親が子供を「自分のもの」だと考えた時に生まれてくるトラウマ、エンメシュメント・トラウマとは何か? ティール・スワンの解説
皆さんこんにちは、Qリプトラベラーです。
以前に、「悪魔崇拝儀式サバイバーが天才トラウマセラピストに転身、ティール・スワンの物語」という記事を書いて、ティール・スワンさんの紹介をしました。
今回からは、彼女が説明する心の仕組みやトラウマの仕組みを翻訳していきます。
ものすごい量のビデオと記事があるので、どれを最初に紹介するか、かなり悩んだのですが、まずはエンメシュメント・トラウマの解説から始めたいと思います。
というのも、このエンメシュメント・トラウマというのは、強度の差こそあれ、ほぼ全ての人が経験しており、それぞれの人生に対して何らかの影響を与えているからです。
おそらく読者の皆さんにも、何となく自分にも当てはまる部分があるんじゃないかな、と思ってもらえると思います。
なので、自分の内側の探究に入る入口としては良い内容だと判断したので、翻訳していきます。
ティールはこのビデオを重度のトラウマを持つ人に向けて配信しているため、一般人には過度に感じることもあると思いますが、その辺りも考慮しながら読んでいってください。
同じ内容のビデオとブログ記事があるのですが、両方の良いとこ取りをして、超訳でこの記事を構成していきます。
こちらが翻訳の元になるビデオとブログ記事です。
内容が深いので、ゆっくりと理解しながら読んでいってもらえると良いかと思います。
それでは翻訳していきます。
(翻訳ここから)
自己啓発や心理学、スピリチュアリティの分野に造詣の深い方なら、エンメシュメントやエンメシュメント・トラウマという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
この記事では、エンメシュメント・トラウマとは何か、そしてそれが人の人生に与える一般的な影響について説明していきます。
まず最初の例は、子供用の背の高い椅子に座って食事をしている子どもを想像してください。
お母さんが子供に食事を与えているのですが、子どもはお腹が空いておらず、お母さんの差し出すスプーンから顔を背けています。
この子にとっての真実は、「お腹が空いていない」だというにも関わらず、お母さんはその真実を認めようとはせずに、怒って子どもの口にスプーンを押し込んでしまいます。
別の例では、ある父親が、自分の娘に医者になってほしいため、医学学校へ通わせています。
そうすることで父親は、自分の父としての存在が意味のあるものになると考えています。
父親は娘に勉強のプレッシャーをかけて、娘は必死になってそれに応えます。
でも、娘は自分が本当に医者になりたいのかどうかすらも分かっていません。
また別の例では、ある夫婦において夫が精神的にも肉体的にも妻の助けになっていないような状況です。
妻は無意識のうちに、自分の息子を夫の代わりにしようと決心してしまいます。
彼女は息子に感情的に寄りかかって、秘密をすべて話し、彼を「親友」と呼んだります。
ある日突然に息子は、そのような関係が自分にとって恐ろしいものであり、自分は間違った役割を担っていると氣づいて、引き裂かれるような気持ちになってしまいます。
なぜなら息子は、その関係が恐ろしいと感じる反面に、その役割を担うことで保証される、母親からの特別な想いと、重要に思われることを喜んでもいるからです。
これらの三つの例に共通しているのは、家族関係や人間関係の中で「自分自身」というものがしっかりと認識されていないということです。
社会集団の中で人が物理的に存在するためには、自律性というような自他の違いの感覚を持つことが重要になってきます。
人は、自分自身という感覚を持ち、同時に他人という感覚を持つことが必要なのです。
境界とは、自分と他者との間にある柵のようなものだと考える人が多いようですが、これはあまり良い考え方ではありません。
境界とは、自分以外のものを通して自分を定義するものだと考えた方がよいでしょう。
ここで言う境界線とは、あなた個人の幸福、あなた個人の感情、あなた個人の思考、あなた個人の誠実さ、あなた個人の欲望、あなた個人のニーズ(必要性)、そして最も重要な、あなた個人の真実を、あなた以外の全宇宙から切り離して独自のものと定義する想像上の線です。
もしあなたが境界線をより深く理解したい場合は、私のビデオ「個人の境界線対ワンネス(健全な境界線を開発する方法)」をご覧ください。
巻き込まれ型関係(Enmeshed Relationship)では、個人の境界線は浸透しあい、区別されず、不明確です。
巻き込まれ型家族(Enmeshed family)や巻き込まれ型関係は、境界を認識したり受け入れたりしません。
したがって、巻き込まれ型トラウマの発症は、人間関係において、相手があなたの個人的感情、個人的思考、個人的誠実さ、個人的欲求、個人的ニーズ、そして最も重要な個人的真実の現実を認識しなかったり受け入れなかったりした場合に起こります。
実際、そのような巻き込まれ型関係において自分自身を相手と区別化すると、結果として罰や関係放棄などに繋がるリスクがあります。
なので、あえてそのような悲惨な結果を受け入れることで、自分自身のコントロールを取り戻すという選択肢が生まれてきます。
あるいは、相手との関係性の調和と親密さを維持するために、「自分を放棄」して相手を鏡のように映し、自分の考えや感情、ニーズ、欲求、真実、選択を相手と同じにするか、相手が望むものにする必要が出てきます。
そうすることで得られるのは、絡み合った関係においての、通常より強い帰属意識です。
しかしその強い帰属意識には、重大な代償があります。
現代の状況において、親が子供を持とうとする理由のほとんどが、その子供が何らかの形で親の必要性をみたしてくれると、考えているからです。
しかし、子どもは親から生まれていたとしても、自分自身の好み、運命、欲求、ニーズ、感情を持った一人の人間です。
なので、その子どもの個性が親が求めている本当の理由と合致することは殆どありません。
このような状態では子どもは親のニーズを満たすことはありません。
そしてこれが災いのもとなのです。
このことについてもっと理解するには、「欠陥人形」と題した私のビデオをご覧になってください。
エンメシュメント・トラウマを理解するためには、幼少期に焦点を当てる必要があります。
エンメシュメント・トラウマは、すべての機能不全家族に存在してします。
そして残念なことに、現在のほとんどの子育ての仕方が機能不全であるというのが現実です。
その理由は、ほとんどの親が、子どもを「自分のもの」だと考えているからです。
親は子どもを粘土のように見たてて、自分の思い通りになるように成形するのですが、それは全く子どものためなどではなく、親自身の最善の利益を考えていることがほとんどです。
もちろん、子どもにエンメシュメント・トラウマを作っている親は、このことを認めることはありません。
それどころか、自分がしていることはすべて、子どもの最善の利益のためにしているのだと考えて、そのように発言します。
そしてこれは、子どもにとってガスライティングになります。
親がやっていることは子供にとって気分を害することなのに、親が全ては子供のためにやっているのだと言い続ければ、子供は自分の正気を疑い始めるようになり、愛とは痛みを意味している、愛とは他人のために自分のニーズや欲求や真実を犠牲にすることだと学んでいくようになります。
子供時代の一定の時期に、健全な「自己」の感覚を養うことは、子供にとって非常に重要です。
これは、子供が世界と自分を区別するようになり、自分独自の感情や思考、好み、嫌悪、ニーズ、欲望、個人的真実を定義し始める時期のことです。
幼児の「イヤイヤ期」や、着たい服の選り好みをするのはこの時期のことです。
もし親がこのような子供の分化プロセスを認識して反映し協力しなければ、子供は親との関係無しに自分自身の感覚を確立する必要が出てきます。(親は度々子供の分化プロセスに敵対しようとしてしまいます。)
ここでの問題は、人間という存在は関係依存型の種族であり、社会集団の中での親密さが最も重要な欲求であるということです。
子供は、生物学的なレベルで、親を怒らせることが自分の生存の危機につながるということが分かっているのです。
このような状況では、子供は親が自分の欲求を無視していると感じたり、見ていても敵対している場合には、ほとんどの子どもは親との親密さを優先するために自分を捨てると言う選択をしてしまいます。
このような選択をした子どもは、自身の核となる自己意識を育てることができません。
このような環境で育った子どもは、人間関係の中で自己意識を失ってしまう大人に育ってしまいます。
結果として、このような人は人間関係を強く求めるようになります。
それと同時に、自身の自己意識や自律性がないために、誰かと人間関係を築いた時に、自分が消えていくような感覚や相手に飲み込まれていくような感覚に襲われて、自然と相手を遠ざけてしまうようになったりします。
これは非常に閉塞的な感情経験になります。
エンメシュメント・トラウマを経験した大人は、非常に強い個性を持つ人と関係を持つようになり、自分のすべてを進んであきらめるようになります。(それが相手が本当に望んでいるかどうかは別として)
あるいは、ナルシスト的あるいは自己中心的なスタイルの人と関係を持つようになり、子供の頃にしたことと同じことをもう一度することが予期されます。
エンメシュメント・トラウマの人は、共依存的な人間関係のスタイルを身につけています。
彼らは自分自身の中に、常に戦いが存在しています。
相手と親密になるために相手と同じでありたいと思う一方で、自己意識と独立心を渇望しているため、相手を遠ざけることで、自分は違う人間だと定義したいと思うからです。
相手の考えや気持ちと、自分の考えや気持ちの間に常に挟まれてしまうのです。
相手のニーズや希望と、自分のニーズや希望。
相手の個人的な真実と、自分自身の個人的な真実。
親密さは必要なものであると同時に、深刻な脅威でもあると考えるのです。
そのために、彼らと関係を持つ人々は、常に押し問答に悩まされる傾向があります。
エンメシュメント・トラウマは、実は発達障害のトラウマです。
エンメシュメント・トラウマを経験した人は、健全な自律性を正常に発達させることができませんでした。
それは、健全な関係を持つ方法を学び、関係の中で自我の発達を作り出すためのプロセスなのです。
エンメシュメント・トラウマを持つ人は、2通りの状況で自己の感覚を感じることができます。
一つは、相手と対立する関係にあるときです。
そしてもう一つは、誰もそばにいないような状況で、完全に一人でいるときです。
お分かりだと思いますが、これはどちらの選択をしても苦しい人生を送ることにつながります。
エンメシュメント・トラウマを癒すには、子ども時代に出来なかった、健全な自己意識(境界線)を確立することが重要です。
そして、共依存的・自己愛的な戦略に頼らずに、人間関係の中で自己意識を持つ方法を身につける必要があります。
このプロセスをより一層うまく行かせるには、家族全員が自己意識をしっかりと持った上で、お互いへの親密さを維持できるように、それぞれのメンバーとの関わり方に関与することで達成されます。
このことついてもっと理解するには、「家族」というタイトルの私のビデオを見てください。
しかし、家族間でそのような練習をすることは難しいかもしれません。
そのような場合には、友人関係やパートナーシップの中で行うことも可能です。
出来ることなら、あなたが関係性を持っている相手も関与していた方が良いです。
そうすることで、自分自身を定義する作業(自分が何を感じ、何を考え、何が好きで、何が嫌いで、何が必要で、何が欲しいのかを把握すること)に変更を加えて、
自分のニーズに最も適した行動方針を決定する作業、相手と効果的にコミュニケーションを取る作業などが容易になります。
ここで忘れてはならないのが、エンメシュメント・トラウマからの癒しは、自己中心的なナルシストになることを意味するのではありません。
ですが癒しの過程で、個性が振り子のように反対側に大きく触れてしまうことが、一般的によくあることだと言うのを覚えておくと良いかもしれません。
あなたは、自分の感情、思考、ニーズ、欲求、個人的な真実を確立しようとする一方で、他の人々にも思考、感情、ニーズ、欲求、個人的な真実があることを認識する必要があります。
そして、彼らの決断があなたに影響を与えるのと同じように、あなたの決断も彼らに影響を与えるのです。
別の見方をすると、あなたがこれまでしてきた多くの選択は、実はあなたにとって正しいものではなく、あなたが選んだ人間関係は、実はあなたにとって相性の良いものではない可能性があるということです。
これは、あなたにとっても、あなたの人生に関わる他の人々にとっても怖いことです。
つまり、本物の自分自身になるということは、あなたの人生に多くの変化をもたらす可能性があります。
それは、あなたやあなたの周りの人々に影響を与えることでしょう。
しかし、あなたが本物の自分自身になり、それに従って人生の選択をしない限り、人生の満足はあり得ません。
本物の人生を送る方法については、「How To Be Authentic」というタイトルの私のビデオをご覧ください。
本物の人生を送るには、あなた個人の考え、感情、好み、欲求、ニーズ、真実と一致するように生きることが重要です。
難しいことですが良いニュースもあります。
それは、あなたがいつも探し続けて、見逃し続けてきた人生は、今までの行動の反対側にあるということです。
それでは良い週末を。
(翻訳ここまで)
いかがでしたでしょうか?
エンメシュメント・トラウマの全体像は理解できましたでしょうか?
今回の記事は、ティールの解説するトラウマヒーリングの全体像を理解する最初の入口になると思います。
ですが、まだ最初の入口なので全体像とは程遠いと言うのも事実です。
これから時間をかけて網羅的に翻訳していこうと思っているので、気長に追い続けてください。
皆さんのお役に立つことになると信じています。
それまで待ちきれないとい言う方は、ティール・スワンの本を読むことをおすすめします。
本が数冊出ていますが、特に「完了プロセス」と言う本はティールの教えの真髄にある完了プロセスを学べるのでおすすめです。
次回のティール・スワンの翻訳記事は、この記事の途中に出てきた「個人の境界線対ワンネス(健全な境界線を開発する方法)」です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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僕の執筆活動はこちらの【銀の購入代行】から出ています。
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