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制服を着ていたあの頃

なんでこんなに懐かしいと思うのか分からない。
手放しで良い思い出だと言えるほど、たのしい時間では無かったし、窮屈だった。
戻りたいかと言われると、勘弁してくれと思うし、一方で、もう一度あの小さな世界に閉じ込められたいとも思う。

水槽の中の熱帯魚だったのだ。
自分をとり囲む半径五メートルの教室が世界のすべてだと思っていた。
だれかが書いた机の落書きとか、体育館の床すれすれについた小窓から漏れ聞こえるバッシュの音とか。

あのころの僕は理由なんか無くてもふらっと泊まれる場所を求めていたし、今の僕は寝ている友達を起こして購買にいく昼休みが欲しい。

無いものねだり、というよりこれは、失ったものへの渇き、とでも言うべきものであろう。

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