【入院2日目②】初めての妊娠で後期流産(死産)した
いよいよ分娩(死産)の日
お昼
午前中の診察が終わった。本当はお昼までの時間に葬儀の話や、グリーフケアについて助産師・看護師さんから説明があったけど、長くなってしまうのでそれはまた別の記事で書きたい。両親が持ってきた入院バッグを看護師さん経由で渡される。
仲の良い友人達には妊娠していることを伝えていたので、悩んだ末、伝えていた友人に今回のことを報告した。会社にも緊急入院したことを連絡した。
ちょうどお昼休みの時間だったこともあり、友達2人から立て続けに「大丈夫じゃないよね?今、少し電話してもいい?」と連絡がきた。
それぞれと電話しながらお昼を過ごすことができて、すっごく救われた。電話がいつでもOKな個室で良かった・・・。
友達からは「とにかく、いずみが無事で良かった。本当に良かった。」と言われて、良い友達に恵まれたことに泣きそうになった。
午後の診察〜分娩
12:30頃
主治医が来て、ラミナリアを抜いた。入れたときは何ともなかったのに、痛みこそなかったけどズルっと異物が出てくる変な感覚が強かった。
ラミナリアは脱脂綿のようなもので、血だらけだった。血で膨張したから、抜くときだけ違和感があったんだと思う。
次にプロスタグランジンE1という、陣痛促進剤を膣の中に入れる。
座薬みたいな大きさ、形の薬で、先生が手で入れてくれる。様子を見ながら3時間おきにこの膣薬を入れていくと説明を受けた。
この時も内診グリグリをされたが、特に痛みはなかった。
14:00頃
生理痛のような、下腹部に痛みを感じ始める。
陣痛カウントアプリを念のためインストールするが、痛みの強弱をうまく捉えられず結局アプリはあんまり役に立たなかった。
助産師さんがお腹の張りをコマメに確認してきてくれる。
NSTをつけてもらう。37.4度と微熱があったため、看護師さんが氷枕を持ってきてくれた。陣痛促進剤の副作用で熱が出てしまうらしい。
15:25頃
主治医が来る。プロスタグランジンを追加で入れる。
赤ちゃんは逆子で、もう頭以外の身体は殆ど出てきているとのことだった。中途半端に出ている状態は良くないらしく、16:00まで陣痛促進剤の効きを確認して、それでも出てこない場合は先生が介助しながら全て出すと説明を受ける。薬を追加しても、陣痛は相変わらず重い生理痛?くらいで大したことない痛みだった。主治医から診察を受けている以外はほぼずっと夫とLINEをして、とにかく早く夫と面会したかった。
15:40頃
夫が分娩室に来てくれた!
本当は面会NGの病棟で、立会分娩も再開していなかったが、主治医の女医さん(たぶんこの病院の産婦人科で2番目に偉い先生)が特別に会わせてくれた。夫に会えた安心感と、赤ちゃんが死んでしまった悲しみで、感情が渋滞した。夫と2人でシクシク泣きあった。
私がいつも寝るときに抱きしめている大きいぬいぐるみを夫に持ってきてくれるよう頼んでいたので、渡してもらう。そのぬいぐるみを抱いて分娩に臨むことになった。心強い味方が増えた。
面会時間は10分程度だったが、分娩前に夫と会わせてくれた病院の対応には大変感謝しています。夫とは分娩あとにまた面会できるので、夫はいったん退室して私を待機することに。
16:00頃(分娩)
主治医を筆頭に、10人くらいが部屋に入ってきた。かなり広い部屋だったが、流石に部屋が狭く感じる。
私は氷枕とぬいぐるみと一緒に、隣にある分娩用ベッドに移った。助産師さんが「もしかして、自分で移れます…?」と聞いてくれた。全然行けます!助産師さん2人が私を囲むようにして立ち、ゆっくりベッド移動。本当に痛くないしフラつきもないので、そんな心配そうな目で見ないで…。
今から走って!と言われても多分走れたから、ここら辺は個人差がかなりあるのかもしれない。
先生からぬいぐるみと一緒に分娩してOKと快諾される。
先生が何らかの器械を入れたとき、強烈な違和感で思わず体が上にあがってしまった。痛い、というより違和感!
助産師さんが左右の肩を抑えて、身体が動かないようにする。左側にいる助産師さんが如何にもベテランな方で、右にいた助産師さんは私と同い年くらいの若い人だったためか、左右で押さえつけられる力の強さが全然違った。
左側は力強いのに、右側はほとんど手を添えているだけで、私としては力いっぱい遠慮せず抑えて欲しかった。
ぐ〜〜っとお腹に力を入れて欲しいと先生に言われて、いきんでみるが、逆子なのでやはり出てこず。先生が器械でグリグリ出すことに。
ここが一番痛みを感じたが、助産師さんから
「大きく息を吸って、細〜〜〜〜〜〜く長〜〜〜〜〜〜く息を吐いて!太ももは脱力させると楽ですよ!」
とアドバイスをされ、その通りにしたら本当に楽になった。痛くない!助産師さん凄い!
主治医と助産師さんから「すごく上手!」「とっても上手で!」「赤ちゃんもすぐ出てこれそうですよ〜!」とたくさん褒められた。まさかこんなに褒められると思わなかった。褒められ嬉しさがしばらく余韻として残るくらい、超褒められた。
先生が処置を始めてから約10分、ほとんど痛みを感じずに赤ちゃんが出てきてくれた。
赤ちゃん以外のものもスルッと綺麗に出てきたらしく、あっという間の分娩だった。会陰切開も縫合もなし、先生からニッコリと笑顔で「身体はどこも傷ついていないですよ。」と言われた。お腹の張りがなくなり、身体全体がスッキリしたようだった。
大勢の看護師さんと助産師さんが私の下半身を拭き、点滴(たぶん痛み止め)を変え、飲み物を飲ませてくれたり、ベッド周りを掃除して、16:20には夫に「終わったよ」とLINEした。あんなに出血したはずなのに、意識はクリアだった。女体はすごい。
両親が持ってきてくれた入院バッグにたくさん入っていたナプキンから、夜用の中でも大きいナプキンを充てることになった。
分娩後に夫と30分面会する予定だったが、1時間は絶対安静と言われションボリ。夫はこの間に主治医から無事に分娩が終わったこと、退院目処について聞いたり、葬儀会社との手続きを進めてくれた。
分娩後
17:00頃
分娩後にたくさんお茶を飲んだため、トイレに行きたくなる。私が自分で歩けそうなので、トイレ許可が出た。
500mlの紙コップを渡され、「この中におしっこを出して私に見せてください〜」と看護師さんに言われる。便器に座った瞬間、血が大量に出る感覚があった。紙コップいっぱいに尿が出るが、尿というより普通に血。便器も紙コップも血だらけで、こんなに出血してるのに意識がクリアでいられる女体すごすぎる(2回目)としみじみと思った。
17:30頃
看護師さんから「お腹空いていますか?」と聞かれ、「空いてます!」と答えると「じゃあ、早めのご飯にしちゃいましょうか!」となった。
この病院の夕飯時間が本来いつか知らないが、約10分とはいえ分娩はかなり体力を消耗してお腹ペコペコだったので、早めのお夕飯はありがたかった。
ご飯を配膳してくれた人から、「明日午前中の診察で問題なければ、明日に退院可能ですよ」と言われ嬉しかった。
18:15頃
出血量が問題ない範囲であることを確認し、分娩室から入院病棟へ移る準備に入る。
私はこのまま産科にいても良かったのだが、婦人科病棟で寝泊まりすることになった。一般的に死産した人は妊婦さん・新生児を見ると辛くなってしまうらしいので、助産師さんが気を効かせてくれたのだと思われる。
引越しの前に看護師さんが熱々のタオルで身体を拭いてくれた。今日はお風呂もシャワーも禁止だった。私の腹痛が問題なさそうなので、点滴を外してもらえる。私は点滴が大嫌いなので、夫と会う前に外してもらえて嬉しかった。
19:00頃
夫と面会!
病棟ではなく、面会室で30分の面会になった。夫の顔を見た途端、涙が溢れて止まらなかった。夫と2人でワンワン泣いた。ティッシュ1箱を2人で使い切ってしまった。分娩前と分娩後に夫と会えたことで、孤独な死産だったと感じずに済んだ。病院の対応には本当に感謝している。
20:00以降
婦人科病棟の大部屋へ移動。この時点でも血圧異常なし、発熱なし、体調に問題がなかったので、明日の退院がほぼ確定する。
トイレのたびにナプキンを交換していたが、出血量を確認してもらうため、ナプキンは看護師さんに見せる必要があった。私が見ると相変わらず大量出血だったが、看護師さん的には問題ない範囲(むしろ少なめ)だと言われた。
看護師さんがお腹を軽く押して痛みがあるかどうか確認された際に「特になんともない」と答えたときの「良かった」と言った看護師さんの笑顔が妙に印象に残っている。白衣の天使ってこういう事だなと思った。
歯磨きを済ませ、21時前には就寝した。
22時に看護師さんがまた来て出血量・熱・血圧の確認をしたが、すぐに二度寝した。
前日あまり寝れなかったのと分娩疲れもあり、本当にぐっすり寝た。
寝る時、私のお腹を触診して痛くないと答えたら「良かった」と微笑んでくれた看護師さんの顔が忘れられなくて、なんかその人の顔を思い出しながら幸せな気分で寝た。赤ちゃんが亡くなったのに、変なの。
夫は私の実家に帰り、私の部屋の私のベッドで寝た。
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