データの所有権は?では問いが違う、というメモ
今後の仕事を念頭に調べ物をしていて以下のサイトにたどり着くまで僕も混同していたのだけど、確かにデータの所有権は?という問いが違うんだよな、と。
で、この記事のメモだけだと忘れてしまいそうなので、僕なりの解釈を以下に備忘録として。
まず上記サイトの通り、そもそもデータに所有権は民法上ない。民法で所有権は有体物(物理的に空間の一部を占める有形の存在)を前提にされていて、データは知財などと同じく無体物であるから。つまり別段の定めがなければ、特定のものに専属的に帰属し、当該者のみが排他的に利用できるといった性質を有するものではないのが原則になる。
但し知財と同様、一定のデータに関しては法的な保護が与えられる。個人情報保護法、不正競争防止法、特許・著作権法などなど。だからデータは所有ではなく「保護」「主権」などという言い方をしているのだろう。
具体的には例えば健康診断のデータについては、別に病院のものでも、受診した個人のものでもない。
健康診断を実施した事業者には5年間データを保存する義務が課されているけれど、それは所有権とは別のこと。また要配慮個人情報として該当する個人は保護されており、開示請求すれば(手数料はともかく)データを入手できるけれど、これも所有権ではない。まぁ個人健診データはその個人に工夫の余地があるような著作性はないので、個人が何かしら権利を主張できるものでもない。
そもそも個人でデータを所有していても、それだけでは何も便利じゃない。データは個人のものと言いたい人のモチベーションは「A病院で受診した際の検査データを、直近で受診するB病院で使えないのはなぜ?実施する検査ほとんど同じなんだけど」という利便性とかデータの流通が関心事のはずだ。
ちなみに、このデータが流通しない理由を調べると、もちろん所有権云々ではなく、電子カルテの普及度、及び電子カルテのデータフォーマットの不統一の問題のようだ。
確か10年以上前、電カルのシェアが高い某ITベンダが、医療機関の間で電カルをつなげてデータをクラウドで一元管理するソリューションを提案しているのを見ていたので意外だったが、確かに導入された話も聞かなかったのも思い出した。同じフォーマットであっても、データを共有しようという文化というか納得できるメリットが当時はなかったのかもしれない。ましてやベンダをまたいだ場合は言うに及ばないし、中小の医療機関は昔から経営が厳しいのでデータの価値がまだ高くなかった頃に電カル導入自体に消極的なのは仕方ないかもしれない。
最近は医療分野でも政府がDXを推進する一環で、電子カルテを100%まで普及させたり、医療機関同士が全国医療情報プラットフォーム「電子カルテ情報共有サービス」を推進したり、と電子カルテ情報の標準化並びに共有化が進んでいるらしいが、どうだろう。この分野を離れてだいぶ経つので業界動向や実態についてはわからないなぁ。
最後は少し話がそれたけれど、休みが明ける前に1つ論点をクリアにできたのは良かったということで
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