使うようなゲームが苦手であまりゲームをやらない私だが、アドベンチャーゲームは大好きだった。
 「ポートピア殺人事件」や「オホーツクに消ゆ」を筆頭に「ファミコン探偵クラブ」や「神宮寺三郎シリーズ」など探偵が活躍するような推理ものはストーリーがあり、本や映画が好きだった私にとってはその話の中に入り込めるアドベンチャーゲームが好きだった。最近では「春ゆきてレトロチカ」がすごく良かった。(推理を論理的にたどっていくシステムが特に)
 そんな私が、学生時代の友人宅にて「ポリスノーツ」に触れることになった。友人は希少なゲーム端末だった「3DO」を持っており、ゲームは3DO用だった。そのため、ゲーム端末ごと借りた覚えがある。
 ただやり始めるとこれは思ったよりも長くなりそうな気配を感じ、プレイステーション版を購入した。

映画のような壮大なストーリー

 主人公は、宇宙船の事故のためコールドスリープに入り25年後に目を覚ました元宇宙飛行士。元妻は別の男性と結婚してしまい、同僚はすっかり年をとり窓際に追いやられていた。
 そんな浦島太郎状態の主人公ジョナサンが私立探偵でなんとか生計を立てていたところに、再婚相手の失踪事件について元妻から捜査依頼を受けるところから始まる。
 妻だった女性が知らない間に知らない男と結婚しており、さらにその男が行方不明だから探してくれと依頼される。これは辛い。その上さらなる悲劇がジョナサンを襲う。

 導入部だけで引き込まれた。まさに小島秀夫お得意の「映画的演出」にはめられたのである。

 失踪事件をたどっていくとその後ろには大きな陰謀が・・・。壮大なストーリーの中には、ところどころにミニゲームが織り込まれる。ストーリーを壊さない程度の絶妙なバランスでカーチェイスやガンアクションなど。特に爆弾解体については爆発したら即ゲームオーバーのため、ドキドキしながら楽しめた。何度爆発したことか。

 先が気になり、寝る間を惜しんで読み続けてしまう小説のように、夜を徹してゲームを進めていた。ゲームをクリアしたあと、私はビデオテープを用意しテレビに直接接続していたRCAケーブルをビデオデッキの外部入力に接続し直した。
 ゲームをクリアした今なら多くの選択肢の正解がわかっている。今しかない。と、先ほどクリアしたばかりのポリスノーツをはじめからスタートした。
 そう、ポリスノーツをビデオに残そうとしたのだ。金曜ロードショーの映画をビデオに撮るが如く。
 果たして再度エンディングを迎えるまで11時間はかかった。ビデオテープも6倍で録画してまるまる1本分となった。
 そのビデオは、友人にも貸し出したりしているうちに行方不明になった。どこからか出てこないだろうか。

素晴らしいBGM

 ゲームを進めるにあたってもう一つ心をつかんだ要素があった。それがBGM。ポリスノーツのゲーム内で流れるBGMはどれも素晴らしかった。まさに映画におけるBGMの重要性を知っているからこその力の入れようだろう。
 今でこそ生音のBGMは当たり前のようにあるが、当時のディスク容量からして、BGMにそこまで容量をさけない中でのボリューム感ある楽曲。
 ゲーム内のある部屋でみつけたCDをかけると、ゲームBGMを聞くことができるという仕掛けがあった。
 私はそのCDの全曲をテレビから光ケーブルをつなぎMDに録音し、オリジナルのポリスノーツBGMアルバムを作成した。あのMDもどこに行ったのやら・・・。
 ちなみに、公式のCDも発売されていたことを知ったのは大人になってからだった。

人生への影響

 ポリスノーツにはまり、同じ小島作品であるスナッチャーに遡った。映画的手法を取り入れた作品は見事に私にマッチした。
 そのうち、銃撃をメインではなく、相手に見つからないように移動することをメインとしたメタルギアも楽しんだ。なんなら、「メタルギアちょびっと」なる要素だけを取り出したパズルゲームを自作したりもした。(自分や友人が個人的に楽しむために作成したので公には公開していない)

 そのうち、小島組に近づきたい気持ちがでたのかコナミが運営しているゲームの専門学校の資料を取り寄せたり、大人になってからも就職先としてコナミのエントリーシートを取り寄せたりもした。

 しかし、そうこうしているうちに、小島秀夫率いる小島プロダクションはコナミから離脱。コナミへの興味を一気に失ってしまったのだった。

 とはいえ、自分の人生にも影響を与えたゲームの一つであることは間違いない。大人になった今、もう一度プレイしてみたくなった。

 それにしてもあのビデオやMDはどこにいったのだろうかもう一度見たいし聞きたい。

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