
「ボーダークロッシングス」展を観て考えたこと
レッジョ・エミリアアプローチの成果だけでなくアトリエ(子供たちが実際に体験する教材や装置)も展示されている「ボーダークロッシングス」展をイタリア文化会館で見てきたので、その時考えたことのまとめ。
レッジョ・エミリアは自分の関わるクリエイティブ・ラーニングや構築主義といった考えた方にも付かず離れず周囲に現れるのだが、こうした形でじっくり体験するのは初めてだった。
展覧会についてJIREA(主催団体)の紹介note
ここに書かれている通り、アトリエを実際に触れて体験できる展示になっているのが特徴で、ニューヨークのMOMAでは2012年にすでに展示された内容とのこと。これを10年以上前からやっていたというのは素直に驚くし、今まさにはもしかしたらもっと新しい取り組みもあるのかもと想像した。
そして正直、ややデジタルや数理偏重気味なクリエイティブ・ラーニングや構築主義に対して、レッジョ・エミリアはアナログ中心というイメージを持っていたのでここまでデジタルを自然に扱うことも驚いた。
私が見たイタリア文化会館の次は各地を巡回するようなので機会がある方はご覧になったら良いと思う。
展示を見て
成果物やパネルについては、想定内というか専門柄見慣れたもので、ハッとすることは少なかったが、アトリエの展示は贅沢で素晴らしい準備だなと感じた。
また、デジタル顕微鏡やOHPは自分もよく使い思い入れがあるので非常に共感もしたため、より詳しくレッジョ・エミリアのことを知りたいと感じた。
古の教具とも思われがちなOHP(オーバーヘッドプロジェクター)も遊びながら学ぶ愉快な道具としてはまだまだ現役です。
— qramo🤑(くらも)🛹📷💻🚘 (@qramo) January 31, 2025
レッジョ・エミリア・アプローチを紹介する「ボーダークロッシングス」展で体験できますよ! pic.twitter.com/kTZrSlUMyL
ことあるごとに子供達にお勧めしてプレゼントしてる顕微鏡WEBカメラも使われていました〜
— qramo🤑(くらも)🛹📷💻🚘 (@qramo) January 31, 2025
これはイイモノですよ! pic.twitter.com/rcDTxgjCSq
帰り道やその後考えたこと
展示パネルの一つに撮影禁止と言われてしまったのでうろ覚えとなってしまったが、デジタルも自然と一部として、また対峙するものとして行き来することの良さや、またそのデメリットもあるというようなこと。ただし子供達にとってデジタル環境というのは避けて通れないものだし使い方によるメリットも大きいと。これを読んで正直だし(そこに書かれていた言葉は)良い表現だなと感じた。(なぜあのパネルが撮影NGだったのかはちょっと解せないし、同じものをどこかで公開してほしいと考えている。ペンも紙も持っていたのでベタにメモを取るべきだったとも…)
また、自分も関心を持って利用しているOHPやWebカメラ式のデジタル顕微鏡は使っているものこそ同じだが、それに対する経験や背景は当事者である子供たちとは異なることに気がついた。
私にとってOHPは、退屈な講義の暗い教室で、「あれ?裏返しだった」などと言いながら年老いた先生が扱う教具で、それを私たちは映像を映すあそびに使い倒した。眠気を誘うもわっとした排気を、音楽に合わせ体を動かすフロアの熱気に変えたところに面白みがあった。
レッジョの子供達はどうだろう。いわゆる通常の使い方を知らなければそれは最初からライトテーブルに置いたものの影を拡大して映し出す愉快なおもちゃだ。しかも選りすぐりの素材が並べられている。
顕微鏡も学校で班に一台当てがわれカビ臭い棚から出してきた作成済みの試料が載ったプレパラートを「割らないように」と注意を受けながら緊張して操作するものだったが、彼らにとってはパソコンに繋ぐと拡大表示ができる便利な機械だ。
このように同じものを使ってもその道具に対して持つ印象は人それぞれで、特に世代の離れた私と子供達では全くといって良いほど異なる。この違いに気づいたのは面白いことだったと感じた。
レッジョ・エミリアと私
これを読む方の参考に、私と展覧会の関係を示すようにしているのだが、先にも書いた通り、自分の関心のある、クリエイティブラーニング、構築主義という学習にまつわる考え方があり、その周囲に常に付きまとう類似するものだという理解で(あまり深入りせず)接してきた。
今回の展示を知ったのは、教育学を学ぶ博士課程の @kiriem のXのポストがきっかけだった。
九段下会場は明日までで、次は南青山で2/7-12まで。https://t.co/SYYcLHbwdY
— 宮島 衣瑛 / Kirie MIYAJIMA (@kiriem_) January 31, 2025